2024.11.21
経営者の経理兼務はコスト削減になるのか?見落としてはならない「社長の価値」
経営者が兼務する経理業務とは 少子化の進行によって、わが国の生産年齢人口(15~64歳)は減少を続けています。それを補っていた高齢者の就業者数も近年では減少に転じていることから、人材不足の問題はより…
電子帳簿保存法というものを聞いたことがありますでしょうか。
今回は電子帳簿保存法によってどのように経理が変わっていくか解説していきます。
電子帳簿保存法は、1998年に施行された「電子計算機を私用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」のことで、「電子帳簿保存法」や「電帳法」などと呼ばれています。
ここでは、「電子帳簿保存法」に統一してお話しましょう。
電子帳簿保存法では、国税関係帳簿書類を電子データで保存することを認める法律です。
従来、紙での保存が義務付けられている各種帳簿書類を、電子データで保存するためのルール(要件)について定められています。
電子帳簿保存法による主な保存区分と該当する書類は、下記の通りです。
電子帳簿保存法は、1998年に施行されて以来、技術の進歩やデジタルインフラの整備による環境の変化に対応するために幾度もの改正を重ねてきました。
2022年の法改正でも、タイムスタンプの要件緩和や税務署長の事前承認制度の廃止など、利用者の利便性を向上させるための要件緩和が多く盛り込まれています。
2022年の改正では、これまでにない抜本的な見直しも行われました。
最も大きな変化は、保存区分3つめの「電子取引」について、取引情報を印刷して保存する方法が認められなくなったことでしょう。
これまで帳簿書類の電子保存は「ペーパーレス化に取り組みたい事業者が任意で行う」ものでしたが、電子取引に関しては該当する事業者すべてが義務として行わなければなりません。
また、青色申告を行う個人事業主に対しては、2023年分以後は電子帳簿保存の要件を満たす帳簿書類の提出が青色申告特別控除の適用要件となりました。
つまり、65万円の特別控除を受けるためには、電子帳簿保存法の導入が必要になるということです。
2024年1月からの本格的に対応するため、早めに準備をしておくと良いでしょう。
ここからは、帳簿書類の保存を電子データに切り替えることによる経理業務の変化とメリットについて説明します。
まず大きなメリットとして挙げられるのが、帳簿書類の保管スペースの削減です。
これまでの帳簿書類は「紙の書類で7年間保存」が義務付けられていました。
きちんとファイリングした紙書類を7年分も保存するためには、相応のスペースが必要です。
しかし、電子データならばPCやクラウドサーバー内に保存できます。
保存場所の確保、印刷用紙やファイルなどの買い換えも不要となり、大幅なコストカットが可能です。
電子データを保存する際は、電子帳簿保存法の保存要件「検索機能の確保」を満たす必要があります。
「日付・金額・取引先」といった必要な情報を明確にするためには、ファイル名の工夫や索引簿の作成などが一般的です。
一見面倒に思えますが、検索機能を確保することはメリットにもなります。
検索ができるようになると過去のデータを調べたり、管理したりが容易になりま。
見落としや処理漏れなどのケアレスミスも減るでしょう。
また、仮に税務調査が入った場合でも、検索が簡単なため必要な電子データをすぐに用意でき、監査における負担が軽減されます。
電子データでの保存によるメリットは、保存期間が終わったタイミングでも得られます。
紙で保存していた帳簿書類は、シュレッダーにかけたり、専門業者に処分を頼んだりと手間やコストがかかるものです。
しかし、データの場合は「削除」を選択するだけで簡単に破棄でき、手間も時間もかかりません。
4つ目のメリットは、紛失リスクの低さについてです。
すでにお話しした検索機能によって、「どこにしまったかわからない」といったことは起こりません。
万が一、意図しない削除を行ってしまっても、適切なバックアップを習慣づけることで必要なデータ復旧も容易です。
電子データで保存する方が、紙で保存するよりも紛失リスクは低く、安全に管理できます。
ここまで電子帳簿保存法のメリットをお話してきましたが、デメリットもあります。
しかし、正しく対処することで改善も可能です。デメリットから目をそらさずに、しっかりと理解しましょう。
当然ですが、電子帳簿保存法に対応したシステムを導入するには初期費用がかかります。
事業所の環境によっては、新しくPCやスキャナなどを買いそろえなくてはならない場合もあるでしょう。
また、経理担当者の教育や新たな人材確保が必要な場合も考えられます。
中小企業や個人事業主にとって機材や人材の増強は簡単なことではありません。
自社のみで電子化への準備を進めることが難しい場合は、外部の専門業者へ依頼することを視野にいれた検討も必要です。
導入によって削減できる経費とアウトソーシングすることで増加する費用を徹底的に比較することで、結果的にコスト削減になる方法が見つかるでしょう。
2024年から義務化されるのは「電子取引」に関する書類の電子保存ですが、ゆくゆくは「スキャナ保存」についても拡大されるのではないでしょうか。また、電子データ保存を導入するのなら、すべて電子データで管理した方が結果的に楽になるでしょう。
自社と同時に取引先すべてが、請求書や領収書を電子データや電子取引に切り替えることになれば解決しますが、そううまくいくとは限りません。
紙の請求書や領収書があった場合は、誰かがスキャン作業を行わなければならず、経理担当者がテレワークを行っている場合はそのために出社する必要が生じてしまいます。
また、経理に関する情報をデータで扱うためには、社内であっても入力権限と閲覧権限を明確に分けること、バックアップ体制を整えること、オンラインを利用する際のセキュリティ対策を講じること、
システム障害に備えることなど、様々な対策を講じなければなりません。
システムについての周知やセキュリティ対策を怠ると、データ漏えいや改ざんなど最悪の事態が起こるおそれもあるでしょう。
ただし、対策がとれている場合は、紙データでの保存より紛失リスクや不正リスクは低減できます。
今回は電子帳簿保存法について経理業務上のメリット、デメリットを解説しました。
2024年1月1日以降は、電子帳簿保存法の一部が義務化され「やる、やらない」の選択ができない状況になりました。
導入によるメリット・デメリットを知った上で、自社に適した方法で対応していくことが重要です。義務化までの猶予期間のうちに、経理業務改革を進めていきましょう!
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