2024.09.22
経理はかんたん?経理業務に必要なスキルとは
経理業務に必要な知識とスキル 経理業務は、バックオフィス業務の中でも専門性が高い業務です。企業の経済活動におけるお金の流れを正確に記録・集計・管理して、業績や経営状態の把握に役立てます。適正な経理業…
給与計算を担当する部署は、企業によって異なります。給与計算や社会保手続き、福利厚生関連を専任する労務部が独立している企業もあれば、人事部や総務部が担っているところもあるでしょう。リソースが限られている中小企業では、バックオフィス業務として1人経理が担当しているケースや経営者自身も珍しくありません。
また、給与額は従業員ごとに違い、それぞれの給与額も月によって多少増減することがあります。給与計算業務では、さまざまなデータを参照したり、税法や社会保険制度などの知識で対応したりしながら、従業員1人1人の給与額を算出しているのです。
この業務が煩雑になる主な理由は、以下の8つです。
まず、基本給に各種手当を加算します。職階手当や住宅手当のように一定期間適用されるものもあれば、時間外手当や業績手当のように毎月集計して反映させるものもあります。また、時間給の場合は、勤務時間の集計もおこないます。
次に、給与額面から、所得税・住民税、社会保険料などを控除します。所得税は当年の給与額に対して課される一方、住民税は前年の給与額に対して課されるため、計算の基準額が異なります。また、税率や料率は法改正により毎年変動するなど、知識と情報収集力も必要です。
従業員の立替経費を給与で精算する場合は、さらに煩雑です。通常は、立て替えた本人が経費精算申請書を作成し、担当者が処理をおこないます。しかし、記入ミスや領収書の添付漏れ、提出期限を過ぎてからの申請、経費に該当しないものの申請など、スムーズに進まないことも多いでしょう。
計算を終えた後は、給与明細書を発行します。このとき、印刷した明細書を封筒に入れる場合は、社員数が多いほど手間と時間がかかります。封入は比較的単純な作業ですが、万が一にも別の従業員の給与明細を入れてしまうなどのミスが発生しないよう、細心の注意を払う必要があります。
税率や社会保険料率の改訂、所得税の控除額改正や控除適用範囲の変更など、さまざまな法改正が給与計算に影響をおよぼします。毎年のように実施される法改正に対応するのも、給与計算担当者の仕事です。なかには、2024年度に限り適用される定額減税などイレギュラーな対策もあり、対象者のピックアップなどにも手が取られます。
年末調整とは、1年間の所得が確定した時点で改めて所得税を算出し、源泉徴収額との過不足を調整する作業です。このとき、改めて各種控除の適用をおこなうため、従業員全員の扶養家族などの状況確認を実施します。従業員全員に必要書類を配布して回収後に内容を照合する手間もさることながら、記入ミスや期限後提出などが発生しやすい点も煩雑さの原因です。
給与額はもちろん、給与計算に関わるさまざまな個人情報は重大な機密事項です。担当者は守秘義務を貫かなければなりません。また、小さな会社の場合、目の前に座る社員の給与計算をしている場合もあり、周囲の目に触れないよう気を遣う必要もあります。
給与は、従業員の生活基盤です。計算が間に合わなかったからと支払いを遅らせるわけにはいきません。締め日から支給日までに計算を終え、支払いをする必要があります。給与計算以外も兼任している場合、その他の業務もありますから、非常にタイトなスケジュールで進める必要があります。
給与計算システムとは、従業員の雇用情報や勤怠管理情報などを踏まえ、自動で給与計算をおこなうシステムをいいます。事前に従業員の基本情報を登録しておけば、給与額面の算出から所得税や社会保険料の控除などを自動計算してくれるというわけです。
給与計算ソフトには、「スタンドアロン型」と「クラウド型」があります。スタンドアロン型とは、給与計算用パッケージソフトを購入して、インストールする方法です。インストールした端末でしか利用できない反面、インターネット接続を必要としないという利便性もあります。一方のクラウド型は、データやシステムがクラウドサーバー上にあるため、インターネット環境が必要不可欠です。
クラウド型は月や年の定額制であることが多いため、買い切りで済むスタンドアロン型を導入したいという考えもあるでしょう。しかし、以下に解説する9つのメリットから、これから導入を検討するのならクラウド型をおすすめします。
クラウド型給与計算システムは、給与計算業務を多角的に効率化できるツールとして注目されています。具体的な9つのメリットは、次の通りです。
雇用データや勤怠管理データを基に、基本的な給与額面を自動計算します。時間外労働の割増計算も自動でおこなわれます。また、各種手当の条件を設定しておけば自動で適用され、重複や漏れなどを防ぎます。
手入力や手計算をする必要がないため、工数削減だけでなくヒューマンエラーによる計算ミスを防ぐ効果もあり、正確性が向上します。
給与額面の計算と同じように、控除額についても自動計算されます。クラウド型システムは、税法や料率に改正があっても自動アップデートされるため、常に適切な控除計算がおこなわれます。
クラウド型給与計算システムでは、飲食店や小売店が発行するレシートをスマホやタブレットで読み込み、そのまま経費精算申請することができます。移動中に処理ができるため、詳細不備やレシート紛失などを減らすことができるでしょう。また、交通系ICカードとの連携もでき、いちいち経路確認をする手間もなくなります。
クラウド型給与計算ツールでは、給与明細の電子配布が可能です。従業員があらかじめ設定されたIDやパスワードを用いてシステムにアクセスすると、自分の給与明細のみ閲覧できるという方法が一般的でしょう。明細も個別にダウンロードできるため、従業員自身の判断で保存も可能です。
給与計算に関わる法改正は多く、税率や社会保険料率の改訂も頻繁に実施されます。しかし、クラウド型ツールでは施行に合わせて自動アップデートされるため、担当者が改正について調べたり勉強したりする必要がありません。
クラウド型給与計算システムは、情報共有や共同作業のしやすさも利点の1つです。例えば、年末調整に必要な扶養家族情報や生命保険などの民間保険料額などを、従業員自身が直接システムに入力してもらうこともできます。もちろん担当者が内容をチェックする必要はありますが、必要書類の配布・回収・確認・手入力といった複数の工程を省くことが可能となります。
給与計算担当者の作業内容は、逐一クラウドサーバー上に保存されるため、経営者や経理部門の管理職などはいつでもリアルタイムの情報を共有できます。進捗状況に合わせて分業することも容易で、担当者だけに業務が集中することや属人化も防げます。
クラウド型ツールでは、クラウドサーバー上にあるストレージで情報を保管します。クラウドサーバーは、サービス提供事業者がセキュリティ対策を施しているため、自社で対策を取るよりも情報漏洩などのリスクは低いでしょう。また、個人情報を社内に紙保存する必要がなくなるという点でも、セキュリティリスクを低減できます。
クラウド型ツールは、インターネット環境さえあれば、いつでもどこからでも端末を問わずアクセスできます。このため、テレワーク・在宅ワークなどの多様な働きかたに対応可能です。
クラウド型給与計算ツールを導入すると、業務の大半を自動化できます。自動化は、単純に工数を削減するだけでなく、ヒューマンエラーを減らすことによる精度向上や業務効率化も実現させます。
特に、給与計算にまつわる労働時間の捉え方や税法理解などは、専門知識がないと誤解や勘違いを生みやすいものです。難しい部分をすべて自動化できる給与計算システムの導入は、より正確で適切な処理につながるでしょう。
ただし、導入を検討する際は下記の点に注意してください。
セキュリティ対策は、サービス提供事業者に一任することになります。事業者の企業方針や外部認定資格取得情報などを確認し、慎重に検討することが大切です。
どのクラウド型給与計算ツールでも、上記のような基本機能は備わっています。しかし、それ以外はさまざまな特徴があるでしょう。自社の企業規模や業種、目指す効率化の方向性などに適したシステムを選ぶことが重要です。また、単純に使い勝手の好みもあります。無料試用期間が設けられている場合は、まず触ってみることをおすすめします。
クラウド型給与計算ツールには、導入コストと運用コストがかかります。サービス提供事業者によって料金体系が異なるため、具体的な見積もりをとって複数社を比較しましょう。ただし、一般的には、導入による業務効率化によって生産性があがり、かかった以上のリターンを得られるケースも少なくありません。目先のコストだけに気を取られないことも大切です。
煩雑な給与業務を効率化するためのツールとして、クラウド型給与計算システムは効果的な方法です。
給与計算の業務の効率化や正確性向上だけでなく、ペーパーレス化が促進されることで印刷や保管にかかるコストダウンもみこめます。また、自動化によってリソースの再配分も可能となり、コア業務の生産性向上も期待できるでしょう。
とはいえ、新しいシステムを導入するためにはある程度の準備が必要です。移行のための設定も重要なうえ、使い方を習得し慣れるまでには時間もかかるものです。
そこで、弊社では導入ツールの選定から導入サポート、導入後のアフターケアまでご用意しています。
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