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コラム

2023.12.16
面倒な年末調整の対応方法を徹底解説

年末調整が必要な理由

年末調整とは、1月1日から12月31日までの1年間に得た給与にかかる所得税をから源泉された従業員の所得税の金額と、年間の給与金額から計算した確定金額との差額を精算する手続きです。

従業員の年間所得が確定する12月に実施されることから、「年末調整」と呼ばれています。

正しい税額を申告して過剰分の還付を受ける

毎月源泉徴収されている所得税額は、給与月額から想定される年間所得に基づいた概算額です。

実際の所得税には従業員ごとに各種所得控除が適用されるため、概算額とは差が生じます。年末調整は、その「差」を修正するための手続きです。

つまり、従業員の確定申告を企業がまとめて代行しているともいえます。

年末調整をしなかった場合に生じる5つのリスク

自社の従業員の年末調整は、雇用主がおこなうべき義務のひとつです。年末調整をおこなわないと正しい納税ができません。

もしも、故意に年末調整をおこなわなかった場合、あるいは不備が多いなど適切に実施されなかった場合、次のようなリスクが考えられます。

リスク①過剰納税分の還付がない

先にも述べたとおり、源泉所得税額は概算であるため本来の所得税額よりも多いことが一般的です。

そのため、一時的に過剰納税になっている分は、年末調整によって還付されます。

つまり、年末調整を実施しなければ、修正作業ができないため「所得税を過剰に納税したまま」になるというわけです。

リスク②ペナルティ税の課税

年末調整を実施したものの期日までに納付できなかった場合は、「延滞税」が発生します。これは、法定納期限翌日から納付完了までの日数によって課税されるもので、いわゆる「利息」です。課税利率は納期限の翌日から2ヵ月間は年利7.3%ですが、2ヵ月以降は年14.6%にあがる点に注意しましょう。

また、故意に年末調整を実施しなかった場合は、さらにペナルティとして「加算税」を課される可能性もあります。加算税の課税割合は、本来の税額に対して10%以上のものが多く、余計なコストがかかることになるでしょう。

リスク③従業員との信頼関係が崩壊

会社が年末調整をおこなわなかった場合、従業員は各自で確定申告をおこなわなければなりません。確定申告には準備が必要で、年末調整と比較すると圧倒的に手間がかかり手順も複雑です。

従業員の負担が増大し、会社に対する信頼度が低下することになるでしょう。エンゲージメントの低下はモチベーションの低下につながり、業績悪化や退職者増加の可能性も高まります。

リスク④社会的信用の失墜

適正な納税をおこなわない会社は、社会的な信用も失って当然です。取引先や融資元との関係が悪化する可能性もあります。

いったん落とした評判や失った信頼は、再び積み上げることが非常に困難です。従業員流出を防ぐことも新規採用をすることも難しく、企業存続にまで影響をおよぼすおそれもあるでしょう。

リスク⑤雇用主に罰則、資産差し押さえなど

故意に確定申告を免れようと画策した場合、書類偽造や虚偽申告をした場合、従業員から徴収した所得税を着服した場合などは、悪質な「脱税」だと判断されることがあります。脱税をした事業者は、懲役刑や罰金支払いなどの罰則対象です。

また、税金未納や脱税を税務署に指摘されて納税の督促があてなお納付しなかった場合には、資産が差し押さえに発展するケースも考えられます。

年末調整を効率よくおこなうためのポイント

年末調整はおこなうべき必要な業務です。しかし、年末調整は手間も時間もかかるため、面倒だと感じてしまうのもしかたないことでしょう。

そこで、ここからは年末調整に生じやすい問題点を指摘し、効率よくおこなうための解決策を提案します。

問題点1:回収がスムーズにいかない

年末調整では、従業員に扶養控除申告書や保険料控除申告書、各自が添付すべき控除証明書などの書類を提出してもらわなければなりません。これには、書類回収がスムーズにいかない、督促が面倒、不備が多くて修正が面倒だといった問題があります。

対策:事前説明・早めの配布

従業員のなかには、年末調整の仕組みや税法に詳しくないという人も少なくないでしょう。事前説明の時間をもらい「期日までに提出できなければ過払分の還付が受けられない」「会社に法的なペナルティがある」など重要なポイントを端的に伝えると、速やかな提出が期待できます。

問題点2:書類チェック、訂正依頼が大変

従業員からの書類が集まったら、チェック作業です。年末調整の書類はますます複雑化しているため、提出書類に不備がある場合も多く、修正や追加提出の依頼、質問への対応などもしなければなりません。

対策:書き方教室開催
従業員が記入する書類については、朝礼時やコアタイムなど従業員が揃っているタイミングで一斉配布し、その場で指示通りに記入してもらうという方法が有効です。よくある質問の回答や簡単の修正をまとめておこなえるため、担当者の手間は大幅に減るでしょう。

問題点3:法改正に対する勉強と理解が追いつかない

経理業務の担当者にとって、毎年のようにある関連税法の改正や制度の見直しに対応するのは大変なことです。独学に頼るのでは担当者の負担が大きく、誤った理解をしている場合に訂正する人がいないということになります。

対策:勉強会・研修・資料を経費で揃える
ここは企業負担で勉強会や研修、資料調達をおこないましょう。自分1人で考えてわからないことが専門講座であっさりと解決することはよくあることです。また、複数の従業員が同じ勉強をすることで、1人の誤解を訂正することができミスや不備も軽減します。

問題点4:リソースが取られてしまう

経理担当者が1人しかいない企業では、担当者が年末調整にかかりきりになることがほとんどです。また、年末調整のために他部門から従業員を選出することもあるでしょう。しかし、それによって本来すべき業務が停滞してしまうのならば、問題です。

対策:臨時社員(派遣など)を雇う
社内リソースを圧迫しないためには、外部から人材補充する必要があります。パート契約や派遣社員、一時的なアウトソーシングなどを活用することで、雇用コストを最小限に抑えることも可能です。

問題点:毎年いっぱいいっぱいになってしまう

年末調整を少しでも効率的におこなうためには、担当者サイドの事前準備や作業シミュレーションも必要です。

対策:早めのシミュレーション・事前準備・申し送り・マニュアル化
早い時期に担当者間で、年末調整業務のスケジュール感を共有しておきましょう。昨年の業務内容や反省点、今年の変更点なども、担当者間で共有します。一度、年末調整の業務フローを棚卸して、改善点を明確にし、対策を検討するとより効果的です。

最大のポイントは、年末になる前に動き出すことです。特に従業員へ説明や書類の依頼はできるだけ早くおこないましょう。動き出しが早ければ、余裕をもって作業できます。

根本的な解決方法【1】年末調整のDX化

ここまでに挙げた対策は、従来のアナログな方法を効率化する手段です。深刻な人材不足などで年末調整業務の遂行が大きな負担になっている企業では、根本的な解決策を講じる必要があるでしょう。

その場合に有効な解決法は、年末調整のデジタル化・ペーパーレス化です。

年末調整をデジタル化するためには、年末調整に対応している会計ツールを導入します。すでに会計ツールを導入している企業では、お使いのツールが年末調整に対応しているかどうか、アップデートや追加ソフトが必要かどうかを確認しましょう。

これまで会計業務をアナログでおこなっていたという企業は、これを機に経理業務をデジタル化することをおすすめします。

年末調整DX化の流れ

デジタル化された年末調整は、以下のような流れでおこなわれます。

(1)従業員それぞれが、必要な控除証明書データで取得

保険会社など多くの企業で、デジタル控除証明書の発行が可能です。

(2)従業員それぞれが、デジタル控除証明書などのデータを年末調整システムにアップロードする

PCやスマホなどデジタル証明書を受け取った端末でそのまま作業できるものが多いでしょう。

(3)従業員それぞれが、年末調整ツール上で情報記入をする

扶養控除申告書、保険料控除申告書などをアップロードしたら、その流れで必要事項を記入します。修正があった場合も、各自で対応できるため簡単です。

(4)年末調整担当者は、従業員が提出した情報をもとに作成された年末調整書類を確認し、最終的な完了をおこなう

複雑な計算や必要事項のチェックはシステムがおこなうため、経理担当者は結果のチェックや提出状況の確認をおこないます。従業員の提出したデータは、適切にデジタル保管されるため安心です。

年末調整を電子化することで、以下のようなメリットが得られます。

メリット①入力の手間減・正確性アップ

従業員それぞれが自分の情報を入力するため、担当者の手間を大幅に削減可能です。また、転記ミスや計算ミスもなくなり、正確性が大きく向上します。

メリット②回収不要・保管不要

アナログでの年末調整は、大きさが異なるさまざまな書類を集めなくてはなりません。しかし、デジタル化すれば、システムへの直接入力やデータ転送ができるため、回収する必要がありません。支店の分も本社で対応するケースでは物理的な移動をなくせるため、省力化の効果が高いでしょう。また、紙面での回収がないため保管スペースが空き、有効活用できるというメリットもあります。

メリット③個人情報管理負担減

年末調整書類は、個人情報の宝庫です。そのため取り扱いや保管など、管理にも気を使わなければなりません。しかし、年末調整ツールでは適切なセキュリティ対策がとられたサーバーにデジタルデータとして保管されます。元データは各従業員が持っているため、提出後に照会依頼を受ける必要もなくなるでしょう。

●注意点:初期コスト

ただし、年末調整に対応しているシステムは、一般的な会計システムや給与計算システムよりも高い傾向にあります。デジタル化の導入は、従業員数が多いほど効果も高くなります。導入メリットとコストを比較して、慎重に検討しましょう。

国税庁の「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(通称、年調ソフト)」は、無償で使える年末調整の電子化ツールです。ただし、従業員の作業を簡易化するためのシステムであり、デジタル控除証明書をもとに年末調整のデジタル書類を作成するという機能にとどめられています。その後、年末調整として必要な処理や計算をおこなうためには、年調ソフトで作成されたデータを自社の会計ツール取り込むことが必要です。ただし、年調ソフトに対応しているかどうかは会計ツールによって異なります。

根本的な解決方法【2】アウトソーシング

アウトソーシングとは、自社の業務を外部委託することです。税理士や会計士といった経理業務のプロに年末調整業務を委託すれば、経理担当者は面倒な業務から開放されます。

年末調整アウトソーシングの流れ

年末調整をアウトソーシングするためには、まず自社の業務を洗い出して何をどのくらい委託するかを検討します。毎月の会計業務から任せることも、年末調整のみを委託することも可能です。

委託業者内では、会計業務がデジタル化されていることがほとんどですが、提出は紙資料でもかまいません。自社に合わせた対応策を提案してもらうため、まずは相談してみるとよいでしょう。

アウトソーシングをおこなうと、デジタル化で得られるメリット3つに加えて、以下のメリットが得られるでしょう。

メリット①税制改正に適切な対応

アウトソーシング先は経理のプロ集団です。入力から計算、チェックまですべてプロがおこなってくれるため、正確性が大きく向上します。また、税理士など税法の専門家と提携していることも多く、毎年の法改正にも適切に対応してくれます。

メリット②コア業務に集中・繁閑の平均化

アウトソーシングの最大のメリットが、人員コントロールを可能にするという点です。

自社の経理担当者が通常業務に集中でき、長時間労働の発生や業務の停滞といったリスクを回避できます。また、繁閑期を平均化でき、繁忙期のたびに他部門のリソースを割かれることもなくなるでしょう。社内リソースをコア業務に専念できるため、業績向上も期待できます。

●注意点:委託コストと漏洩リスク

アウトソーシングのデメリットの1つは、情報漏洩リスクです。年末調整の書類は、特に個人情報が多く含まれています。万が一漏洩した場合は大きなダメージを受けるため、委託先の管理体制を十分に確認しておきましょう。

また、自社内にノウハウが残りにくいという難点もあります。内製化を計画している場合は、委託量や内容を考えることも大切です。

アウトソーシングにかかるコストも見逃せません。コストは作業ボリュームに比例することが一般的なため、従業員数が多いほどコスト負担も大きくなるでしょう。ただし、アウトソーシングによる業務効率向上やリスク回避による損益を考慮すると、結果的にコストダウンとなるケースも少なくありません。

まとめ

面倒な年末調整を効率よく進める方法として、「アナログにおける事前準備」「デジタル化の導入」「アウトソーシングの活用」をご紹介しました。対応方法のなかには心構え次第で簡単に実現できることから、業務フローの見直しやシステム導入など会社全体での大きな決断必要とすることもあります。

新しいことを始めるには時間がかかります。なるべく早めに、先を見据えて動き出すことが大切です。

私たち横浜・町田経理アウトソーシングオフィスは税理士法人YMG林会計のグループ会社であり、税務/経理の専門家である税理士とグループ提携しています。
年末調整への対応サポートも用意していますので疑問点・ご相談がございましたらお気軽にご連絡ください。

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