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コラム

2025.05.02
中小企業の決算業務を徹底解説|流れ・注意点・効率化のポイントまで

決算業務とは?中小企業にとっての重要性

中小企業では、1年に1度の事業年度末に年次決算を実施することが一般的です。年次決算業務は、日常的な経理業務とは異なり、決算特有の会計処理を行います。企業の財務状況を正確に把握し、適切な決算書を作成するためには、会計基準や税法の専門知識が欠かせません。

決算業務で作成する決算書は、税務申告や金融機関との取引にも活用する重要な書類です。また、適切な決算処理が企業の財務健全性を維持し、信用を確保することにつながります。万一、ミスや漏れがあれば、税務対応や資金調達、そして企業の社会的信用に悪影響を及ぼすでしょう。

決算業務の流れ|3つの主要ステップ

決算業務は、勘定科目残高の確定、税金の計算、そして決算書の作成という3つのステップに分けられます。ここでは、3つの主要ステップの具体的な内容について説明します。

ステップ1:勘定科目残高の確定

まず、日々の仕訳をもとに、決算日時点のすべての勘定科目の残高を確定することが重要です。年次決算では、月次での集計処理とは異なり、以下のような詳細な確認作業を行います。

  • 棚卸資産(在庫)の実地調査と金額確定
  • 預金・借入金の残高証明書の取得と照合
  • 減価償却費の計上
  • 前払費用・未払費用などの経過勘定の処理
  • 債権・債務の確定と不良債権の評価 など

ステップ2:消費税・法人税の計算

次に、確定した勘定科目残高をもとに、消費税と法人税を算出します。税額を計算した後は、「未払消費税」と「未払法人税」として計上します。

ステップ3:決算書・申告書の作成

最後に、以下の決算書を作成します。

  • 貸借対照表(B/S):企業の資産、負債、純資産の状況を示し、財務状態を把握するための書類
  • 損益計算書(P/L):一定期間の収益と費用を集計し、企業の経営成績を明確にするための書類
  • 株主資本等変動計算書:株主資本や利益剰余金の変動を記録し、可視化するための書類
  • 個別注記表:会計方針や財務状況に関する補足情報など、決算の詳細を補完する書類
  • 税務申告書:企業収益や税額(法人税・消費税)を計算し、税務署へ提出するための書類

これらの決算書は、経営分析や次年度の戦略立案、企業内部の意思決定などにも活用されます。さらに、企業の透明性を示す資料として、ステークホルダーとの信頼関係強化にも欠かせません。正確でわかりやすい決算書は、企業価値を高めることにもつながるでしょう。

決算業務でよくあるミスと負担が大きい処理3つの対策

決算業務には、専門的判断や細かな確認が必要な処理が多く、手間も時間もかかります。特に、「勘定科目残高の確定」は、財務データのベースとなる重要な作業です。ここでミスや漏れが生じると、以降の処理をすべてやり直すことにもなりかねません。

ここでは、特に注意すべき3つの主要処理とミスを防ぐポイントについて解説します。

(1) 棚卸資産の計上ミス

棚卸資産とは、企業が販売や生産のために保有する在庫であり、期末日時点で未使用の商品・原材料・仕掛品を指します。ここに、備品等の未使用品は含みません。

棚卸資産は、決算日時点の数量と評価方法に基づく仕入単価を乗じて在庫額を確定します。現在試算表に計上されている棚卸資産金額を原価に振り替え、「確定した」棚卸資産金額を原価から棚卸資産へ振り戻します。

【仕訳例】期首商品在庫20万円が決算時に25万円と確定した場合

借方 金額 貸方 金額
期首商品棚卸高(原価) 200,000円  商品 200,000円
商品 250,000円 期末商品棚卸高(原価) 250,000円

ミスを防ぐには

  • カウントミス:定期的に在庫数量を確認しておく
  • 評価方法の誤適用:仕入単価の計算方式(FIFO・LIFO・平均法)をルール化、年度初めに確認
  • 振替ミス、仕訳ミス、記帳漏れ:仕訳ルールを明確化し、月次ダブルチェックを実施する

棚卸資産は、損益に直結する重要な要素です。記帳時点でミスがあると、決算に大きな影響を与えるため、その都度ダブルチェックを行い早めに修正しておくことが大切です。

(2) 減価償却費計上ミス

減価償却費とは、固定資産の取得費用を耐用年数にわたって分割し、各会計期間に計上する経費のことです。固定資産とは、土地や建物、設備・機械など、企業が長期間使用し、かつ繰り返し収益を生むものを指します。

【仕訳例】器具備品400,000円、償却率0.5(定率法)の減価償却費200,000円を計上した場合

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 200,000円 器具備品 200,000円

ミスを防ぐには

固定資産の取得金額、償却方法、耐用年数、勘定科目などを正確に登録することが大切です。また、期中に概算計上を行う場合は、その数字を戻し入れたうえで確定額を計上しましょう。

(3) 経過勘定の仕訳ミス

経過勘定とは、支払いや入金のタイミングと、費用または収益として認識するタイミングが異なる場合に適用される会計処理です。

以下の基準に従い、適切な科目で計上します。

  • 支払・入金済みだが、費用・収益として認識するのは来期以降 → 前払費用・前受収益
  • 支払・入金はまだだが、今期に費用・収益として認識すべき → 未払費用・未収収益

1. 資産・負債として処理するもの

  • 未払金(例:買掛金)
  • 未収入金(例:売掛金)
  • 前受金(例:契約前受金)
  • 前渡金(例:仕入先への前払金)

【仕訳例】決算月(3月)に消耗品25,000円を購入し、支払いは4月の場合

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 25,000円 未払金 25,000円

2. 損益計算上の費用・収益

  • 前払費用(例:前払保険料、翌月分家賃)
  • 未払費用(例:水道光熱費、給与)
  • 前受収益(例:サブスクリプションの前受料金)
  • 未収収益(例:未回収の賃料や利息)

【仕訳例】決算月(3月)末日に4月分の家賃200,000円を支払った場合

借方 金額 貸方 金額
前払費用 200,000円 現金預金 200,000円

ミスを防ぐには

  • 請求書ベースでの即時計上を避け、内容と時期を確認する
  • 勘定科目ごとの使用ルールを社内で明確にする
  • 振替処理のタイミングと記帳漏れをチェックリストで管理する
  • 請求書未着分は、見積書や契約書を活用し対応する

経過勘定は、発生主義会計における「期間対応」の原則を守るために重要な処理です。ルールを明確化し、迷わず処理できるように仕訳時のチェックリストを活用すると良いでしょう。

決算業務を効率化するための4つのポイント

決算業務は、日常業務と並行しながら、膨大なデータを正確に処理する必要があります。1人経理でもスムーズに進めるには、日々の業務改善と計画的な決算準備が不可欠です。限られた人手と時間の中で効率化する4つのポイントを紹介します。

1. 月次レビューの習慣化

決算業務の負担を軽減するためには、月次レビューの習慣化が効果的です。年次決算まで先送りにせず、月次決算を丁寧に行うことが年次決算をスムーズに進める鍵となります。

  • 日々の仕訳を正確に計上し、決算時の修正を最小限に抑える
  • 月次決算で、異常な残高を確認し、間違いがあれば都度訂正する
  • 固定資産の管理を行い、耐用年数の判断・システム登録を適宜実施する
  • 決算に必要なデータは、事前に整理し、準備を徹底する
  • 経過勘定を期中で適切に計上し、月次決算の精度を高める

2. 業務マニュアルの整備

決算業務は、1年に1度しかなく、慣れていないと手順を思い出すのにも時間がかかったり、処理漏れや抜けが生じたりするリスクがあります。そういった状況を回避するために、業務マニュアルを作成しておくことが効果的です。マニュアルがあれば、他部門の社員もサポートしやすく、適切なダブルチェックが行えます。また、経理担当者の休職や退職があったときも、スムーズに引き継ぎできるでしょう。

3. 他部門との事前連携

決算業務は、経理部門だけでは完結しません。請求書がなければ残高が確認できず、営業部門の経費精算が遅れれば費用確定も困難になるため、他部門からの資料を提供してもらう必要があります。そのためには、決算業務に必要な資料を整理し、事前に他部門と共有することが重要です。さらに、経営陣が決算の重要性を周知することで、他部門も目的を理解し、協力を得やすくなるでしょう。

4. 決算前チェックリスト

決算業務の作業を一覧化したチェックリストを活用すると、抜け漏れ防止に有効です。前年度決算からの変更点や注意点を記録しておくことで、決算精度を年々向上できます。

決算業務を効率化するアウトソーシングという選択肢

決算業務は決算期に業務が集中するうえ、簿記や会計の専門知識が必要不可欠です。1人経理では負担が大きく、処理ミスや日常業務の停滞が発生しやすくなります。

そこで、まずは日常業務にアウトソーシングを導入する方法がおすすめです。1人経理の課題である属人化の解消やチェック対象の強化ができ、専門性を確保しながら業務負担の軽減が図れるでしょう。さらに、残高の確定や税金計算など、より高度な専門知識が求められる決算業務は、税理士に依頼することで、最新の税制にも適切に対応できます。

アウトソーシングできる経理業務とは

日常的な仕訳記帳業務を委託することで、適切な仕訳作業と正確な記帳業務が実現します。本コラムで紹介したような「よくあるミス」リスクを回避することができるため、決算業務の効率化にもつながります。アウトソーシングは、業務プロセス全体の委託から作業単位の依頼まで、幅広く対応可能です。業務負担や専門性、予算も考慮し、適切なアウトソーシング範囲を慎重に検討しましょう。

また、税理士には、下記の業務を委託可能です。決算業務の効率化だけでなく、健全性の維持や企業成長にも貢献するでしょう。

  • 月次残高チェック:帳簿と実際の残高の整合性を確認
  • 決算整理仕訳の対応:決算に必要な仕訳を正確に対応
  • 固定資産台帳の整備:減価償却の基礎データを正しく管理
  • 税務署とのやりとり代行:資料のやり取りや確認業務を効率化
  • 法人税・消費税の申告業務サポート:専門知識が必要な書類作成をサポート

アウトソーシングで得られるメリットとは

正確性の向上

プロの視点によるチェック体制が整い、正確性が向上します。また、クラウドツールと連携し、取引データ取得などを自動化することで、手作業によるミスや漏れがなくなります。

専門性の確保

税務や会計の専門家のノウハウを活用し、適切な処理を実施できます。業務の質を高め、複雑な決算業務にも対応可能です。

時間の削減

煩雑な経理業務の負担を軽減し、繁忙期の残業を抑制できます。働き方改革に準じた労働環境を整えることにもつながります。

最新の税制や制度変更にも対応

1人経理は、税法改正や制度改正があるたびに、自分で勉強しなければなりません。相談相手もなくチェック体制も整っていない中では、誤解やミスが生じるリスクも高まります。専門家のサポートを活用することで、適切な税務対応が可能となります。

業務の標準化

特定の担当者に依存する属人化を防ぎ、再現性のある業務フローを構築できます。決算業務プロセスを標準化することで、担当者変更時のスムーズな引き継ぎや業務の一貫性を確保にも役立ちます。

社内リソースをコア業務に集中できる

1人経理の繁忙期における業務過多、それに伴う日常業務の停滞が起こりにくくなります。また、他部門の社員が応援に回る必要もなくなり、経営や営業などコア業務への注力が可能になるでしょう。経理業務の効率化が、企業全体の効率アップにも寄与します。

無料相談の活用で「コストと効果」を徹底比較

アウトソーシングには、多くのメリットがありますが、その分コストが発生します。アウトソーシングする業務を精査し、費用対効果を慎重に検討することが大切です。

さらに、自社の規模や業種、業務内容に合った業者を選定することも重要です。類似企業の支援実績が豊富な業者なら、蓄積されたノウハウを活用し、最適な方法を提案できます。そのため、契約を検討する前には、無料相談を活用し、自社に最適な依頼範囲を見極めましょう。

無料相談の活用については、以下のコラムでも詳しく解説しています。
【経理アウトソーシングの比較検討】無料相談を無駄なく活用するポイント

まとめ

決算業務は、経理の中でも特に重要で負担の大きい業務です。正確性を高めることが重要で、ミスがあると財務情報の誤りや納税額の過不足が生じます。不正確な財務データでは、経営判断を誤ることにもなりかねません。

また、決算資料は金融機関との取引に関わり、資金繰りにも直結します。そのため、可能な作業は前倒しし、業務フローを事前確認することで、より効率的な決算業務を行えます。

自社内で手に負えない場合は、日常業務にアウトソーシングを導入する方法が効果的です。
また、決算業務を税理士に委託するという選択肢もあります。

弊社では、貴社の環境に適したご提案・サポートをさせていただきます。
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この記事を担当した税理士
株式会社YMG コンサルティングラボ 部長代理 興梠 貴裕
保有資格弥生インストラクター資格 / 日商簿記3級
専門分野IT
経歴業務系システム業界に身を置いて12年目。様々な業種のお客様のシステム導入に関する多くの相談実績が有り 導入実績も多数。常にお客様目線で対応し、お客様の課題解決に全力で取り組む姿勢に定評有。
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