2024.11.28
デメリットだけではない。1人経理のメリットを生かす方法
1人経理のメリットとデメリット 「1人経理」とは、経理業務を担当する社員が社内に1人であることをいいます。リソースに限りのある中小企業では、経理業務だけでなく、勤怠管理や総務などのバックオフィス業務…
勤務先との雇用契約を結ぶのではなく、自ら起業して継続的、反復的に事業所得を得る人のことを個人事業主といいます。対して法人とは、さまざまな権利や義務を負った法人格を持つ組織のことです。一般的に、営利法人のことをいわゆる「会社」と呼びます。つまり、法人化とは個人事業主が起こした事業で会社を設立するための手続きです。
個人事業主は開業届を提出すれば始められますが、法人設立には複雑な手続きと費用を必要とします。それでもなお、法人化を検討すべきタイミングは次の3点です。
個人事業主は、事業所得に応じて所得税を納めます。所得税は累進課税制のため、所得が増えると税率も段階的に上がっていき、最高税率は45%です。また、2037年まで復興特別所得税(原則2.1%)を併せて納付することとなります。
一方、法人化した企業が納める法人税は、ほぼ一定税率です。資本金1億円以下の普通法人の場合、年800万円を下回る部分が15%、800万円を超える部分が23.20%と定められています。
このように個人事業主と法人ではかかる税率が異なるため、事業所得が大きくなってくると法人化したほうが節税しやすくなるでしょう。具体的には課税対象金額が800~900万円以上で安定してきたあたりが、法人化を検討すべきタイミングの1つです。
銀行などの金融機関は、融資先の経営状況や資産状況、経営の健全性や将来性など、さまざまな視点で審査を行います。個人事業主でも融資を受けることはできますが、一般的に法人の方が信用を得やすく融資可能金額も高くなる傾向にあります。設備投資や新規事業の立ち上げなどで資金が必要なタイミングは、法人化を考えるタイミングにもなるでしょう。
事業が軌道に乗り、従業員の雇用や事業所の増設を検討するときも、法人化を検討すべきタイミングの1つです。法人化をすると社会保険などの労働環境を整えることにもなります。求職者の視点で考えると、社会保障がある法人のほうが魅力的です。優秀な人材の確保を考える際は、法人化も視野に入れて検討するとよいでしょう。
消費税の課税業者となる基準は、年間売上が1,000万円を超えた場合です。また、新規に設立された法人は、最初の2年間に消費税の免除を受けられます。これらのことから、2年連続で売上1,000万円以上になったタイミングで法人化すると、大きな節税効果が期待できます。
2023年10月インボイス制度施行以降は、売上にかかわらず課税業者を選ばざるを得ないケースも多くなりました。そのため、同時に法人化を検討する企業も多いことでしょう。しかし、企業によってはインボイス事業者になるタイミングで法人化することがメリットになるとは限らないため、慎重に検討することが大切です。
法人を設立する際は、定款や資本金を準備したうえで法人登記の申請を行います。手間も費用もかかりますが、最適なタイミングで法人化すると得られるメリットのほうが大きいでしょう。具体的なメリットは、次の通りです。
個人事業主と法人では、税の仕組みが大きく変わります。個人事業主の場合は、売上から経費や控除を差し引いた事業所得のすべてが課税対象です。一方、法人では下記のような節税メリットを得られるため、効果的な節税対策が行えます。
・法人税の対象となる
・消費税の2年間免除
・赤字の繰り越し控除期間が9年となる
・経費計上範囲の拡大(交際費、給与・賞与、退職金、一定の生命保険など)
経費については、個人事業主の経費項目に加えて範囲や金額が拡大されるため、メリットを感じやすいでしょう。中でも、経営者自身の収入を役員報酬として損金算入できる点は、個人事業主との大きな違いです。
個人事業主は、確定申告で事業所得税の申告と納税を行うため、事業年度は1月から12月と決められています。一方、法人化すると決算月を自由に決められます。事業上の繁忙期を避け、都合のよいタイミングに調整できるというわけです。
個人事業主が亡くなった場合、その事業は相続財産となります。法定相続人が事業を承継しなければ、廃業となる可能性もあるでしょう。法人化した場合、事業用の資産は法人が引き継ぐため、取引先に迷惑をかけることなく事業を継続できます。また、経営者個人が保有する株式等が相続財産となるため、相続もしやすくなります。
個人事業主は、事業を健全に運営する無限責任を負います。例えば、未納税や売掛金未払いなどが発生した場合には、事業主の個人資産から補填したり債務を負ったりする必要があります。しかし、法人の場合は、原則として出資金額に応じた有限責任です。代表者個人がすべての責任を負う必要はありません。
法人化すると、その会社の情報が法務局に登記されます。第三者でも閲覧可能な方法で、公的機関に情報が登録されているという点は、安心材料として有効です。また、定められた手続を経て法人を設立したということから、覚悟を持って経営しており継続性も高いと見なされるでしょう。客観的な信用度が高まると、銀行融資を受けやすくなったり取引先や顧客の拡大がしやすくなったり、あるいは採用がしやすくなったりと多角的なメリットを得られます。
法人化にはデメリットもあるため、自社にとって必要かどうか、最適なタイミングかどうかをしっかりと見極めることが大切です。主なデメリットは次の通りです。
個人事業主が納める所得税や個人住民税は、課税所得高に応じて算出されます。そのため、事業所得が赤字の場合には非課税となります。一方、法人が納める法人住民税は、企業規模などに応じて納税額が決められており経営状況に関わらず負担しなくてはなりません。経営困難な状況でも納税義務が生じることを覚えておきましょう。
個人事業主の場合は、毎年の確定申告書を自分で作成しているという方も多いでしょう。しかし、法人が毎年の決算報告で作成する法人税申告書は、専門性が高く厳密なルールがあるため専門知識のない人が作成することは困難でしょう。税理士や公認会計士といった専門家と顧問契約を結び、会社の決算や税務申告書の処理を依頼するケースが一般的です。ただし、専門家に依頼をすればその分コストがかかることを覚悟しなければなりません。
法人は、従業員数にかかわらず「厚生年金保険・健康保険・介護保険・雇用保険・労災保険」という5つの社会保険への加入が義務づけられています。社会保険料については、労災保険は全額が企業負担、その他の4保険は企業と従業員が折半で負担します。つまり、社会保険料という新たなコストが生まれるということです。
クラウド型ツールの登場により、テレワークやBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)などの選択肢が増えました。働き手にとっては働く環境を選べる時代、企業にとっては時代に沿った経営を行えるかどうかを問われる時代になったといえるのではないでしょうか。
法人化を成功させるためには、まずオンライン環境の整備が重要です。増員や事業所の複数展開を行うのならば、テレワークやオンライン会議を行えるようにしておく必要があるでしょう。また、事業所の売上や取引情報を本社の経理管理システムにダイレクト反映させる「クラウド型ツール」の導入も有効です。
ビジネス環境の変化に伴い、企業のDX化は当たり前だという時代がやってくると考えられます。経費計上項目が拡大される法人化に合わせて、必要な業務効率化を済ませておくとよいでしょう。
法人化の税制メリットを受けるためには、適正な税務処理が必要不可欠です。税務調査リスクを回避するためにも税理士との顧問契約を結ぶと安心です。
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