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コラム

2024.12.20
【事業承継後の成長戦略】DXがもたらす新たな可能性

中小企業における事業承継後の課題と実態

中小企業庁がまとめた「中小企業白書」(2024)によると、中小企業経営者の高齢化はさらに進行し、その平均年齢は過去最高の60.5歳に達したとのことです。60歳といえば、ひと世代昔なら定年・引退も視野に入ってくる年齢です。そうなると、気になるのは後継者問題でしょう。

後継者不在に悩む経営者の割合は60代で約38%

後継者不在だと回答した経営者の割合は、60代の経営者で37.8%となっています。高い数値ですが、後継者不在率の推移を見ると2018年までは50%を超えていました。経営者の半数が後継者不在に悩んでいた時代からすると、数値上はやや改善していることがわかります。これは、事業承継における選択肢の増加が、少なからず影響を与えているのではないでしょうか。

事業承継における3つの選択肢

これまで、中小企業の事業承継は、経営者の子どもなどの親族が引き継ぐ親族内承継が主流でした。しかし、近年では血縁のない従業員に承継するケースが増加しており、2024年に発表されたデータでは「親族内承継(同族承継):32.2%、従業員承継(内部昇格):36.4%」と逆転しています。

また、M&Aを利用するケースも増え続けており、2024年には20.5%を超えました。事業承継手段の1つとして、拡大していることがわかります。

親族内承継(同族承継)

現経営者の子どもや親族などに承継する従来の方法です。メリットとして、承継前から後継者がわかっており心理面スキル面の準備期間を設けやすいこと、事業用財産と株式について相続による後継者への移転がしやすいことなどが挙げられます。また、代替わりによる若返り効果もあるでしょう。

役員・従業員承継(親族外継承)

血縁関係のない役員や従業員に承継するケースです。メリットは、経営者の意思で従業員の中から経営者の素質があると認めた人を選べること、勤続年数の長い人から選ばれることが多いため経営方針なども一貫性を保てることなどが考えられます。

M&Aほか

株式譲渡、事業譲渡、合併などの手段を用いて、社外の第三者に経営権を移す方法です。近年では支援センターなどの仲介サービスが充実しており、親族や従業員への事業承継が難しいケースでも、企業や創業希望者などから広く後継者を募ることができます。メリットは、経営資源の強化や弱みの補完、人材確保などができる可能性があることなどが挙げられます。また、事業経営者は、会社の売却利益も得られます。

事業承継をきっかけに成長する企業も

中小企業庁の調査では、経営者交代を実施した企業の売上高成長率は、事業承継後3年目以降から同業種平均を上回るという結果が出ています。事業承継は、今まで築き上げた事業資産や従業員だけでなく、さらなる発展への可能性をも引き継げるというわけです。

しかし、そのためには、後継者の経営方針や承継後のビジョンが重要です。先代の体制を大切にするあまり、新しいことに挑戦しないようでは、成長どころか衰退しかねません。では、どのような対策を取るべきでしょうか。

DXで経営革新を

DXとはデジタルトランスフォーメーションの略で、デジタル技術を利用して業務効率化を図り、経営やビジネスプロセスの改革をめざすことです。単なるデジタル化・IT化で終わるのではなく、それらの技術を利用して組織をより良く変えていくことを目的としています。

詳しく後述しますが、事業承継はDX化に適したタイミングの1つです。まずは、成長率向上効果が期待できる実施しやすいDX化手段について説明します。

クラウド型システムの導入が効果的

クラウドシステムとは、インターネットを介して、クラウドサーバー上のシステムを利用するサービスのことです。営業支援システムや製造業向けの管理システムなどもありますが、経理業務や勤怠管理などバックオフィス業務を担うシステムが導入しやすく、効果もわかりやすいでしょう。

その特徴と具体的な効果は以下の通りです。

特徴1:情報のデジタル化・デジタル管理

これまで紙媒体で管理していた情報を、すべてデジタルデータとして管理します。情報の検索がしやすいことはもちろん、データ同士の紐付け、タグ付けなどを行うことで、「取引先確認、在庫確認、発注作業、請求書作成・発行」など一連の作業をスムーズに行えます。

特徴2:情報取得の自動化・簡易化

各種金融機関や店舗のPOSレジなどと連携することで、取引情報や売上情報を自動取得できる点が大きな特徴です。経理・会計システムでは予め仕訳ルールを定めておくことで、最適な勘定科目へ仕訳けた上での記帳まで自動で行います。また、勤怠管理システムと従業員情報とデジタルタイムカードを連携させると、勤怠情報取得から給与額の計算、振込手配や明細書作成など一連の作業の自動化も可能です。

効果3:情報共有しやすい環境

作成したデータはクラウドサーバーに保存されるため、従業員それぞれの端末を用いて自由に閲覧できます。また、いつでもどこからでもアクセスできるため、取引先に向かう道中や商談中でも最新情報を確認できます。複数の人で同時に作業でき、情報の共有も簡単です。テレワークや遠隔会議もはかどるでしょう。

DX化で得られる7つのメリット

以上の特徴を踏まえて、導入後に得られる主なメリットを紹介します。

メリット1:業務効率化

クラウドシステムの導入で、煩雑かつ単純業務のほとんどが自動化します。必然的に業務の流れが見直され、重複作業の排除やボトルネックの解消などが行われます。これにより、業務フローの最適化、情報の一元管理などが実現し、業務効率化を図ることができます。

メリット2:不正リスク低減・信頼性向上

データ取得や計算が自動化されることで、入力漏れや計算ミスといったヒューマンエラーが消滅し、データの正確性が向上します。集計ルールが明確化することで、透明性も向上するでしょう。システムへのアクセスはIDによって管理され作業内容も記録されるため、データの改ざんなどを行うチャンスはありません。これにより、内部不正リスクは大きく低減します。

メリット3:人材不足の解消

システムの導入により自動化が進むと、人が介在する業務工数を大幅に削減できます。これまで時間を取られていた煩雑な単純業務をシステムに任せることで、それぞれのスキルや経験を生かせるコア業務にリソースを再配分することも可能です。

メリット4:多様化に配慮した職場環境

クラウドシステムの導入で安全に情報共有しやすい環境が整うと、従業員は場所や時間を選ばずに仕事ができるようになります。これにより、テレワークなどの多様な働き方を実現できるでしょう。働く意欲と高いスキルを持っているものの通勤やフルタイム勤務が難しい事情を持つ人材も、雇いやすくなります。

メリット5:モチベーションアップ・エンゲージメントの向上

心理的安全性が確保された職場では、意見やアイデア交換などの交流が活発化するでしょう。そこから新たな商品・サービスのヒントが生まれることが期待できます。また、そのような職場では、従業員が自ら仕事への熱意を持ちモチベーションの高い状態が保たれる傾向にあります。

メリット6:コストダウン・生産性向上

情報のデジタル管理によりペーパーレス化が推進され、印刷や保管場所などにかかる物理的なコスト削減が実現します。また、業務効率化により無駄な作業がなくなるため、同じ金額の人件費でも価値の高い働きに投じているといえるでしょう。相対的に利益率があがり、生産性向上が見込めます。

メリット7:企業成長へ

デジタル技術は社内の業務改革だけでなく、新事業の開発にも役立ちます。例えば、インターネットでの販売、複雑な技術が必要な製品開発にシステムの力を借りることなどが考えられます。また、遠隔地でもクラウド上での共同作業がしやすいため、これまで縁遠かった企業ともつながりやすくなるでしょう。

事業承継後とDX化の相性

中小企業の経営者の中には、高齢になるにつれ変化を恐れ現状維持に留まるようになる方が珍しくありません。しかしながら、このデジタル社会を生き抜くためには、企業のICT化、DX化は必要不可欠です。

経営者が変わるタイミングでDXを導入することは、きっかけとして良いタイミングです。また、事業承継によって、経営者の若返りが期待できるため、変化にも適応しやすいのではないでしょうか。その一方で、クラウドシステムの外部との情報共有がしやすいという特徴を生かし、引退した先代経営者から適宜アドバイスを受けるなど、円滑な引継ぎにも役立ちます。

DXのデメリット

DXのデメリットは、主に「変化」という部分にかかるものがほとんどです。しかし、事業承継は経営者の交代という企業にとって最大の変化を迎えるタイミングですから、DX化によるデメリットが大きな問題にならない可能性があります。

デメリット1:手間がかかる

クラウド型システムを導入する際には業務プロセスごとに見直し、最適な業務フローを再構築する必要があります。課題を挙げ、改善策を検討するためには、プロのノウハウが必要ですが、従業員の積極的な協力も求められるでしょう。

また、運用準備として、紙の帳簿で管理していたデータをシステムに登録する手間もかかります。すでにインストール型の会計システムやエクセルなどで管理している場合は、データ移行がしやすいシステムを選ぶことで手間を軽減できます。

デメリット2:コストがかかる

DX化には、システムの導入コストや運用コストがかかります。また、導入準備を社内リソースでまかなえない場合は臨時スタッフを雇ったり、プロにサポートを依頼したりするためのコストもかかるでしょう。ただし、ここでの出費は、運用が起動に乗り業務効率化が実現する頃には、コストダウンで得た「プラス」で相殺できることがほとんどです。

デメリット3:従業員に反対される場合がある

DX化は、毎日の業務フロー大きな変化があります。経営方針に関わる変化もあるでしょう。事業承継で引き継いだ従業員に変化の意識がなければ、受け入れられずにうまく機能しない可能性があります。従業員にとって、慣れた環境を変えるというのは抵抗感を覚えるものです。しかし、事業承継というタイミングは、「経営者が変わると、いろいろなことも変わるものだ」と納得しやすい利点があります。

デメリット:「DX=成功」ではない

DX化を進めるだけで、新規事業が成功するわけではありません。必ず期待通りの効果を得られるわけでもないでしょう。しかしながら、どのような改革も、成功と失敗、双方の可能性があって当然ですし、改革を行わなければ成功が約束されるわけでもないのです。

ここで重要な点は、DX化がギャンブルになってしまわないために、業務フローの見直しやコスト管理計画の策定、従業員の周知や質疑応答の受付などの事前準備をしっかりと行うことです。導入サポート実績の多いプロの手を借りて、慎重に検討することで、失敗リスクは低減できるでしょう。

まとめ

本コラムでは、事業承継の課題と、それを乗り越えるためのDX化について紹介しました。

事業承継のタイミングは、今までの経営方針を引き継ぐだけでなく、古い体制を一新する機会でもあります。近年増えているM&Aでは、これまでとは異なる経営陣の元で再始動するため、改革の効果も高いでしょう。また、記事中でも登場した中小企業庁のまとめには、事業承継時の経営者年齢が若いほど事業再構築に熱心だというデータがあるため、若返り効果の高い親族内承継にも期待したいところです。

中小企業のDX化推進には、国などが導入補助金を出しているケースもあります。事業承継について検討する際に、あわせて調べてみると良いでしょう。

中小企業経営者同様に、税理士の高齢化も進んでいます。税理士は税務の専門家であるだけでなく、経理の記帳や経理業務の効率化に関する助言も行います。もしも、現在の顧問税理士がDXに疎く、適切な相談相手とならない場合は変更も視野に入れて検討することをおすすめします。

私たち横浜・町田経理アウトソーシングオフィスは税理士法人YMG林会計のグループ会社であり、税務/経理の専門家である税理士とグループ提携しています。

日々の会計業務や年次決算、年末調整への対応サポートなどはもちろん、事業承継についても多くの実績がありますので、疑問点・ご相談がございましたらお気軽にご連絡ください。

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この記事を担当した税理士
株式会社YMG コンサルティングラボ 部長代理 興梠 貴裕
保有資格弥生インストラクター資格 / 日商簿記3級
専門分野IT
経歴業務系システム業界に身を置いて12年目。様々な業種のお客様のシステム導入に関する多くの相談実績が有り 導入実績も多数。常にお客様目線で対応し、お客様の課題解決に全力で取り組む姿勢に定評有。
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