2024.11.21
経営者の経理兼務はコスト削減になるのか?見落としてはならない「社長の価値」
経営者が兼務する経理業務とは 少子化の進行によって、わが国の生産年齢人口(15~64歳)は減少を続けています。それを補っていた高齢者の就業者数も近年では減少に転じていることから、人材不足の問題はより…
勤怠管理とは、労働基準法や労働安全衛生法などによって定められた事業主の義務です。この事業主とは企業の規模や業種にかかわらずすべての企業であり、勤怠管理の対象者は雇用形態にかかわらずすべての労働者となります。
勤怠管理の目的として、以下の3つが挙げられます。
・従業員の労働時間や有給休暇取得状況の把握:適正な賃金の支払いのため
・過剰労働の早期発見や防止:従業員の健康維持のため
・コンプライアンスの遵守:企業が法律を正確に守るため
法令を遵守して、適切な勤怠管理を実施することで、その企業が健全な経営を行っていることとなるでしょう。
また、働き方改革関連法によって、2019年4月より以下の改正がありました。
・時間外労働の上限規制:月45時間、年360時間まで(原則)
・年次有給休暇の確実な取得:毎年5日の時季指定
・雇用形態による不合理な待遇差の禁止:基本給や賞与など
これらに対応するため、より適正かつ厳密な賃金台帳、労働者名簿、年次有給休暇管理簿などの作成・保存が必要です。
2017年1月20日に策定された「労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」には、労働時間の管理に関する具体的な措置が示されています。
勤怠管理に必要な項目は、主に次の3点です。
労働基準法第32条では、原則として、1日につき8時間以内、1週間に40時間以内を法定労働時間と定めています。明確な指示の有無にかかわらず、使用者の指揮命令下に置かれている時間であれば「労働時間」です。
労働基準法第34条では、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなくてはならないとしています。休憩時間とは、従業員が休息を目的として自由に使用できる時間を指します。
労働基準法第35条では、少なくとも1週間に1日以上、または4週間を通じて4日以上の休日を与えることを定めています。
また、有給休暇の付与条件については、以下の通りです。
・6カ月以上継続雇用されている労働者が全労働日の8割以上出勤した場合:有給休暇10日付与
・6ヶ月目以降は継続勤務1年ごとに1日ずつ、継続勤務3年6ヶ月以降は2日ずつ増加(最高20日まで)
2019年4月以降は、働き方改革関連法案により、毎年5日、有給休暇を確実に取得させることも義務化されました。付与して終わりではなく、適正に休暇を取得しているかどうかを確認しやすいように管理しましょう。
勤怠管理は、企業によって経理や労務、人事などのバックオフィス業務を担当する部門で行うのが一般的です。リソースに限りのある中小企業では、1人でバックオフィス業務全般をまとめる担当者(いわゆる1人経理)が、勤怠管理を扱うことが多いでしょう。
適正な勤怠管理には、経営者や担当者だけでなく従業員自身が勤怠管理の以下のポイントを理解し、重要性を認識することが大切です。
出退勤時刻の記録は、決して従業員を縛るものではありません。法令に準じた労働環境を整え、適正な給与額を算出するために行うものです。また、休憩や休暇の取得は従業員の健康を維持するためにも重要で、ライフワークバランスが整うことでモチベーションアップにつながり、生産性向上も期待できます。
勤怠管理の方法は、管理や集計を行う1人経理にとってはもちろん、毎日記録する従業員にとっても使いやすいことが重要です。記録完了までに手間がかかる方法では、おざなりになったり、記録し忘れたりするでしょう。不正確なデータを集計時に修正するのは、さらなる手間(=ムダ)を増やします。できるだけ少ないアクションで完了することが適正管理のコツです。
入力ミスや集計漏れなどにより、勤怠情報が給与額へ正確に反映されないケースが発生すると、従業員エンゲージメントは低下します。もしも、それが続くようなら離職につながる危険性もあるでしょう。アナログに偏った方法はヒューマンエラーが起こりやすく、1人経理の業務負担も重くなります。自動化など正確性を高める工夫を行うと同時に、集計方法について従業員へ周知することも大切です。
勤怠管理では、出勤時間と退勤時間、実働時間、時間外労働時間など、を1分単位で算定する必要があります。労働に関わる法令では、従業員が始業・終業時刻を記録し、勤怠管理者が直接確認することとされていますが、その方法までは定められていません。企業規模や従業員ごとの労働形態、1人経理の業務範囲などに応じ、適切な方法を選びましょう。
勤怠管理の代表的な方法について、特徴とメリット・デメリットを説明します。
従業員が手書きで出勤時刻と退勤時刻を記録し、勤怠管理者が確認する方法です。従業員ごとに労働時間が異なる場合や遅刻早退などを記録しやすいという特徴があります。また、その一方で、指定された労働時間内の場合は押印で済ませてもよいなど柔軟な対応が可能です。
紙と筆記具さえあれば始められるため、初期コストがほとんどかかりません。従業員の増減にも対応しやすいでしょう。また、出勤簿を管理する担当者が不在でも、出勤簿の保管場所さえ周知しておけば従業員が自主的に記録できます。
従業員が記入する際にミスが起こりやすい点、自己申告の正確性を検証しにくいという点が、重大なデメリットです。また、集計作業に手間がかかるうえ、転記ミスや集計漏れが起こりやすいというリスクもあります。さらには、出勤簿に記録するためには必ず「出勤」する必要があり、テレワークには不向きです。
従業員ごとに作成したタイムカードをレコーダーに差し込んで、出退勤時刻を記録する方法です。1900年代半ばから多くの企業が長い間この方法を利用してきました。
タイムカードを差し込んだ時刻が打刻されるため、記入ミスや不正申告リスクがなく、従業員ごとの出退勤時刻を正確に記録できます。タイムレコーダーもカードも比較的安価で揃えることができ、従業員が増えてもカードを購入するだけで対応可能です。通常、レコーダーやタイムカードは決まった場所に設置されているため、担当者不在の影響を受けません。
タイムカードの回収や集計作業に手間がかかり、集計漏れや計算ミスが発生するリスクがあります。また、打刻漏れやカードの取り違えなどによる不正打刻の可能性もあるでしょう。現場で打刻する必要があるため、テレワークや取引先などに直行することの多い働き方には向きません。
エクセルなどの表計算ソフトで勤怠管理表を作り、出勤簿として用いる方法です。担当者自らが計算式を設定するほか、インターネットを通じて無料の勤怠管理用テンプレートを入手することもできます。
あらかじめ計算式を設定しておけば自動計算できるため、集計の手間がかかりません。また、カスタマイズが容易なため、必要に応じてさまざまな計算や分析を行えます。ベースとなるエクセルは、多くの企業ですでにインストールされていることが多いため、追加コストが不要です。
従業員による入力ミスや不正申告のリスクがあります。また、1つのファイルを複数人数で扱うため、適切な保護やバックアップが必要です。さらには、法改正のたびに、設定した数式や関数を確認しなくてはなりません。関数やマクロの知識、複雑な設定を管理するスキルが必要なため、特定の担当者に依存しやすく属人化を招くおそれがあります。
会社のパソコンにインストールした勤怠管理システムで、出退勤時刻を記録・管理する方法です。打刻方法は、従業員が各自のパソコンやスマートフォンを用いる方法、ICタイムレコーダーや生体認証システムと連動する方法、ビジネスチャットなどを通じて打刻する方法、パソコンのログイン・ログアウトなどと連携する方法などさまざまで、自社に合ったものを選定できます。
いずれの打刻方法も不正や偽装がしにくく、正確性や透明性が向上するでしょう。また、記録から集計、必要な資料や書類の作成まで自動で行われるため、業務効率があがります。インストール型のメリットとしては、自社に合わせたカスタマイズがしやすいこと、データが社内に保存されることの安心感などが挙げられます。
管理や集計等は、基本的にインストールしたパソコンでなければ扱えません。また、法改正などがあった際は、システムデータの更新や改訂版の購入を行う必要があります。これまでに紹介した方法と比べると初期コストが高く、従業員教育の手間やコストもかかるでしょう。
インストール型とシステムや打刻方法は同じで、システムやデータがクラウドサーバー上に保存されているものをクラウド型と呼びます。インターネット環境さえあれば、いつでもどこからでも端末を選ばずにアクセスできる点が特徴です。
出退勤記録の正確性、自動集計や自動書類作成機能による業務効率化に加え、クラウド型には次のメリットがあります。システムの管理は運営元が行っているため、メンテナンスは不要です。法改正があっても、適切なタイミングで適切な内容で自動更新されます。また、クラウドサーバー上でデータを安全に保管しているため、会社のパソコンに万が一のことがあってもデータに影響はありません。
システム導入コストのほかに、毎月の運用コストがかかります。また、インターネットにつなぐことができない環境では、システムを利用することができません。
中小企業に多い1人経理には、以下の理由によりクラウド型システムがおすすめです。
1人経理のリスクのひとつに、属人化があります。担当者以外が扱うことのできないシステムでは、担当者の不在が業務の停滞や遅延を招き、急な休職や退職が起こった場合はブラックボックス化するでしょう。しかし、クラウド型システムの操作は標準化されているため、担当者が不在でもデータ閲覧や書類の出力が可能で、引き継ぎも容易です。
勤怠管理は重要な業務ですが、手間をかけるほど品質がよくなるといった類いの業務ではありません。むしろ、打刻や集計などの自動化によるヒューマンエラー削減が、正確性向上につながります。
システム導入時には、すべての従業員に説明することをおすすめします。毎月の勤怠がきちんと反映された給与が支払われることは、従業員の安心感につながるでしょう。大前提ともいえる待遇の確保は従業員との信頼関係の要であり、モチベーションやエンゲージメントアップも期待できます。
勤怠管理の工数が減ることで、1人経理の業務負荷が軽くなり時間外労働の削減など、労働環境の改善が行われるでしょう。また、余力が生まれるようなら他の業務へとリソースを配分することで、業績アップを図ることも可能です。
勤怠管理は、従業員の心と体の健康を維持するためにも重要です。
従業員の中に、健康管理には正しい残業時間の申告が当然といった認識が浸透すると、不正申告も起こりにくくなります。
また、クラウド型システムは、インターネット環境とパソコンやスマホ、タブレット等の端末があれば、どこからでも打刻やデータ管理ができます。テレワークなど、多様な働き方にも対応しやすいでしょう。
また、勤怠管理と給与計算だけでなく、経理部門業務を含めたバックオフィス業務を一括で管理できるシステムもあります。自社に合ったシステムを選定し、効果的な業務効率化を目指しましょう。
神奈川 横浜・町田 経理アウトソーシングオフィスでは、勤怠システムの導入、また給与計算代行などを行っています。
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