2024.11.21
経営者の経理兼務はコスト削減になるのか?見落としてはならない「社長の価値」
経営者が兼務する経理業務とは 少子化の進行によって、わが国の生産年齢人口(15~64歳)は減少を続けています。それを補っていた高齢者の就業者数も近年では減少に転じていることから、人材不足の問題はより…
DXとは、「デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation)」の略称です。2004年、当時スウェーデンのウメオ大学の教授であったエリック・ストルターマンが「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」との提唱し、DXの概念を世界で初めて示しました。
経済産業省では、2019年7月に「DX推進指標とそのガイダンス」を取りまとめ、「DXとは、売上・利益の増加、新しいビジネスの立ち上げなど、デジタルを活用して企業や組織の変革を通じた成長を目指すもの」だと定義づけています。
このDXとよく似た言葉に電子化やデジタル化がありますが、どのような違いがあるのでしょうか。これについて、経済産業省では以下のように解説しています。
・電子化(デジタイゼーション・Digitization):領収書や請求書などを紙媒体から電子データに変換したり、FAXでのやり取りを電子メールに切り替えたりすること
・デジタル化(デジタライゼーション・Digitalization):電子化された情報(電子データ)を管理システム等に取り込み利活用することで、業務改善を実現すること
つまり、DXとは電子化・デジタル化の手順を経た先にあり、「人々の生活をより良い方向へ変化させること」を目指すものだというわけです。取引先や顧客に向けた新しい価値を生み出すことで、業績改善や企業の成長にもつながるでしょう。
中小企業には経理業務を1人で担う「1人経理」が多く、業務の属人化や業務負荷の偏りなど多くの課題を抱えています。また、ほかに経理業務がわかる社員がいないことから、担当者のミスや不正に気づきにくく、リスクが高い状況です。
会社の金銭管理を一手に引き受ける経理業務は、経営判断の基盤であり、課題やリスクへの早急な対策が望まれます。しかし、人材投入による対策は、経理人材の不足や採用コストなどの障壁があり思うように進まないという経営者も多いのではないでしょうか。
そこで、まずは経理業務をはじめとするバックオフィス部門の業務プロセスを見直し、DXを進めることをおすすめします。内助の功であるバックオフィス部門のDXを行うことで、業務効率化や透明化が進み、企業全体へと好影響を与えるでしょう。
次項からは、経理業務のDXを図る3ステップについて、メリットとデメリット、それによってもたらされる変革の具体例を挙げて説明します。
クラウド型システムでは、オンラインサーバー上で提供されているサービスをインターネット経由で利用します。経理業務のクラウド型システム(以下、クラウド会計)は、会計管理システムとデータ保存先がオンライン上にあり、アクセス権を持つ人が手元の端末で操作するというものが一般的です。
・いつでもどこからでもアクセスできる
インターネットに接続できる環境であれば、パソコンやタブレット、スマートフォンなどあらゆる端末でアクセス可能です。
・メンテナンス不要で自動アップデートされる
クラウド会計は、サービス提供元によってメンテナンスも行われるため、自社で管理する必要がありません。法改正や税率改正に対しても、自社でバージョンアップや買い直しをする必要がなく、適切なタイミングで自動的にアップデートが実施されます
・安全にデータが保存される
データの保存先がオンライン上にあることで、自社のパソコン故障などの影響を受けません。サイバーセキュリティ対策やデータ消失保証など、適正な安全対策を講じているクラウド会計ならば、社内よりも安全かつ確実にデータ管理できるでしょう。
・アクセス権限の管理が必要
クラウド会計は、アクセス権を持つ人のみが利用できます。従業員の誰もが扱えるようにすると誤入力や不適切な編集などのリスクが高まり、制限しすぎるとアクセス権保持者の属人化といった懸念が生じます。入力権限、閲覧権限などの適切な使い分けが必要です。
・インターネット環境が必須
クラウド会計は、インターネット接続がなければ利用できません。あらかじめ、緊急時の対応などを決めておくとよいでしょう。
クラウド会計を導入すると、働く場所や時間を気にする必要がなくなります。インターネットに接続できるところならばいつでもどこでもアクセスできるため、リモートワークの推進もはかどるでしょう。
また、経営者や他部署の社員にも閲覧権限を付与することで、営業先などでもリアルタイムで財務状況を把握でき、スピーディな判断が行えます。さらに、複数の目が入ることにより、業務の属人化が解消され内部不正リスクも大幅に低減するでしょう。経理担当者にとっても、資料出力などの作業を省略することができ、業務負荷軽減につながります。
クラウド会計は、法改正や新制度への対応だけでなく、技術発展における新機能の追加などが自動で行われる点も魅力のひとつです。
近年は、データ入力の自動化が増えており、代表的なものの1つに、API連携があります。APIとは「アプリケーション・プログラミング・インターフェイス(Application Programming Interface)」の略称で、簡単に言うとアプリケーションをつなぐ技術のことです。あらかじめ紐づけた銀行の入出金データ、クレジットカードの利用データ、POSレジの売上げデータなどの自動取得ができるようになります。
また、紙データの読み取りに役立つ光学的文字認識機能にAI技術を活用したAI-OCR(Optical Character Recognition/Reader)では、高精度の文字認識機能により証憑のデータ化が可能です。電子帳簿保存法の改正に伴う電子データの取り扱いも、適切に行えます。
・自動仕訳
あらかじめ仕訳条件を設定しておけば、自動的に正しく仕訳記帳が行われます。入力者によるミスやブレは生じません。
・ヒューマンエラーの削減
主要な取引をAPI連携にして手入力を極力減らすことは、誤入力や集計漏れといった人的ミスが発生する機会を減らすことにもつながります。
・自動集計、資料作成
自動仕訳されたデータは集計も自動で行われます。月次・年次決算資料、任意の条件による集計資料などが出力でき、営業活動や経営状況の把握に役立ちます。
・導入コスト、運用コストの負担
導入時には、専用機器の調達などにコストがかかります。多くのケースでは、業務効率化によるメリットで相殺されますが、初期コストとして一時的に負担がかかることは否めません。
・業務フロー構築や初期設定の手間
仕訳データや業務フロー構築などの初期設定が重要です。運用を始めてから修正すると、混乱やミスの元となります。導入前のデータを活かしつつ、効率的な仕訳を行うためにはプロのノウハウが欠かせません。これもまた必要な投資ですが、コストは増えることになるでしょう。
日常業務における手入力や転記の大半が自動化されるため、ヒューマンエラーが減り、業務の正確性が向上するでしょう。経理業務は繁閑差が大きくリソース配分が難しいという課題がありますが、月々のデータを元に決算資料まで自動作成可能なため、繁忙期の時間外労働や他部署からの応援なども不要になります。
また、自動化によって担当者が行う工数が減るため、業務負担の偏りも解消され、労働環境の改善が見込めます。1人経理がバックオフィス業務全般を担当しているケースでは、経理業務の負荷が軽減された分、別の業務に注力できるため企業全体の事務処理がスムーズに進むでしょう。
さらに、経理業務の精度があがると、常に正しい経営状況を把握できるため、適切な状況判断を行えます。取引先との信頼関係も構築しやすくなるでしょう。
領収書に請求書、仕訳帳簿に売掛・買掛帳簿、勤怠管理表など、経理業務には紙がつきものです。しかし、クラウド会計の導入で、証憑類の電子データ管理が可能になります。
また、財務状況や各部門で必要なデータを確認する際も、各自の端末で閲覧したり、必要な情報をpdfファイルで作成したりすることが容易です。そのため、会議のたびに紙資料を印刷することも少なくなるなど、さまざまな場面の紙を減らすことにつながるでしょう。
・コスト削減
まずは、印刷費用や紙代といった印刷コスト、次に紙資料を保存するためのファイルや保管場所が不要になります。機密情報を含む場合は、シュレッダー処理や廃棄費用などの処分にかかるコストも削減可能です。
・検索しやすく、安全な保管
データ化してクラウドサーバーに保存することで検索もしやすく、紛失の心配もありません。
・紙の利便性がなくなる
資料によっては、パソコンやタブレットのディスプレイより紙のほうが扱いやすいものもあるでしょう。紙の扱いをゼロにするのではなく、臨機応変に対応することが無理なく継続させるためのコツです。
紙をやりとりするためには、直接出向いたり郵送したりする必要があり、手間も時間もコストもかかります。しかし、電子データの送信にすることで、時間とコストの節約ができます。パソコンで作成した会議資料をそのままPDFで配布すれば、会議前に行う資料の印刷やレジュメ作成は不要です。必然的に資料作成の締切にもゆとりが生まれることになるでしょう。
また、証憑や帳簿、重要資料は法定保管期間が長いため、決して小さくはない保管スペースの確保が必要でした。ペーパーレスによって、それが開放されるため、企業のスペースに余裕が生まれるでしょう。その分、オフィスを小さくして賃貸料を節約するという選択肢も生まれます。また、これまで紙資料の作成や管理にかかっていた人材リソースを主要業務に投入することで、業績向上もつながるでしょう。
電子データはオンラインとの相性がよいため、オンライン会議の推進に役立ちます。多様な働き方の実現や地域が異なる企業との共同事業など、これまでになかった発展も期待できます。
理論上は、電子化→デジタル化→DXと進みます。しかし、それでは「電子化したデータをどのように管理、活用するのか」といった問題が、その都度浮上することになるでしょう。そこで、クラウド型システムの導入を検討することで、同時に電子化・デジタル化も進められるというわけです。
DXとは、業務効率の改善だけではなく、それによって業績向上や付加価値の創成などよりよい改革をもたらすことを目的としています。本記事で紹介したように、クラウド型システムの導入は、会計処理の自動化、ペーパーレス化への移行をスムーズに行い、経理業務だけでなく企業全体の業務効率化を実現させます。
目まぐるしく変化する時代に適応するためには、企業規模や業種、将来の目標などそれぞれの企業に合った改革を行うことが大切です。
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