2024.11.21
経営者の経理兼務はコスト削減になるのか?見落としてはならない「社長の価値」
経営者が兼務する経理業務とは 少子化の進行によって、わが国の生産年齢人口(15~64歳)は減少を続けています。それを補っていた高齢者の就業者数も近年では減少に転じていることから、人材不足の問題はより…
企業版ふるさと納税は、2016年に「地方創生応援税制」として創設されました。当初は5年間の時限措置でしたが、2020年度の改正により2024年度まで延長されています。
国が認定した地方公共団体の「地方創生プロジェクト」に対して寄付をおこなった企業は、法人税等の税額控除を受けられます。
内閣府 地方創生推進事務局「企業版ふるさと納税リーフレット」より
人材派遣型は、次の手順でおこなわれます。
(1)支援を決めたプロジェクトに対し、企業が人件費を含む事業費の寄付をする
(2)同一年度に、同プロジェクトに従事する人材を派遣する
このとき、派遣した人材は、地方公共団体職員あるいは地域活性化事業をおこなう団体職員として任用されます。
地方公共団体は、専門的知識やノウハウを有する人材が従事することで、プロジェクトの充実と強化を図れるというメリットを得ます。企業は、人件費を含む寄付金額の最大9割に相当する税額控除を受けられることがメリットのひとつです。また、派遣した人材が育成機会を得られるとともに、地域貢献という実績作りにも役立つでしょう。
企業版のふるさと納税では、寄付をおこなうことの代償として、経済的な利益を受けることは禁止されています。個人版のふるさと納税のように、返礼品を受け取ることはできないというわけです。
また、経済的利益には、現金や商品券などの換金性の高い商品はもちろん、補助金の交付、入札や許認可の便宜の供与、市場価格よりも低い価格での財産の譲渡なども含まれます。ただし、社会通念上許容される範囲内での記念品などの贈呈、ホームページや広報誌に企業名を掲載することは可能です。
企業版ふるさと納税をおこなった企業には、さまざまなメリットがあります。特に魅力的なメリットは、次の7つです。
通常、寄付金の損金算入には限度額が設けられています。しかし、企業版ふるさと納税では、損金算入に加え税額控除が適用されることで、実質的な企業負担を1割まで圧縮可能です。大きな節税効果を得られるでしょう。
寄付の対象となるプロジェクトには、被災地への復興支援、コロナ対策活動への支援も含まれています。がんばっている地域への応援や感謝の気持ちを寄付で表明できます。
自社だけでは難しいSDGs達成に向けた取り組みの推進やESGに配慮した経営の遂行を支援することも可能です。例えば、脱炭素・資源循環型社会の構築を目指すプロジェクトなどに寄付をすることで、SDGsゴールの「07:エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「09:産業と技術革新の基盤をつくろう」「13:気候変動に具体的な対策を」など、複数の目標達成に寄与することができるでしょう。
創業地や経営者・スタッフの故郷など、縁ある地域への恩返しとして寄付をおこなうのもよいでしょう。応援したい地域のインフラ整備や伝統行事の保全などを通じ、地域を支えることができます。
寄付をして地方公共団体の事業に貢献しているという事実は、自社を誇らしく感じる社員のエンゲージメント向上につながります。また、貢献意欲の増加により、社員のモチベーションアップや離職率低減といった効果も期待できるでしょう。
寄付をきっかけに地方公共団体との交流機会が生まれ、新たなパートナーシップを構築できます。このことをきっかけに、新事業開発に発展するかもしれません。
また、寄付をおこなった地域の自治体とは円滑な関係を築ける可能性が高いでしょう。直接的な連携だけでなく、人材育成や産業の振興など、地方活性化の取り組みが回り回って自社の継続的な発展に寄与することも考えられます。
地方公共団体のホームページやSDGs活動の紹介資料などに、寄付の事実とともに企業名が掲出されることが多く、企業のイメージアップや認知度の向上につながります。結果として、新規採用などの採用活動にも好影響があるでしょう。
内閣府の発表によると、企業版ふるさと納税の2022年度(令和4年度)寄付実績は、寄付金額で前年度比1.5倍の約341億円、件数で前年度比約1.7倍の8,390件となっています。寄付をおこなった企業数についても前年度比約1.5倍の4,663社となっており、いずれも大きく増加していることがわかります。
企業版ふるさと納税が始まった2016年度の実績は、寄付金額7.5億円、寄付件数517件、寄付企業数459社でした。翌年には寄付件数・寄付企業数ともに倍増し、寄付金額は約3倍の23億円に達しています。しばらく横ばいが続きますが、2020年の大幅な税制改正で関心が高まり、寄付をする企業が急増することとなります。
企業版ふるさと納税の期限は、2024年度末です。寄付に興味があるという企業は、早急に実施することをおすすめします。寄附を募集している地方公共団体は「企業版ふるさと納税ポータルサイト」に掲載されていますので、ご確認ください。
最後に、企業版ふるさと納税をおこなう際のポイントと注意点について説明します。
企業版ふるさと納税の対象になる寄付金は、1回あたり10万円からとなっています。寄付自体は10万円未満でもおこなえますが、税額控除の対象とは認められないため注意が必要です。
企業の本社がある都道府県や市区町村への寄付は、税額控除の対象外です。ただし、本社とは異なる都道府県・市区町村に支店や支社、工場などがある場合、その地域のプロジェクトにおこなう寄付は税額控除の対象となります。
東京都や各都道府県の一部など、地方交付税の不交付団体は企業版ふるさと納税における税額控除の適用対象外です。地方交付税の不交付団体は、総務省によって公表されていますので、事前に確認しておきましょう。
税額控除を受けるためには、青色申告書の提出が必要です。実際に寄付をおこなうと、寄付の受領証明書が届きます。青色申告に必要な書類となりますので、大切に保管しておきましょう。企業の税務は複雑なため、寄付の実施も含め顧問税理士などに相談しておくことをおすすめします。
税額控除は、本来納めるべき法人税・法人事業税の20%を上限としています。そのため、税額と寄付金額とのバランスによっては、自己負担額が1割を上回るケースもあるでしょう。企業版ふるさと納税を扱う民間ホームページでは、節税メリットを最大化する寄付金額の算出シミュレーションもあります。
ただし、あくまでも簡易的なもので、一定額以上の課税所得がないと10万円以下の寄付を進められる場合があります。あくまでも目安にとどめ、実際に寄付をする際には慎重に検討することが大切です。
企業版ふるさと納税は、寄付を通じて社会貢献をおこなう制度です。直接的な見返りはありませんが、大きな税額負担軽減効果を得られます。
また、SDGs目標達成やESG活動への貢献、地域への貢献によって企業イメージや認知度の向上、社員のエンゲージメント向上など、さまざまなメリットがあるでしょう。
将来の企業活動にプラスになることが多い企業版ふるさと納税ですが、その仕組みは複雑です。
企業の資金繰りや経常利益によっては、税額控除を受けることが難しいケースも考えられます。
弊社では、貴社の経営状況に合わせた寄付金額のシミュレーションをおこない、どのようにふるさと納税をおこなうべきかアドバイスいたします。
また、実施する際には煩雑な青色申告までお手伝い可能です。
無料相談やオンライン相談も実施しておりますので、お気軽にお尋ねください。
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