2024.11.21
経営者の経理兼務はコスト削減になるのか?見落としてはならない「社長の価値」
経営者が兼務する経理業務とは 少子化の進行によって、わが国の生産年齢人口(15~64歳)は減少を続けています。それを補っていた高齢者の就業者数も近年では減少に転じていることから、人材不足の問題はより…
従来の会計ツールは、購入したソフトウェアをインストールしたパソコンでのみ利用できるというものが一般的です。そのため、担当者による業務の属人化が起こりやすい状況でした。経理部門を通さずに部門ごとで管理される数字が多く、資産状況が不透明になるというリスクも高まります。
これに対しクラウド会計は、クラウドサーバー上にあるシステムをインターネット経由で操作する会計ツールです。インターネット環境さえあれば時間や場所、そして操作端末を選ばずに利用できるため、複数人数での情報共有を容易にします。
データを一元管理できるため資産状況が把握しやすく、税理士による業務サポートとの連携が図りやすいのも特徴です。
総務省では、毎年企業における情報通信サービスの利用状況について調査し、公表しています。2022年(令和4年)の調査結果によると、クラウドサービスの利用状況は72.2%と過半数を大きく上回っています。利用の用途は、「ファイル保管・データ共有」が最も多く、「社内情報共有・ポータル」「電子メール」「給与、財務会計、人事」と続きます。
クラウドサービスを利用する理由としては、「場所、機器を選ばずに利用できるから」「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」「安定運用、可用性が高くなるから」と、それぞれにメリットを十分享受している様子です。
では、具体的にはどのような運用例があるのでしょうか。
毎年のように新卒生が入ってくる大企業と違い、限られた人員で長く運営することが多い中小企業では、経営者・従業員ともに高齢であるところも多いでしょう。DXに興味はあっても、使いこなせるかどうか不安で踏み込めないという経営者は少なくありません。
しかし、高齢者の多い企業だからこそ、クラウド型ツールのメリットを最大限に活かせるのです。
・従業員の大半が高齢化しているが、すぐに退社するような状況ではない
・経理業務はアナログ中心で、膨大な紙資料管理が必要
・記帳や転記、計算などをすべて手作業で行うため時間がかかる
・定年退職者が続くことが予想されるが、新規雇用が順調にいく保障がない
・複数人でデータの共有・確認ができるため、ミスや漏れがあってもすぐに気づく
・自動入力や自動振り分け、自動計算機能で、アナログ作業よりも作業量減・処理速度アップ・正確性向上
・月締め・期末決算資料が自動作成できるため、無理な時間外労働をする必要がない
・新規採用できた場合でも、作業が標準化されているため引継ぎが容易である
新しいやりかたに切り替えるときには、十分なサポートを受けられる「クラウド会計導入サービス」の利用が効果的です。丁寧なヒアリングと導入支援により不安や疑問を解消し、自信を持って始めることができるでしょう。
中小企業における高齢化は、承継問題にも直結します。なかには、経営者が重病を患ったり事故に遭ったりしたため、急遽後を継ぐことになったというケースもあるでしょう。家族が倒れたから故郷に帰って事業を継がなくてはならないという話は、決して珍しいものではありません。
しかし、他社で仕事を任されていたり、遠方で家族と暮らしていたりして、すぐに生活を変えることが難しい場合も考えられます。そこで、クラウドツールの出番です。
・先代社長の急逝により、予定外の事業承継が行われた
・二代目社長は遠方で家族と生活しており、すぐには実家に戻ることができない
・また、二代目社長は他社で重要な仕事を任されており、すぐに退職できる状況にもない
・いずれ継ぐ予定ではあったため、事業をたたむ予定はない
・クラウドツール利用により、遠隔地からの情報共有が可能
・事業については従業員に任せ、企業の肝である経理情報を確実に共有することで経営者責任を果たす
・これまでの生活を維持しながら、「週末事業承継」という新しい形が生まれた
事故や病気は、いつ誰に襲いかかるか予測できません。予定したスケジュールで事業承継ができるケースの方が少ないのではないでしょうか。クラウドツールは、「いつでも、どこからでも利用できる」点が強みです。突発的な事態を乗り切るための大きな力となるでしょう。
クラウド会計の導入は、テレワークの普及にも役立ちます。出社して顔を合わせて仕事をしたいと感じる人がいる一方で、健康上の理由や家族の都合などにより勤務時間や通勤形態の見直しを余儀なくされる人も存在します。クラウド会計を利用することで、新しい働き方を検討する余地が生まれるでしょう。
・産休育休を経て復帰したものの、子どもの行事や体調変化にも対応したい社員がいる
・家族の加齢や病気・ケガにより、介護や介助のサポートをする必要が生じた社員がいる
・自身の体調その他の事情で通勤が難しいが、仕事は辞めたくない
・クラウド会計ツールの導入で、自宅にいながら業務遂行が可能
・金融機関との連携により取引内容は自動記帳されるため、情報を自宅に持ち帰る必要がない
・テレワークでの作業内容を、出社している社員がリアルタイムで確認できる
・家族の用事を終えた後、体調のよいときなど、都合のよい時間に作業することができる
アナログ作業中心の在宅作業では、機密事項を自宅に持ち帰ったり、自宅パソコンに情報を保存したりする必要があるためセキュリティリスクが高まります。しかし、クラウド会計ツールを利用したテレワークならば、情報の保存先はクラウド上にあるためセキュリティ面でも安全です。
通勤が難しいだけで働く意思や能力のある人を雇用することができるため、多種多様な人材確保につながる可能性もあります。
ここまでに登場したクラウド会計のメリットをまとめると、次のようになります。
クラウド会計ツールでは、金融機関と連携できるものが一般的です。これによって、従来の会計ソフトのように個別入力する必要がなくなります。
主な連携情報は、下記の入出金記録及び明細です。
・取引先との支払・入金に利用する銀行口座
・経費精算用のクレジットカード
・通勤や営業活動等に利用する交通系ICカード
・店舗のPOSレジ など
金融機関との連携によって記帳された情報は、自動的に仕訳や集計が行われます。予め必要なフォーマットを指定しておくことで、最新情報を反映させた表作成も可能です。操作が必要な部分が明確になり、作業の標準化も図れることから属人化も防ぎます。
会計にまつわる法律や制度は、常に改正が実施されています。近年では、インボイス制度の施行や電子帳簿保存法の改正といった大きな変更が重なりました。そういった改変に対応するためには、経理担当者が独自に情報収集や勉強を行い、必要な準備を整えなければなりません。
しかし、クラウド会計のシステムは常に適正な状態に自動更新されています。法改正や新制度創設があっても適切なタイミングで切り替わるため、個別準備は不要な場合がほとんどです。経理担当者の業務負担や精神的ストレスを大幅に軽減できるでしょう。
冒頭でもお話した通り、従来の会計ソフトは、個々のパソコンにインストールしなければ利用できませんでした。しかし、クラウド会計ならばインターネット環境と対応端末(パソコン・タブレット・スマホなど)があれば、いつでもどこからでもアクセスできます。
遠隔地からのデータ確認やテレワークによる作業はもちろん、売掛金にかかる債権回収後に帰社を待たずに結果を反映させることも可能です。リアルタイムでの入力を行うことで、時間的な余裕を生み出すこともできるでしょう。
社外にデータを保管することに不安を覚える方もいるかもしれません。しかし、個々の企業で最新のセキュリティ対策を整えるためには、知識と技術が必要です。一定の安全基準に達するクラウドサービスでは、適切なサイバーセキュリティ対策が講じられているため、自社管理よりも安全性は高いでしょう。
また、クラウドサーバーに保存することで、万一自社パソコンが破損した場合でもデータに影響はありません。「閲覧のみ・編集可能」といったアクセス権の管理が可能で、IDや操作履歴も残ります。複数の目で監視できるクラウド会計ではミスや改ざんの発見も容易なため、内部不正リスクも大きく低減します。
つまり、①サイバーセキュリティリスク②データ破損・紛失リスク③内部不正リスクという3種について、安全性を高めることができるというわけです。
インターネット環境が整っているところならば、国内外を問わずリアルタイムで情報を共有できます。支店や支社の状況もリアルタイムで把握でき、タイムリーな判断を下せます。また、常に最新の資産状況を確認できるため、経営戦略の判断材料とすることも可能です。
また、税理士法人や会計事務所と情報を共有することで、イレギュラーな事態が起こってもスピーディなサポートが期待できるという利点も挙げられます。
一方、下記のようなデメリットも存在します。
クラウド会計では、導入コストのほかに月額使用料を払い続けるものが一般的です。業務効率化によりトータルコストでは元が取れる可能性が高いですが、一時的な負担が生じることは否めません。
インターネット環境がない場合は利用できません。企業によっては、ネットワーク環境の構築から行う必要があるでしょう。また、停電や通信障害が起こった場合も利用できなくなります。
クラウド会計は、近年急速に発展を遂げた新しいシステムです。従来のアナログ管理から、新しいシステムに変更するということは、正直なところ大変な作業です。導入準備や費用を考えると、後回しにしたいと考える方も少なくないでしょう。
しかしながら、企業経営に欠かせない金融機関や公共機関を含む多くの企業では、すでにIT化が主流となっています。電子帳簿保存法の改正にも見られる通り、いずれデジタル管理が当然の世の中になるでしょう。
早期にクラウドシステムを導入し、時代に適応することが大切ではないでしょうか。
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