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コラム

2024.11.15
お歳暮や年賀状は経費になる? 勘定科目や注意事項を解説

営業ツールとしての挨拶状や贈答品は、経費計上できる

企業の年賀状は、営業ツールとしての意味合いが大きいでしょう。既存顧客はもちろん、取引の間隔が空いてしまった顧客やこれから信頼を深めたい企業などと、良好な関係を築くために役立ちます。そのため、挨拶に関わる出費の多くが事業に必要な経費だと認められています。

年賀状は「通信費」

年賀状を送る場合の勘定科目は、「通信費」です。この通信費には、ハガキや封書の切手代のほか、電話料金やインターネット料金も含まれます。

年賀状の印刷費用は「支払手数料」

印刷業者に依頼して年賀状を印刷した場合の勘定科目は、「支払手数料」が一般的です。支払手数料は、商品やサービスに付随して発生する費用に使用します。また、印刷費用が少額ならば「通信費」に含めてもかまいません。

ただし、これは挨拶を主とした年賀状の場合です。商品やサービスの宣伝が大きく印刷されているなど広告を主とする年賀状は、「広告宣伝費」として処理します。

自社で印刷した場合は「消耗品費」

自社で作成、印刷を行った場合は、使用したプリンターのインク代を「消耗品費」として計上します。

お歳暮やお年賀は「接待交際費」

取引先にお菓子やビールなどの品物を贈るときの勘定科目には「接待交際費」を使います。接待交際費とは、仕事上の関係を円滑化するための費用です。お歳暮・お年賀・お中元はもちろん、訪問時の手土産なども該当します。

カレンダーは「広告宣伝費」

企業のロゴや社名を入れたカレンダー、手帳やタオルなどを贈る場合の勘定科目は「広告宣伝費」です。これらは、贈り物としての役割よりも企業の宣伝としての役割が大きいでしょう。自社と関係のないタオルセットを購入して贈る場合は、接待交際費として扱います。

お年玉は経費にならない

お年玉は、渡す人の心遣いと見なされるため、基本的に経費としては認められません。たとえ取引先のご子息・ご令嬢に付き合いで渡したお年玉でも、事業とは直接関係がないため経費の対象外となります。

社員に対するお年玉は「給与手当」や「福利厚生費」

社長が「頑張ってくれたからお年玉だ」と従業員に金一封を配った場合は、報酬の一部として「給与手当」や「福利厚生費」として経費に計上可能です。

配送費や交通費は、目的によって異なる

年賀状の郵送費は、前述通り「通信費」と仕訳けます。広告宣伝費として計上するタオルやカレンダーの配送料は、「広告宣伝費」に含めても「通信費」としても問題ありません。一方、接待交際費として計上する贈答品は、送料や交通費も「接待交際費」で処理する必要があるので注意しましょう。

お歳暮や年賀状を経費計上する際の注意点

贈ったお歳暮や年賀状を、実際に経費計上する際に注意すべき点について説明します。

注意その1:領収書などの記録を残す

経費計上において領収書を適切に保管するのは当然ですが、「いつ、誰に、何を贈ったのか」を記録しておくことも重要です。送付時の配送伝票などもあわせて保管しておきましょう。

注意その2:常識の範囲内の金額にとどめる

贈答品の経費計上が認められる範囲について、法律上の明確な上限金額はありません。しかし、一般的には1件あたり1万円程度が相場とされています。それよりも明らかに高額な贈答品は、税務調査で否認される可能性があるため注意しましょう。

注意その3:金券は避けるべき

商品券やビール券などの金券は喜ばれることの多い商品ですが、企業間の贈答品としては注意が必要です。金券の額面によっては金銭授受に該当するとして、税務当局からの調査対象となる可能性が高まります。不正取引や脱税を疑われるリスクを回避するためには、金券を贈らないことが最も有効な対策です。

注意その4:仕訳ルールを明確にしておく

ここまでに紹介した勘定科目は、一般的なものです。企業によっては、年賀状はすべて広告宣伝費だと考えるところや厳密に分けて計上したいというところもあるでしょう。どちらの方針で進めても会計処理上の問題はありません。仕訳において重要なことは、対応する勘定科目を毎年統一することです。そのためには、企業ごとに仕訳ルールを明確にし、マニュアル化しておくと安心です。

仕訳に一貫性がないことのデメリットとリスク

年に数回しかないイレギュラーな出費は、必ず前回の勘定科目を参照することが大切です。確認せずに進めると、勘定科目が統一されず、以下のようなデメリットやリスクが発生します。

デメリット1:財務状況の信憑性低下

同じ費用に対して複数の勘定科目が使われると、帳簿の信憑性が低くなります。挨拶関連の処理に一貫性がないことがわかれば、当然「他の勘定科目も統一できていないかもしれない」という疑念を招くでしょう。

経営戦略が立てられなくなる

毎回同じ勘定科目で処理するからこそ、昨対比や前年比が意味を持つのです。もしも、「この会計管理は正確である」という前提が崩れると、業績を正しく把握できなくなるでしょう。そうなると、目印を見失うため経営戦略を立てることができません。

経営判断の根拠が崩れる

企業の財務状況は、経営判断を行うための大切な基準です。経費の分類が曖昧だと基準が揺らいでしまい、はっきりとした経営判断を下すことも難しくなるでしょう。

デメリット2:財務報告書の正確性低下

財務報告資料とは、貸借対照表と損益計算書、キャッシュフロー計算書などを含む、企業の財務状況や業績を報告するための重要な書類です。仕訳が曖昧なままでは正確性に不安が生じます。

資金調達が困難になる

財務諸表は、融資を依頼する際に銀行へ提出する資料でもあります。不正確な可能性があるデータに基づいた財務諸表では信頼性が低く、融資に応じてもらえない可能性が高まります。

税務調査で指摘される

勘定科目の不統一は挨拶に関するイレギュラー項目のみ、他の取引には一切ミスがないと断言できる状況ならば、税務調査を心配する必要はありません。しかし、根拠を得るためにはすべての帳簿を確認する必要があるでしょう。もしも、他にも確認の怠慢による仕訳不備があれば、不適切な会計処理が続いている可能性があります。

1人経理でもイレギュラーに対応しやすいクラウド型会計システム

中小企業に多い「1人経理」は、経理業務の遂行に関わる情報を共有する必要がないため、そもそもマニュアルがなかったり、あっても情報が古いまま更新されていなかったりすることが多いでしょう。そのため、イレギュラーな取引における勘定科目に一貫性がなくても、気づきにくい環境だといえます。

そこで、会計システムを導入して、自動仕訳ルールを設定しておく方法が効果的です。

取引データ取得と仕訳の自動化

クラウド型会計システムは、銀行や法人クレジットカードなどの取引明細を自動取得しデータ化します。また小売店が発行する紙のレシートや領収書も、スマホ撮影するだけで必要な情報を読み取り、データ化が完了します。このとき、あらかじめ仕訳ルールを設定しておけば、自動的に仕訳記帳まで済むというわけです。頻繁に発生する取引はもちろんですが、年に数回しか起こらないイレギュラーな取引こそ、間違いのない自動仕訳機能のメリットを生かせるでしょう。

過去データの検索が簡単

紙の会計帳簿では、「この出費は、以前にあっただろうか」と思っても探す手間がかかりすぎます。そうなると、「去年の帳簿で見つけたら直そう、記帳しよう」と保留しておいた分の修正漏れや記帳忘れが生じるでしょう。しかし、デジタル管理ならばスピーディに検索ができ、容易に過去データと照らし合わせることができます。

入力データからレポートを自動作成

会計システムは、入力・自動取得データを任意の条件で自動集計したレポートも自動作成します。この機能により、企業別の交際費と売上の相関など、多角的な視点で業績を確認できるでしょう。また、クラウド型の会計システムで管理しているデータは、クラウドサーバーに保存されています。他部門の社員や経営者も、アクセス権を持っている人はいつでもどこからでも業績や財務状況をリアルタイムで閲覧できるため営業機会を逃さず生産性向上も期待できます。

まとめ

勘定科目を統一するという当たり前のことも、年に1度あるかないかのイレギュラーな取引ではミスが起こりやすくなるものです。

そこで、クラウド型会計システムを導入することで、仕訳ルールが徹底され、より精度の高い経理情報管理が実現するでしょう。

まずは、貴社の規模や業態、目的に合ったクラウド型会計システムを導入することが大切です。

弊社では丁寧なヒアリングを行い、貴社の環境に最適なご提案、サポートをさせていただきます。

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この記事を担当した税理士
株式会社YMG コンサルティングラボ 部長代理 興梠 貴裕
保有資格弥生インストラクター資格 / 日商簿記3級
専門分野IT
経歴業務系システム業界に身を置いて12年目。様々な業種のお客様のシステム導入に関する多くの相談実績が有り 導入実績も多数。常にお客様目線で対応し、お客様の課題解決に全力で取り組む姿勢に定評有。
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