2024.11.21
経営者の経理兼務はコスト削減になるのか?見落としてはならない「社長の価値」
経営者が兼務する経理業務とは 少子化の進行によって、わが国の生産年齢人口(15~64歳)は減少を続けています。それを補っていた高齢者の就業者数も近年では減少に転じていることから、人材不足の問題はより…
経理業務は、企業を出入りするお金の流れをすべて記録、管理する仕事です。その収支の流れの多くは、経理担当者が請求や支払いに関わっているため、計画的に業務を遂行できます。ただし、中には経理担当者の手を離れたところで動く資金もあります。その1つが、従業員が一時的に立て替えた経費の後日精算です。これを「立替経費清算」と呼びます。
経費として認められるものは、原則として「業務に必要な費用」です。そのうち、従業員が立て替える可能性のあるものは、大きく分けて以下の4項目となります。
業務上必要な移動にかかる費用は、旅費出張費という経費です。実費交通費を都度申請する方法が一般的ですが、頻度が高い場合は、週ごと月ごとでまとめて請求するケースも多いでしょう。宿泊をともなう出張にかかる交通費は高額になるため、新幹線や飛行機の運賃を事前申請するケースや、会社側がチケットを用意するケースも珍しくありません。
取引先や顧客を接待するための飲食にかかる費用や手土産購入費用などは、顧客の獲得や維持に必要な経費です。この接待交際費は、従業員が立て替えた実費を清算申請するケースが一般的ですが、金額の上限や適用範囲など企業ごとにルールが設けられている場合も多いでしょう。
業務遂行に必要な文房具、消耗品などの備品については、通常であれば社内にあるものを使用するため従業員が立て替えることはないでしょう。ただし、発注が間に合わなかったり、社外業務などで突発的に必要になったりするケースでは、従業員が費用を負担して購入し、後日精算をすることになります。
通勤交通費は、従業員が会社に通うために必要な費用です。電車・バス通勤の場合、従業員が通勤に利用する区間の定期乗車券を購入してから申請することになります。一般的に期間が長いものを購入するケースが多く、負担が大きくなるため事前申請を受け付けているところもあるでしょう。
立替経費精算のルールや手順は、それぞれの企業によって決められています。一般的な流れは、次の通りです。
まず、上記で述べた出費について、従業員が自らの資金で立て替えます。このとき、出費内容を証明するために領収書を受領します。ただし、電車・バス交通費は領収書が発行されませんので、利用区間のメモなどが必要です。
経費精算書を作成し、領収書を添付して提出します。経理部門が用意した用紙に書き込むケース、エクセルなどのフォーマットを利用して作成するケースなどがありますが、いずれにしても立て替えた従業員自身が作成します。
交際費や備品購入に関しては、企業ごとに経費として認めるかどうかのルールや条件が決められています。上長のチェックにより、経費として妥当ではないと判断されることもあるでしょう。
上長の承認を得た申請書に基づき、経理担当者が精算業務を行います。清算金を支払うタイミングは、申請の都度や月単位など、企業によって異なります。
従来の経費精算方法では、従業員と経理担当者のやりとりについて、同じ会社内ゆえの甘えが生じやすいという問題があります。具体的には、以下のような点が課題となります。
従業員が立て替えた費用は、経理担当者が会計処理を行うことで経費として計上されます。しかし、従業員自身が立替経費の清算を申請しないと会社側は手続きができず、経費として認識できません。実際に経費が発生した月と清算月との期間が空いてしまうと、経費の投入が業績にどのような影響を与えたのかがわからないという問題が生じます。
立替経費申請は、基本的に従業員の自己申告制です。そのため、記入ミスや計算ミスが起こりやすいという問題があります。また、実際の購入費よりも水増しして請求するケースや、そもそも業務に関係のない支出を経費として申請するケースなどが起こるおそれもあります。特に、交通費は領収書がなくても申請できるため、不正かどうかを見抜くことも難しいでしょう。
立替経費はさまざまな場面で発生し、その内容も多岐に渡ります。経理担当者は、申請内容1つ1つを確認し、領収書と照らし合わせ、経費処理を行います。清算金を現金で支払う場合は小口現金の管理、口座振込の場合は振替処理といった作業も必要です。
また、発生から時間が空いている申請では、領収書を紛失しているケースが少なくありません。しかしながら、少額の交通費を除く経費の精算には、税法上、指定事項が記載された適正な領収書が必要不可欠です。経理担当者以外の従業員にとっては「小さな紙切れ」かもしれませんが、致命的な不備として清算できない可能性が高くなります。
従業員にとって、立替経費精算は当然の権利です。不備のチェックや再提出の要求などに対して、「このくらい見逃してくれてもいいだろう」「細かくてうるさい」と思うこともあるでしょう。こういった社内の温度差が経理担当者のストレス源となることも多く、量の多さや煩雑さと合わせても負担の大きな業務です。
立替経費精算の問題を解決するためには、経費精算システムが効果的です。経費精算システムでは、従業員による立替購入から立替経費申請、上長の承認、経理が申請を確認して清算するという一連の業務を一括で管理して効率的に行います。
近年主流のクラウド型システムは、インターネットを介してクラウドサーバー上のシステムを利用する方法です。運営会社によって適切に管理されているため、法改正によるアップデートや定期メンテナンス、セキュリティ対策などを個別に行う必要がありません。
経費精算システムに搭載されている一般的な機能は以下の通りです。
電車・バス利用の場合、交通系ICカードから直接履歴を取得することができます。前もって従業員ごとの定期区間を登録しておけば、過払い防止も可能です。また、乗換案内データが内蔵されているため、移動経路から乗車運賃を自動で算出できます。
経費専用の法人カードを作ることで、従業員が立て替えること自体を減らせます。法人カードとシステムを連携しておけば、購入データを自動で取得できるため転記ミスなどのヒューマンエラーもなくなります。
経費精算システム専用アプリをインストールしたスマホで領収書を撮影するだけで、内容を読み取ることが可能です。思い立ったときに撮影できるため、領収書をためてしまうこともなくなるでしょう。また、取引内容や金額を自動取得するため、水増し請求などの不正行為が働きにくくなります。
各自のスマホやPC、あるいは専用アプリから、領収書データの提出や経費精算の申請手続きが行えます。また、上長の承認も同じシステム上で行えるため、それぞれの帰社を待つ必要がなく、スピーディに処理が行えます。さらに、申請書などの紙書類を減らすことができるため、ペーパーレス化の推進も図れます。
クラウド型システムの最大の特徴は、ID管理によって時間や場所、デバイスを選ばずにアクセスできるという点です。これにより、出張や外出、テレワークなどで社内にいない場合でも、申請や会計業務を行えます。また、上長や経営者などが申請内容や処理状況を確認することも容易になるため、不正申請を減らし透明性を高める効果もあるでしょう。
すでに勤怠管理や給与支払などに会計システムを導入している場合は、連携可能な経費精算システムを導入することをおすすめします。各種会計システムの連携によって、経理部門の業務効率化が促進されるでしょう。
クラウド型経費精算システムを導入することで、経費精算は次のような手順に変わります。
立て替える際は、必ず領収書を受け取ります。交通系ICカードや法人カードなど連携済みのツールがある場合は、なるべく利用しましょう。
手元のスマホやPCで、経費申請システムにアクセスし直接手続きを行います。領収書やレシートはスマホのカメラ機能で読み取るだけで情報を自動取得するため、入力しなくてはならない項目も大きく減るでしょう。移動の車内など、隙間時間で行える点も便利です。
申請同様、上長の承認もシステム上で行えます。確認すべき点がある場合も、システムを通じて直接申請者に通知可能です。いつでもどこからでもアクセスできるため、迅速に可否を判断でき、処理を貯めてしまうこともなくなるでしょう。
申請内容と上長の承認をチェックして、問題がなければそのまま清算金の支払いを行います。申請書の確認から支払い手続きまで、一連の作業を1つのシステム上で行えるためスムーズかつスピーディな処理が可能です。
従業員、承認する上長、経理担当者、それぞれにとって大きなメリットがあります。立場ごとに説明しましょう。
申請に必要な情報のほとんどは自動取得されるため、記入や入力を省略できる項目が多く手間がかかりません。また、申請から承認依頼まですべてシステム上で行えるため、紙の書類を手渡しするために帰社する必要がなくなります。交通費清算では経路から運賃を自動計算する機能やICカード読み取り機能があるため、いちいち交通費を調べる必要もありません。
クラウドシステム上での承認が可能になるため、場所と時間を問わずに行えます。迅速な承認は迅速な支払いにつながり、従業員との信頼関係構築にも役立ち、職場環境を良好に保つ効果が期待できます。
多くの工程が自動化されるため、手間の削減と正確性向上が実現します。また、クラウドシステム上で業務が遂行できるため、場所と時間を問いません。また、従業員の申請も自動化されるため、不正の余地を減らすことができます。精算にかかる時間を短縮できれば、その分、他のコア業務に注力できます。
このようにメリットが大きなシステム導入ですが、以下のようなデメリットも考えられます。
システムの導入コストおよびランニングコストが必要です。かかるコストと業務効率化により得られる効果を比較して検討するとよいでしょう。
経費計算システムを導入することで、必然的に業務フローが変わります。同時に、システムを理解するための情報を従業員へ周知すること、規定やマニュアルの整備など、イレギュラーな業務も発生します。
デメリットによる苦労を軽減させるためには、工夫が必要です。また、多種多様な経費精算システムから適切なものを選ぶ際のコツとして下記を知っておくと良いでしょう。
経費精算システムの一般的な機能については前述した通りです。しかし、各社から販売されている経費精算システムは日々進化を遂げており、さまざまな機能が追加されています。しかし、最新の機能が搭載されているからと選んでも、自社にとって必要な機能だとは限りません。
まずは、自社が経費精算システムを導入する目的、期待している機能を明確にすることが大切です。希望する機能を一覧に書き出し優先順位をつけておくと、必要な機能を備えたシステムを探しやすくなります。
経理業務を含む社内全体の業務フローを見直して、「ムリ・ムダ・ムラ」を洗い出します。その「ムリ・ムダ・ムラ」をどのように解消するかを考えて、合致するシステムを検討するという流れで進めます。
既存のシステムとの連携機能の有無が重要なポイントです。同じ運営会社が提供しているものが安心ですが、他社製品でも連携できる可能性があるため、十分に確認しましょう。
コストがかかることは避けられません。ポイントは、導入時と運用中、それからトータルコストを比較することです。
システムの購入費用、業務フロー見直しにかかる費用だけでなく、システムを扱う従業員の教育費用などもかかるでしょう。一時的に大きなお金がかかるため、資金繰りも含め慎重な検討が必要です。
システム利用費や維持管理費、緊急時のサポート費用など、運用中にかかる費用です。1つ1つは額が小さくても、長期間継続するため、「なにが、どのようなときに、いくらくらいかかるのか」を確認しておきましょう。
通常は、システムにかかるコスト増と業務効率化によるコスト減を差し引くと、トータルでコストダウンになることがほとんどです。しかし、導入当初はコストの方が大きく赤字になるケースも考えられます。トータルコストで成果の出る時期をシミュレーションしておくことが大切です。
実際に扱う経理担当者はもちろん、すべての社員にシステムの変更を知らせましょう。通達だけでなく、実際に説明会や研修会を開き、不安や疑問に対処できるよう準備しておくことが、スムーズに導入するためのコツです。また、強引に進めたり焦った様子を見せると従業員の不安を呼びかねません。余裕をもったスケジュールを立てることも必要です。
新しいシステムの導入には、コストも時間もかかるため、あと一歩が踏み出せないという経営者の方も多いのではないでしょうか。
まずは「導入したい理由」を明確にすることが大切です。経費精算で手一杯で経理業務が停滞しがちであったり、水増し請求や架空請求などの不正が疑われる事象が起こっていたりする場合は、早急に検討することをおすすめします。
次に、解決したい問題や期待する効果を実現するためのシステムを選びます。このとき、客観的かつノウハウに基づいたアドバイスができるプロに相談しておくと安心です。
弊社では、丁寧なヒアリングにより、貴社の業務フロー最適化から適切なシステムの選定、導入サポートやフォローアップまで一貫してお手伝いいたします。
また、経費精算システムの導入によるIT導入補助金の補助を受けられる可能性についても、どうぞご相談ください。
オンライン相談なども受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。
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