2024.11.21
経営者の経理兼務はコスト削減になるのか?見落としてはならない「社長の価値」
経営者が兼務する経理業務とは 少子化の進行によって、わが国の生産年齢人口(15~64歳)は減少を続けています。それを補っていた高齢者の就業者数も近年では減少に転じていることから、人材不足の問題はより…
令和5年10月1日から、いよいよインボイス制度が開始されます。準備期間は残り約1年となり、今一度インボイス制度への対応を見直してみましょう。もし対応がまだの場合は、計画をたてて、期限に間に合うように準備しましょう。
インボイス制度は「適格請求書発行事業者」以外の者からおこなった課税仕入は、原則として消費税の仕入税額控除の適用が受けられなくなる制度です。
自社の消費税の納付金額に大きく直結するだけでなく、取引先の仕入税額控除の適用の可否にも影響するため、対応は必須でしょう。
中小企業に与える影響は、主に以下のとおりです。
・適格請求書を入手しないと仕入税額控除ができなくなるので、消費税の納税額が増えてしまう
・適格請求書を発行しないと、取引先で仕入税額控除ができなくなるので、取引価格の見直しや取引の中止など、今までと異なる条件を提示される可能性がある
・適格請求書の要件を満たす請求書を発行するために、システムの対応が求められる
・経理処理の負担が増える このような問題に対して、中小企業がどのように対応していけばよいのか
下記でそれぞれ確認していきます。
現在、消費税の課税事業者であるか、免税事業者であるかで対応すべき事項が異なります。
それぞれ確認していきましょう。
適格請求書発行事業者の登録申請をすみやかにおこないましょう
課税事業者の場合は、自社が「適格請求書発行事業者」にならないと、デメリットしかありません。まずは「適格請求書発行事業者」になりましょう。
具体的には、納税地を所轄する税務署長に登録申請書を提出します。e-Taxを利用した提出も可能で、その場合は税務署に行かなくても提出ができます。
登録が完了したら、書面にて登録番号等が記載された登録通知書が送付されます。申請書を提出してから通知を受けるまでの期間は、申請数によって異なるとのことですが、現時点ではe-Taxで提出すれば約2週間、書面提出の場合は約1ヵ月です。ただし、適格請求書発行事業者の登録の効力は、通知とは関係なく、適格請求書発行事業者登録簿に登載された日になります。もしタイムラグがある場合には、その期間に発行した請求書について、登録番号などの不足事項を相手方に通知すれば、適格請求書の要件を満たすことができますが、手間が発生するため、制度開始前に余裕を持って申請しましょう。
インボイス制度が開始する令和5年10月1日から適格請求書発行事業者になる場合には、令和5年3月31日までに登録申請書を提出する必要があります。まだ提出していない場合は、すぐにでも手続きしましょう。
適格請求書が発行できるかの確認
適格請求書は、登録番号、適用税率、消費税額等の記載が必要になります。また、消費税額の端数処理が「1請求書」あたり「税率ごとに」1回となります。要件を満たした適格請求書を発行できるかどうか、どのように発行するかを確認しておきましょう。特に、システムが対応できるか、改修が必要かは重要なポイントです。
また、適格請求書は、電子インボイスで提供することも可能です。インボイス制度の対応を機会として、電子インボイスを導入し、自社の業務フローを棚卸して、業務効率化を図るのもよいのではないでしょうか。
取引先の確認
自社が仕入税額控除をとるためには、取引先が適格請求書発行事業者であるかどうかを確認する必要があります。 方法のひとつとして、適格請求書発行事業者公表サイトにて、登録番号から検索が可能です。法人の場合は法人番号から検索していくことも可能です。取引先数が多い場合には、かなりの手間がかかるので、事前に少しずつでもおこなっていくことをおすすめします。 会計ソフトによっては、法人番号から紐づけして自動で登録番号を読み込んでくれます。
ただし、法人名称を正確に入力するなどのメンテナンスが必要ですので、準備を進めましょう。いっぽう、個人事業主の場合には事前に取引先に登録番号を確認するしかありません。個人事業主との取引が多い場合は、随時、個別に確認を進めることをおすすめします。 簡易課税選択事業者の場合は、適格請求書の保存は不要です。もし基準期間の課税売上高が5,000万以下であり、簡易課税を選択できるなら、消費税の納税金額の有利不利だけでなく、本則課税を採用することによる手間が増えることも考慮したうえで、どちらがよいか検討するのもよいでしょう。
免税事業者の場合は、適格請求書発行事業者になるかどうかを検討することが大切です。もし、適格請求書発行事業者になる場合には届出が必要です。
免税事業者の登録申請手続
令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合には、登録を受けた日から課税事業者になることができます。このため、課税事業者になることを決断した場合には、適格請求書発行事業者の登録申請をすみやかにおこないましょう。この場合には「消費税課税事業者選択届出書」の提出は必要ありません。
適格請求書発行事業者になると、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、登録の効力が失われない限り、消費税の申告が必要です。 また、注意点として、この期間に適格請求書発行事業者になった場合は、登録を受けた日から2年を経過する日の属する課税期間の末日まで、免税事業者になることができません。この日よりも前に適格請求書発行事業者の取り消しを届け出ても、登録の効力は失われますが、消費税の課税事業者として申告が必要です。
簡易課税を選択する場合の手続
通常であれば、簡易課税を選択する場合は「消費税簡易課税制度選択届出書」を、原則として適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに提出しなければなりません。 しかし、免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間に適格請求書発行事業者の登録を受けて、登録日から課税事業者になる場合には、その課税期間中に消費税簡易課税制度選択届出書を提出すれば、簡易課税を適用可能です。 このため、この期間中に簡易課税を適用したい場合は、その時点でなるべく早く届出を提出しておきましょう。
このように適格請求書に対する対応が必要になりますが、場合によっては適格請求書の発行自体が免除されます。
事前に念頭においておきましょう。
適格請求書を交付することが困難な場合は、交付義務が免除されます。
例えば以下のような場合です。
・公共交通機関であるバスや鉄道による旅客の運送(3万円未満のものに限る)
・出荷者等が卸売市場でおこなう生鮮食料品等の譲渡
・自動販売機などによりおこなわれる、課税資産の譲渡等(3万円未満のものに限る)
・郵便切手(ポストに差し出されたものに限る)
請求書を受け取る側は、原則として適格請求書がないと仕入税額控除がとれませんが、以下のような場合には免除されます。 ・上記に例にあげた、適格請求書の免除取引
・適格簡易請求書の記載事項を満たす入場券等が、使用の際に回収される取引
・古物営業、質屋または宅地建物取引業を営む事業者が適格請求書発行事業者でない者から、古物、質物または建物を棚卸資産として取得する取引 ・適格請求書発行事業者でない者から再生資源または再生部品を棚卸資産として購入する取引
・従業員等に支給する出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などに係る課税仕入れ
インボイス制度の開始により、消費税の計算に関する経理の負担が明らかに増加します。
特に買い手側の処理の負担が増すことが予想されます。事前に会計ソフト上での経理処理を確認する、負担が多ければアウトソーシングの利用を検討する、などの何かしらの対応をしておくとよいでしょう。
以前より負担が増えるであろう内容は、以下のとおりです。
・適格請求書とそれ以外の請求書では、消費税の仕入税額控除の扱いが異なるので、消費税額の確認が必要になる
・端数処理が「1請求書」あたり「税率ごとに」1回のため、1請求書の中で科目(仕訳)を分けたい場合にわかりづらくなる ・適格請求書が免除される取引について確認する必要がある
・適格請求書の登録番号の確認が必要になる ・免税事業者からの仕入れについて、経過措置期間中(3年間80%、その後3年間50%が仕入税額控除が可能)の仕入税額控除の金額の確認が必要になる
インボイス制度は、すべての事業者が何かしらの対応を迫られます。届出は期限があることなので、特に注意しておきましょう。方針が決まったら、なるべく早めに届出をすることがおすすめです。
また、経理の負担も大きいです。特に免税事業者が、適格請求書発行事業者になるために消費税の課税事業者となった場合には、消費税に関する経理方法に慣れていないため、負担が大きく感じられるでしょう。事前の対策がおすすめです。
ご不明点がありましたら、国税庁のホームページの確認や、税理士などの専門家へのご相談をおすすめします。
私たち横浜・町田経理アウトソーシングオフィスは税理士法人YMG林会計のグループ会社であり、税務/経理の専門家である税理士とグループ提携しています。
インボイス制度・電子帳簿保存法への対応サポートも用意していますので疑問点・ご相談がございましたらお気軽にご連絡ください。
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