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コラム

2025.08.04
従業員の通勤費はどこまで非課税?税務と労務の観点から解説

企業の経営者や経理担当者の皆さま、こんにちは。

「通勤手当って全額非課税じゃないの?」「自転車通勤やマイカー通勤にも非課税の枠はあるの?」そんな疑問をお持ちではないでしょうか。

実は、通勤費には一定の条件のもとで非課税となる範囲が決まっており、超えた分は課税対象となります。また、税務だけでなく労務の観点からも適切な管理が求められます。

この記事では、通勤費が非課税になる条件や上限額、税務調査での注意点、さらには労務管理の観点から押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。

これから通勤手当の支給を検討している中小企業の経営者や、既に支給しているがルールの見直しを図りたい経理担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。

通勤費が非課税となる理由とは?

通勤費が非課税となる背景には、従業員が業務に従事するために必要不可欠な支出であるという性質があります。通勤手当は、給与とは異なり、業務の遂行にあたって生じる必要経費とみなされるため、一定の範囲内で非課税が認められているのです。

この非課税措置は、所得税法施行令第20条に基づいており、具体的な非課税限度額が定められています。支給方法や金額を誤ると課税対象となる可能性があるため、注意が必要です。

【税務の観点】通勤費の非課税限度額と計算方法

公共交通機関利用者の非課税限度額

公共交通機関(電車・バス等)を利用して通勤している従業員に対しては、最高限度として、1か月あたり15万円まで非課税となります。

例えば、月額定期代が12万円であれば全額非課税ですが、16万円の場合は差額の1万円が課税対象となります。なお、新幹線などの特急料金は最も経済的かつ合理的な経路および方法に該当する場合には非課税の通勤手当に含まれますが、グリーン車の料金は含まれません。

自家用車・自転車通勤の非課税限度額

マイカーやバイク、自転車通勤者については、通勤距離に応じた定額制の非課税限度額が設けられています。以下は2024年時点での非課税限度額の一例です:

  • 片道2km以上10km未満:4,200円

  • 10km以上15km未満:7,100円

  • 15km以上25km未満:12,900円

  • 25km以上35km未満:18,700円

  • 35km以上45km未満:24,400円

  • 45km以上:28,000円

このように、自家用通勤は距離に応じて上限があるため、通勤経路と実距離の正確な把握が求められます。

【労務の観点】通勤費支給に関するルールと注意点

通勤手当と就業規則の整備

通勤手当の支給については、会社ごとにルールを定め、就業規則に明記しておくことが重要です。支給対象者や支給方法、申請手続きなどを定めることで、トラブルを未然に防ぐことができます。

例えば、「片道2km以上の通勤者に支給する」「定期券の実費分を支給する」「交通機関の変更があった場合は速やかに申告する」などのルールを記載します。

通勤手当未支給のリスクと労務管理上の留意点

通勤手当の支給は法律上の義務ではありませんが、採用時に通勤手当の支給を約束していた場合は、未支給によってトラブルや訴訟に発展するリスクがあります。

また、通勤途中の事故は労災認定の対象となるため、通勤経路を明確にしておくことが求められます。非課税限度額を超える部分については課税対象となりますが、支給額が少なすぎると従業員満足度の低下にもつながる可能性があります。

通勤費の支給で起こりうるトラブルと対応策

通勤費の支給をめぐるトラブルには以下のようなものがあります:

  • 実際の通勤経路と異なるルートで申告し、過剰な手当を受け取っていた

  • 自転車通勤をしていたのに公共交通機関を使っていたと虚偽申告

  • 定期券を払い戻していたのにそのまま支給を受け続けていた

これらのリスクに備えるためには、通勤経路申告書の提出を義務化し、定期的に通勤経路の実態調査を行うことが有効です。給与システムと連携して自動計算される仕組みを導入することで、人為的なミスや不正も防ぎやすくなります。

通勤費をめぐる税務調査でのチェックポイント

税務調査では、通勤費の支給状況についても細かく確認されることがあります。以下の点が特にチェックされやすいポイントです:

  • 非課税限度額を超えていないか

  • 定期代や距離に基づいた支給根拠が明確か

  • 支給ルールが就業規則等で整備されているか

  • 定期代の改定やルート変更があった際の社内手続き

万が一、誤って非課税扱いとしていた部分が課税対象と判断された場合は、過少申告加算税や延滞税などのペナルティが課される可能性があります。

【ケーススタディ】通勤費の扱いでよくある誤解と正しい対応

ケース1:実家から通勤するため通勤距離が片道80km以上ある社員

このような長距離通勤者の場合、公共交通機関利用でも月額15万円を超えるケースがあります。その場合、超過分は課税対象となるため、給与明細にて明確に課税対象額を分けて処理する必要があります。

ケース2:出張のため定期券を一時的に払い戻した社員

出張期間中に定期券を解約していた場合、実際に通勤に使った交通費を実費精算する必要があります。定期券を保持していない期間の通勤手当を定期代ベースで支給し続けると、税務上問題になります。

ケース3:在宅勤務が中心だが、定期代を満額支給している

テレワークが主となっている場合、通勤頻度に応じて通勤手当を見直す必要があります。必要な出社回数に応じて都度払いとするなどの方法に変更する企業も増えています。

まとめ

通勤費の非課税限度額は、税務上の規定に基づいて厳密に定められており、ルールから外れた支給は課税対象となるリスクがあります。加えて、就業規則での整備や実態に即した運用が労務管理の観点でも非常に重要です。

中小企業においては、通勤手当のルールが曖昧なまま支給してしまっているケースも多く見受けられます。税務調査や従業員トラブルを未然に防ぐためにも、通勤費の支給基準や運用ルールを今一度見直してはいかがでしょうか。

弊社では、税務・労務の両面からのアドバイスが可能です。通勤費に限らず、就業規則の整備や給与体系の見直しなどのご相談も承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

この記事を担当した税理士
株式会社YMG コンサルティングラボ 酒井 康至
保有資格公認会計士・税理士
専門分野法人税・消費税・国際税務
経歴大学卒業後、上場企業の専門商社(鉄鋼系・食品系)の経理部員として約15年の経験。内海外駐在3年半。
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