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コラム

2025.08.04
福利厚生費とは?課税対象になるかどうかの基本知識

企業の経営者や経理担当者の皆さま、日々の業務お疲れさまです。

「社員に対して食事補助を提供したいが、福利厚生費として処理して大丈夫なのか?」「どこまでが非課税?」「税務調査で指摘されないためには?」など、福利厚生費の取扱いについて不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、福利厚生費と課税対象の境目について、特に社内の「食事補助」に焦点をあて、税務上の非課税枠や実務上の注意点を詳しく解説します。

この記事を読むことで、食事補助を福利厚生費として処理する際の上限や条件、制度設計のポイントが明確になります。中小企業の経営者・経理担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

福利厚生費とは?課税対象になるかどうかの基本知識

福利厚生費の定義と具体例

福利厚生費とは、従業員の生活支援や職場環境の向上を目的として企業が支出する費用のことです。具体例には、社員旅行費、健康診断費、社内レクリエーション費、食事補助などがあります。これらの支出は、従業員の士気向上や企業への定着率向上にもつながります。

福利厚生費が「非課税」で処理できる条件とは

福利厚生費が非課税となるためには、「全従業員を対象とした平等な提供」であることと、「社会通念上、適正な金額範囲内」であることが条件です。これらを満たせば、会社の損金に算入でき、従業員にとっても所得税の課税対象外となります。

福利厚生費が「課税」扱いになるパターン

一方で、特定の従業員だけに提供された場合や、過度に高額なサービスを提供している場合、福利厚生費ではなく給与として扱われ、課税対象になります。たとえば、社長だけが高級弁当を無料で受け取っているケースは、明確に課税対象とされます。また、金銭の支給のみで領収書等の実態が確認できない場合も課税リスクが高まります。

食事補助が福利厚生費として認められる条件

食事補助の法的な非課税枠

国税庁の通達によれば、会社が提供する食事補助について、従業員がその費用の50%以上を自己負担している場合、または1カ月あたりの会社負担額が3,500円以下である場合には、非課税の福利厚生費として取り扱われます。これは「給与課税を回避するための基準」として広く認識されています。

会社負担の割合や実務上の取り扱い例

たとえば、社内食堂で1カ月間に1食5,600円のランチを20日提供したとし、合計金額は1万円です。そのうち、従業員が月合計で8,000円を負担、会社が2,000円を補助する場合、この補助2,000円は非課税で従業員に支給できる福利厚生となります。また、外部弁当業者と提携し、同様の費用負担割合で提供する形式も問題ありません。クラウド勤怠システムと連携して食数を集計する事例も増えています。

従業員全員が対象かどうかの重要性

「特定部署のみ」「管理職のみ」など、対象者を限定する食事補助制度は、福利厚生費とは認められず、給与課税の対象になります。制度導入時には、全従業員に対して平等に提供することが非常に重要です。特にパートやアルバイトも含めた対象者の明記が求められます。

食事補助の課税対象になるケースと注意点

社内食堂の運営と実費負担の線引き

食堂を会社で運営している場合、食材費や光熱費、運営人件費などのうち、会社が全額負担し、従業員が無償で食事を受けているような場合は課税対象です。従業員から一定の食事代を徴収することで、非課税に近づける工夫が必要です。例えば一部の企業では、定額の給与天引きによって非課税要件を満たしています。

特定の従業員だけが恩恵を受ける場合のリスク

経営陣のみへの宅配弁当提供、または特定部門のみに週1回無料ランチを実施する場合は、明確に課税リスクが発生します。福利厚生費の性質上、「全社共通の取り組み」が求められます。制度設計時に従業員リストや提供履歴を記録することも有効です。

証憑の管理と税務調査への備え

補助内容を記録する領収書や伝票、食事代の徴収記録など、証憑書類をしっかりと保存しておくことが重要です。税務調査では、福利厚生費の妥当性を証明できるかどうかが問われます。実際に税務調査で、社員名簿や食数の管理帳簿が要求された事例もあります。

制度設計でトラブルを防ぐためにすべきこと

社内規程の整備と従業員への周知

福利厚生費としての食事補助制度を導入する際には、「誰に」「どのような内容で」「どれだけの補助を行うか」を明記した社内規程を策定しましょう。また、その内容を従業員に周知することで、社内外からの疑義を回避できます。規程には食事補助の目的や対象者、金額、提供条件なども明記しましょう。

クラウド会計・給与ソフトでの自動処理

弁当代の補助額や支給対象をクラウド給与ソフトと連携することで、非課税枠内の処理を自動化できます。これにより、誤課税や集計ミスのリスクを低減できます。freee、マネーフォワード、弥生などのソフトには、福利厚生項目の自動分類機能が実装されています。

税理士への定期的な相談でリスクヘッジを

制度の運用を開始した後も、法改正や運用状況に応じて税理士に相談することをおすすめします。特に年度末には、帳簿や証憑のレビューを受けておくと安心です。

よくあるQ&A

Q:出張時の昼食代は福利厚生費にできますか?
A:出張旅費規程に基づく支給であれば、通常は旅費交通費の扱いとなり、福利厚生費には該当しません。定額で支給し、帳簿上で区分する必要があります。

Q:社員食堂がない場合でも食事補助は可能ですか?
A:可能です。弁当業者との契約、食事券の支給などで対応できます。非課税枠や全社員対象の条件を守ることが重要です。福利厚生費の一環として「昼食費補助制度」などの名称で導入されるケースも増えています。

Q:福利厚生費と交際費の違いは?
A:福利厚生費は従業員のための支出、交際費は取引先等の外部関係者への接待・贈答等です。税務上の扱いが異なるため、明確な区分が求められます。交際費には損金算入限度額があるため、分類誤りには注意が必要です。

ポイントまとめ

  • ・福利厚生費は従業員全体を対象に社会通念上妥当な範囲内で支給される場合、非課税となる

  • ・食事補助については、1カ月あたり会社負担が3,500円以下、かつ従業員が50%以上を自己負担していることが非課税の条件

  • ・特定の従業員だけを対象とした場合や、無償提供などは給与課税となるリスクがある

  • ・証憑の整備や社内規程の明文化、クラウドシステムの活用など、制度設計の工夫が重要

  • ・税理士との連携を通じて、法令遵守とリスク対策を行うことが望ましい

まとめ

福利厚生費としての食事補助は、企業にとって従業員満足度を高める有効な手段です。ただし、税務上の非課税条件や対象範囲を誤ると、給与課税対象として課税リスクを負うことになります。

全従業員に公平に提供すること、法的な上限額を超えないよう注意すること、証憑を整備することが大切です。制度導入時や運用後のチェックには、税理士との連携が不可欠です。

弊社では、制度設計から運用、税務処理まで一貫してご相談を承っております。どうぞお気軽にご相談ください。

 

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