2025.08.26
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日々の取引を記録し、帳簿に反映させる「記帳作業」は、企業経営の土台を支える重要な業務のひとつです。しかし、限られた人員やリソースで日常業務を回す中小企業にとっては、軽視できない負担でもあるでしょう。
そこで本コラムでは、記帳業務の実行方法として代表的な「自計」「記帳代行」「派遣」の3つを取り上げ、それぞれの特徴やメリット・デメリットを整理し、自社の状況に応じた最適な選択をおこなうための判断材料を提供します。
<目次>
記帳業務の選択肢は3つある 「自社対応・派遣・記帳代行」を整理しよう
記帳代行・自社・派遣の比較
3つの記帳方法から、向き不向きを見極めよう
まとめ
帳簿の作成は、経営上欠かせない重要業務です。単なる仕訳入力にとどまらず、根拠資料となる領収証や請求書などの証ひょう整理、国税関係書類の作成と適切な方法での保存・管理など幅広い作業が求められます。さらに、企業における法令遵守・資金管理・経営判断の基礎データとしても活用されるため、記帳業務の精度がそのまま企業の信頼性に直結します。
記帳業務の実行手段として、主に3つの選択肢が考えられます。
1.社内の人材で対応する「自計」
2.外部の専門業者に作業を委託する「記帳代行」
3.社内作業をおこなう派遣スタッフを受け入れる「派遣」
いずれの方法にもメリットとデメリットがあり、自社の企業規模や経営状況、リソースや目指すゴールによって、適切な選択肢は異なります。次章からは、これら3つの手段の特徴やメリット・デメリットを見比べながら、向き不向きや判断軸を解説していきましょう。
「自計(じけい)」とは、日々の記帳作業をすべて自社内でおこなうことを指す言葉です。「外部委託・アウトソーシング」に対して、自計や「内製型」「インソーシング」などと呼ばれることもあります。しかし、すべての業務を自計で運用している場合には、特別な呼び方がないことのほうが多いでしょう。
通常、自計の場合は、経理担当者が帳簿業務をおこないます。中小企業では経理部門をごく少数で担当する「1人経理」体制が一般的で、企業規模や体制によっては、経理業務以外のバックオフィス業務を兼務するケースも珍しくありません。
この自計には、以下のようなメリットとデメリットが挙げられます。
・自社内で経理業務が完結するため、業績データや財務状況をリアルタイムで把握可能です。タイムラグがないことで、スピーディーな経営判断をサポートします。
・帳簿作成や税務対応などの経験が社内に蓄積され、経理体制そのものを育てていくことができます。他部門との連携や内部統制の強化にもつながるでしょう。
・金融機関や税務調査への対応でも、社内に事情を把握する担当者がいることで、必要な説明や修正対応がスムーズにおこなえます。
・経理担当者を新たに雇用する場合、人件費が大きな負担となります。特に専門スキルを持つ人材は採用が難しく、給与水準も高くなりがちです。一方で未経験者を採用する場合は、決して少なくない教育コストがかかるでしょう。
・1人経理は、ほかに経理業務を把握している社員がいないことからチェック体制が弱く、ミスや不正に気づきにくいというリスクが生じます。
・ノウハウが特定の個人に依存する1人経理では属人化リスクが高く、担当者の不在が業務の停滞に直結します。また、急な休職・退職で引き継ぎが困難な場合は、業務プロセスがブラックボックス化するリスクも無視できません。
記帳代行」とは、日々の仕訳入力や帳簿作成などの経理業務を、外部の専門業者に委託する方法です。単純に「業務委託」、「アウトソーシング」と呼ばれることもあります。
企業会計を専門とする会計事務所や税理士法人、記帳代行サービス事業者などが、ひと月分の証ひょう類をもとに記帳処理をおこなう方法が一般的です。仕訳記帳のみを委託するケースから、決算関連書類の作成支援、法改正への対応など、必要に応じて柔軟に契約内容を調整できます。
記帳代行の主なメリットとデメリットは以下の通りです。
・経理担当者の正規雇用と比較すると、人件費や教育コストを大幅に抑えられます。業務量の調整によって、変動コスト化できる点も大きな魅力です。委託コストはかかりますが、トータルでのコストダウンにつながります。
・煩雑な帳簿作業をアウトソーシングすることで、社内のリソースはコア業務に集中でき、生産性向上も期待できます。
代行業者では専門資格者や経理実務に精通したスタッフが対応することから、複雑な処理も適切におこなわれます。また、適切なチェック体制によりミスや不正リスクが低減し、財務データの正確性と透明性が向上するでしょう。
・電子帳簿保存法の改正やインボイス制度施行など、企業運営に関わる法改正があっても、適切に対応可能です。経理担当者が、改正のたびに学習コストや理解への手間をかける必要がなくなります。
・記帳処理は、月単位でおこなわれる方法が一般的です。そのため、帳簿への反映にタイムラグが生じ、リアルタイムでの情報把握ができません。
・経理業務のノウハウが社内に蓄積されにくく、将来的に自計化を考えている場合は、新たな仕組み作りが必要になる可能性があります。
・緊急対応や突発的な処理が必要となった場合、契約外対応や時間外対応による制限があったり、別途料金が発生したりする可能性があります。
・委託費用は、作業量に応じるため、状況によっては想定よりもコストがかさむケースもあるでしょう。
アウトソーシングについては、下記コラムでも詳しく紹介しています。
https://keiri-outsourcing.com/column/column-5818/
アウトソーシングのデメリットを克服する方法
「派遣」とは、経理業務に対応できる人材を外部から受け入れて、社内で記帳業務を進める方法です。
人材派遣会社を通じ期間を区切って契約し、時間や曜日を指定して作業してもらいます。時間給で契約することが多く、週に数日、あるいは繁忙期のみなど、柔軟な導入が可能です。
派遣の主なメリットとデメリットとして、以下が挙げられます。
・記帳業務への理解やノウハウを持つ人材を、必要なタイミングで確保できるため即戦力として役立ちます。社内教育や引き継ぎの負担も軽減可能です。
・派遣コストはかかりますが、正規雇用よりは大幅なコストダウンになります。また、稼動時間に応じたコスト管理がしやすい点もメリットです。
・煩雑な記帳業務を派遣スタッフに任せて、自社のリソースをコア業務に集中させることができます。
・社内で作業するため、作業の進捗確認がしやすく、リアルタイムでの財務状況把握が可能です。
・契約形態が時間給のため、想定を超える稼働や業務の追加によってコストが膨らむ可能性があります。業務範囲や作業時間を明確化しておくことが重要です。
・派遣人材のなかには、経理分野の知識が不十分な人材もいるため、契約前の面談でスキルを見極める必要があります。また、一定期間で入れ替わる可能性がある点にも注意が必要です。
自社の記帳業務をどの方法で進めるべきかを検討する際には、いくつかの注目ポイントがあります。ここでは、「コスト」や「柔軟性」「専門性」など6つの観点から、それぞれの方法を比較しながら情報の整理をおこないましょう。
自計にかかる初期コストは、自社に人材がいるかどうかで大きく変わります。既存の従業員で自計を始める場合は初期費用を最小限に抑えられる一方、新たに人材を雇用・教育する必要がある場合は負担が増大します。
記帳代行は、業者や契約内容によって初期費用が発生するケースがあるでしょう。
派遣スタッフの導入では、契約に伴う調整費や社内環境の整備コストなどが必要になる場合があります。
長期視点では、継続的な人件費を必要とする自計にかかるコストが最も高くなるでしょう。
派遣スタッフは、時間単位と稼動時間でコストが決まるため、業務量や契約条件によっては正社員並みのコストがかかる場合があります。
一方、記帳代行は定額制や従量課金制の契約が主流で、コストをコントロールしやすい方法です。
緊急対応や突発的な修正対応などは、社内で作業を行う自計や派遣のほうが対応しやすく、柔軟に動けます。
記帳代行は、業務範囲が明確化されている分、想定外の対応に限界があるでしょう。事前に、緊急対応についての方針を確認しておくことが重要です。
記帳業務の品質は担当者のスキルに大きく左右されるため、社内担当者に十分な経験があれば、自計でも記帳業務の精度を高めることが可能です。ただし、その場合でもチェック体制の不備が課題となります。
派遣や記帳代行では、一定の専門知識を持った人材が対応するため、記帳の正確性や税制対応力への安心感があるでしょう。特に複雑な税務処理が必要なケースでは、記帳代行の強みが発揮されます。
社内で業務が完結する自計は、相対的に情報漏洩リスクの低い選択肢です。
一方、派遣や記帳代行では、社外の人材が社内データにアクセスする構造上、一定のリスクが伴います。とはいえ、派遣スタッフも守秘義務契約を結ぶことが通例であり、記帳代行業者も厳重な情報管理体制を整えているケースが一般的です。
信頼性の高い業者や人材を選び、契約内容と運用ルールを整備することで、一定のセキュリティレベルを確保することができるでしょう。
自計や派遣スタッフによる記帳は、業務の進捗管理やスキル育成など、マネジメントコストが発生しやすい傾向があります。業務品質の維持には、業務の標準化やマニュアル整備が欠かせません。
記帳代行は、業務範囲と役割分担を契約時に明確化することで、その後の管理の手間を大幅に省略可能です。
ここまで見てきたように、「自計・記帳代行・派遣」はそれぞれに特性が異なり、企業によって適・不適が分かれます。そこで、企業の課題や運営スタイルに応じて、どの方法がより効果的かを解説します。
・少数精鋭企業、スタートアップ企業など常勤の経理担当者を雇用する余裕がない
・経理業務は専門家に一任したい
・営業や開発など、コア業務に専念したい
・現状が1人経理で、属人化や処理ミスリスクを回避したい
「とにかく記帳作業を丸投げしたい」という企業は、すぐにでもアウトソーシングを検討しましょう。煩雑な経理業務を専門家に一任でき、本来の業務に集中することができます。
・経理を経営の一部として内製化したい
・業績をタイムリーに把握し、財務戦略に生かしたい
・銀行対応や税務対応を社内で完結させたい
・将来の事業拡大に備えて、社内経理体制を整えたい
将来を見すえて社内ノウハウを構築したい企業には、自計による記帳作業が向いています。短期的にはコストや教育にかかる負担が増えますが、中長期視点では経理体制の構築と企業成長の基盤づくりに寄与するため効果的な投資となるでしょう。
・経理状況は監視下に置いておきたい
・経理資料を社外に出すことに抵抗がある
・ゆくゆくは自計化することも視野に入れている
・月末・期末など、特定時期のみ作業が集中する
・季節によって繁閑差が大きく、作業量も大きく変動する
「期間限定で即戦力を投じたい」という企業には、「派遣」が最適です。社内で作業してもらえる安心感があり、将来的な自計化へのつなぎとしても活用しやすいでしょう。
ここまで「自計・記帳代行・派遣」、それぞれ異なる強みと制約があることをご紹介してきました。
大切なことは、企業規模や経理体制、事業フェーズに合わせて無理のない方法を選ぶことです。
そのためには、業務課題を洗い出し、課題をどのように解決したいかを考える必要があります。
どこに課題があるのかわからない、何を目指すべきか迷っているという場合は、ぜひ一度お話をお聞かせください。
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