2024.11.21
経営者の経理兼務はコスト削減になるのか?見落としてはならない「社長の価値」
経営者が兼務する経理業務とは 少子化の進行によって、わが国の生産年齢人口(15~64歳)は減少を続けています。それを補っていた高齢者の就業者数も近年では減少に転じていることから、人材不足の問題はより…
「2024年(令和6年)の税制改正の大綱」では、デフレ脱却を目的とした大規模な対策が公表されました。賃金上昇が物価に追いついていない国民の負担を直接緩和する所得税・住民税の減税です。まずはその概要を押さえましょう。
・所得税:対象者本人3万円+同一生計配偶者・扶養親族の人数×3万円
・住民税:対象者本人1万円+同一生計配偶者・扶養親族の人数×1万円
下記それぞれの条件を全て満たす人が対象となります。
「対象者本人」
・2024年における年間所得が1805万円以下
・日本国内に住所を持ち1年以上居住している納税者
「同一生計配偶者と扶養親族」
・所得額48万円(給与収入額103万円)以下
・対象者本人と生活を共にしている者
通常、税法上の扶養親族は16歳以上を指しますが、今回の減税では年齢は問われません。
【給与所得者の場合】
・所得税:7月分の特別徴収(給与天引き)から適用
・住民税: 2024年7月期~2025年5月期の11期に適用
【個人事業主の場合】
・所得税:確定申告によって適用
・住民税:定額減税適用後の税額を、年4回(6月、8月、10月、1月)に分けて納付
【給与所得者の場合】
・所得税:当月給与額から算出された所得税額から控除
・住民税:前年の所得税額から算出した住民税額に定額減税を適用、11ヵ月で均分して徴収
※いずれも、勤務先の担当部署によって手続きが行われ、給与天引きにて対応されるため特別な手続きは不要
【個人事業主の場合】
・所得税:年間所得から算出した所得税額から家族構成に応じた定額減税額を控除
・住民税:市区町村から定額減税適用後の住民税納付票が届く
予定納税とは、5月15日時点で予定納税基準額が15万以上になることが確定している人に生じる納付義務です。給与所得は対象外ですが、事業所得や不動産所得のある人は対象となります。個人事業主でも予定納税者となっている方は多いでしょう。
予定納税者は確定申告のみで納税する人よりも、必要な手続きが増えるため注意が必要です。
予定納税対象者には、税務署長から6月15日を目安に予定納税額が通知されます。通知方法は、書面あるいはe-Taxの通知機能などです。
予定納税は、原則として前年の所得税額を基準値とし、そのうち1/3を下記の日程で納めます。
・第1期2024年7月31日まで/第2期2024年11月30日まで
所得税の定額減税3万円は、第1期分から控除されています。控除しきれない分は、第2期分から控除します。ただし、同一整形配偶者・扶養親族の分は考慮されていないため、別途手続きが必要です。
予定納税者が同一生計配偶者・扶養親族分の定額減税適用を受ける手段は、次の2通りです。
手段1:確定申告時に、まとめて控除する
予定納税の有無にかかわらず確定申告は必要なため、まとめて控除した方が手続きの手間は減らせます。しかしながら、家族構成によっては定額減税額が大きくなるため、予め控除しておきたいと考える方もいるでしょう。その場合は、次の手続きが必要です。
手段2:「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の7月(11月)減額申請」を行う
予定納税額の減額申請書様式は、国税庁のホームページよりダウンロードできます。窓口に持参して書面で手続きするほか、パソコンからe-Taxの利用も可能です。第1期分は7月15日まで、第2期分は11月15日までに提出しましょう。
確定申告では、通常通りに2024年の所得に応じた所得税額を算出し、予定納税として納付した金額を差し引きます。配偶者や扶養親族の分について予定納税の減額申請を行っていない場合は、忘れずに控除しましょう。納税者本人の定額減税については第1・2期の予定納税分で控除が済んでいるため、ここでは考慮しません。
前述通り、給与所得者と個人事業主では、定額減税における手続きが異なります。
そのため、従業員を雇用している場合は、雇用主である個人事業主本人と従業員で必要な手続きが違う点に注意が必要です。
2024年6月1日時点で在職し、同年分の扶養控除等申告書を提出している従業員をピックアップします。扶養控除範囲内で働くパート・アルバイトは対象外です。
対象者のうち、2023年以前から在籍している従業員については、前年の年末調整で使った「給与所得者の扶養控除等申告書」から、同一生計配偶者・扶養親族の確認を行います。ただし、次の2点に注意が必要です。
・給与所得者の扶養控除等申告書に記載されていない16歳未満の扶養者がいるかどうか
・就職などによって、5月までに扶養範囲から外れた扶養者がいるかどうか
・配偶者・扶養親族のパート・アルバイト収入について、明らかに103万円を超える者がいるかどうか
※超えることが明らかでない場合は扶養親族として処理し、年末調整で対応
5月までに新規雇用した従業員については、定額減税の主旨を説明したうえで、5月中に扶養控除等申告書の提出を徹底させましょう。
定額減税では、納税者本人の配偶者や扶養親族も減税対象となっています。しかし、非常にややこしいことに、給与所得に対する扶養控除とは扶養範囲の捉え方が異なります。下記に該当する従業員、あるいは配偶者・扶養親族がいる場合は、慎重に確認しましょう。
扶養親族として数える者の年齢について
・所得税法:16歳以上
・定額減税:年齢不問
納税者本人の所得
・所得税法:納税者本人の合計所得金額が900万円を超える場合、配偶者は所得にかかわらず源泉控除対象外
・定額減税:納税者本人の合計所得金額上限である1805万円まで、配偶者も対象
配偶者自身に収入がある場合の控除対象ボーダーライン
・所得税法:130万円
・定額減税:103万円
定額減税額は一律ですが、従業員が納める所得税・住民税額はそれぞれ異なります。家族構成などによって、定額減税適用期間も違ってくるでしょう。要らぬ不安やトラブルを回避するためには、従業員に対して定額減税の主旨と減税方法を周知しておくことが重要です。
定額減税を適用させるための具体的な処理については、導入している会計システムによって対応が異なります。
クラウド型会計ツールの特徴は、システム本体がクラウドサーバー上で稼働していることです。そのため、常に運営企業の管理下にあり、法改正やウィルス対策などを最新の状態に保てるという利点があります。今回の税制改正においても、対象者の抽出・対象金額の算出・給与・賞与の支給額への反映・給与明細作成などさまざまな処理について対応することを、多くの運営会社が公表しています。
すでにクラウド型ツールを利用している場合は、対応を確認し、システムの指示に従うだけで適切な処理が行えるでしょう。
ソフトウェアを購入し、会社のPCにインストールする従来の会計ツールを導入している場合、税法基準は「ソフトウェア発売日時点」のままです。新しいバージョンを購入し直すか、販売元企業のWebサイトで追加プログラムをダウンロードする必要があります。
対応策がない場合は、エクセルなどで独自の表を作成し個別に処理することになるでしょう。
今回のような一時的な減税措置、近年行われたインボイス制度の導入や改正電子帳簿保存法の施行など、個人事業主の頭を悩ませる税法の改正は頻繁に行われています。
経理担当者のいない個人事業主は、丸ごとアウトソーシングするのが得策です。従業員を雇っている個人事業主は、アウトソーシングのほかクラウド型ツールの導入がおすすめです。
クラウド型会計ツールならば、税法改正があっても安心です。適切なタイミングで最新の税法に対応したシステムに切り替わるため、実施時期を気にする必要もありません。
弊社では、個人事業主様の事業規模や従業員雇用の有無などに応じたシステムの紹介・導入支援を行っております。
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