2025.09.30
2025年10月施行「育児・介護休業法改正」|中小企業がとるべき対策と理由
2025年10月1日に施行される育児・介護休業法の改正は、中小企業にとって「柔軟な働き方」への対応を本格化させる重要な転換点です。しかし、リソースが限られている中小企業にかかる負担は大きく、法令遵守と…
20人規模の製造業では、経営者が経理を兼務することが珍しくありません。しかし、経理に時間を取られて、本来の業務に集中できないと悩む経営者は多いのではないでしょうか。また、1人経理の場合には、属人化やミスの多発、高い不正リスクなども問題になるでしょう。
このような問題の対策として、経理業務の外注とクラウドツールの導入を組み合わせる方法が有効です。本コラムでは、中小企業が経理DXで価値のある時間を生み出すためのステップを解説します。
≪目次≫
中小企業庁が実施した中小企業実態基本調査(2024年速報)によると、従業者数が最も多い業種は製造業でした。また、製造業の1企業あたりの従業者数は平均18.1人となっています。このような規模の中小企業では、経理業務を経営者が兼務したり、担当者がバックオフィス全般と兼任したりする1人経理が行われるケースが多いでしょう。
実は、このような経理体制には、数多くの見えないリスクが潜んでいるのです。ここでは、5つの主要なリスクについてご紹介します。
属人化とは、ある業務が特定の従業員に依存し、業務内容や作業手順が担当者にしか分からない状態になることです。特に、請求書の処理や記帳などの経理業務は専門性が高いため、属人化しやすい傾向があります。
中小企業では、1人またはごく少数の担当者に経理業務を任せている場合が多いでしょう。担当者が急に退職や休職をしてしまうと、代行できる従業員がいないため、業務の継続が困難になります。経理業務の属人化は、経営リスクに直結するのです。
1人経理体制の中小企業では、担当者がバックオフィス全般と経理業務を兼務している場合が少なくありません。経理には、日常的に発生する日次業務だけではなく、月次や年次の集計や決算業務があります。これらの業務が重なる繁忙期には、処理が追いつかずに業務の停滞が起こるでしょう。
また、属人化が進み担当者以外では対応できない場合には、処理待ちにより他部門にも遅延が生じます。さらに担当者の残業増加といった業務負荷の重さも深刻な課題の1つです。
1人経理は、社内に理解者がいないケースが少なくありません。企業の財務状況や従業員の給与にかかわるミスが許されない重要な業務ですが、売り上げには直接つながらないことから評価されにくい傾向があります。
このような環境では、担当者には大きなストレスがかかり、心身の不調による急な休職や退職を引き起こす可能性もあるでしょう。また、不当評価や孤立感などが影響してエンゲージメントが低下し、転職につながるケースも考えられます。
さらに、たとえ退職には至らなくても、1人経理は次に挙げる内部不正の3大要素がそろいやすく、組織にとってリスクの高い状態です。
【内部不正の3大要素】
(1)機会:監視の目が届きにくい環境
(2)動機:過度なプレッシャーと不満
(3)正当化:「自分は悪くない」「会社のせいだ」と考えやすい状況
内部不正リスクについては、下記コラムでも詳しく解説しています。
https://keiri-outsourcing.com/column/column-5906/
内部不正撲滅!効果的なDX活用法
経営状況を正確に把握するためには、正確な財務データが必要です。財務データにミスがあると、経営者が経営判断のタイミングを見誤り事業の方向性にも影響をおよぼすおそれがあります。
しかし、複数の業務を兼任している1人経理では、作業が途切れやすく集中できません。また、担当者以外に経理知識のある人がいないことからダブルチェック体制が整わず、ミスがあっても気づきにくいでしょう。
日本・東京商工会議所の「中小企業におけるインボイス制度、電子帳簿保存法、バックオフィス業務の実態調査(2024年)」によれば、規模の小さい企業ほど経営者などが経理業務を兼任する傾向があることが明らかになっています。
しかし、経営者は、コア業務に専念することが重要です。経営者による経理兼務は、人件費削減の目的で行われることもありますが、むしろ価値の浪費になります。コスト面で見ても、「1時間の経理業務」と「経営者給与を時給換算した1時間分」では、釣り合わないことが分かるでしょう。
企業活動を行う上で必要不可欠な人件費は、従業員の労働によって生み出される価値の対価です。だからこそ、マンパワーの配分は、「時間」と「コスト」の両面から考える必要があります。
「従業員の時間を奪う仕事」に価値の高いマンパワーを投じると、コストとの釣り合いが崩れ経営効率が低下します。こうした状況では、DX(デジタルトランスフォーメーション)で、「価値の高い時間」を創出し、限られた人材を再配分することが効果的です。
ここからは、経理DXで「時間」という資産を生み出す具体的な方法を解説します。
経理DXによって業務の自動化が実現すると、そこに費やされていた「工数=時間」が創出されます。その分、マンパワーを投じる価値のある仕事に注力することができるでしょう。
経営者には、代わりの利かない重要な業務が多くあり、その権限や能力は経営者にしかできない業務に注力すべきです。
一方、バックオフィス全般と経理業務を兼任している1人経理担当者は、日常的に多くの仕事を抱え、業務過多に陥りやすい傾向があります。煩雑な定型業務を自動化し、マンパワーが必要な業務や即時性の高い仕事を優先的に行うことで、業務効率化が実現し負担も軽減します。
それぞれが注力すべき業務には、次のようなものがあります。
・経営分析:自社の財務状況を把握し、戦略的な意思決定に活用
・経営判断:投資・組織改革・新規事業など経営の方向性を決定
・プロダクト企画・開発:市場ニーズを踏まえた新製品やサービスの設計
・顧客対応・営業活動:主要取引先との関係構築、売上拡大に直結する業務
・外部調整・パートナー連携:金融機関・取引先・外注先との交渉・連携
・業務改善・仕組み化:社内フローの整備や自動化による生産性向上
・情報整理・報告資料作成:経営判断の支援となる数値レポート作成
・顧客対応・受付業務:顧客や取引先からの連絡・訪問への対応、取次業務
・社内調整:各部門との連携や日常業務の調整
・勤怠・労務関連の整備:ルール整備やトラブル対応による環境づくり
・社員育成・業務引き継ぎ整備:業務の属人化を防ぐ体制づくり
DXとは、デジタル技術の活用によってビジネスプロセスや働き方などを根本的に変革し、新たな価値を生み出す取り組みを指します。単純なデジタル化・IT化にとどまらず、組織の在り方や働き方の変革を含むことが大切なのです。
そのためには、クラウド型会計システムの導入や、アウトソーシングの活用が効果を発揮するでしょう。
クラウド型会計システムでは、日常的な経理データの入力や集計、資料作成などが自動化できます。アウトソーシングは、経理の専門知識があるプロの業者に、経理業務の一部またはすべてを任せることが可能です。
価値創出の時間を生み出すために、クラウド型会計システムやアウトソーシングが有効な業務は、次の通りです。
仕訳記帳とは、日々の取引内容を適切な勘定科目に振り分けて、帳簿に記入することです。クラウド型会計システムを導入すると、金融機関と連携した取引データの取り込みから仕訳記帳、集計作業までを自動化できます。また、アウトソーシング業者に記帳代行を依頼することも可能です。
企業間では、代金を後払いする掛取引が一般的です。この場合、売掛金の請求や買掛金の支払いといった業務が発生します。クラウド会計システムでは、証憑発行から支払処理、請求から入金確認まで自動化できます。また、プロの業者が売掛金や買掛金の管理を代行するアウトソーシングも活用できるでしょう。
勤怠管理は、従業員の出退勤時刻や休憩、休暇の取得状況を管理する業務です。また、給与計算業務では、勤怠情報から給与を計算し、税金や社会保険料などを差し引いて振込処理を行います。
クラウド型会計システムを活用することで、出退勤の打刻データが自動的に集計できます。さらに、給与計算から支払い、書類の発行まで自動化が可能です。アウトソーシングを活用する場合には、これらの業務が業者に一任できるでしょう。
経費精算では、従業員が立て替えた交通費や消耗品などの購入代金を払い戻す業務です。少額の経費は、社内に用意した小口現金で精算することもあります。クラウド型会計システムを導入することで、経費のスマホ申請など経費精算業務の簡略化が実現します。このことは、経費を申請する従業員のストレス軽減にもつながるでしょう。
月次決算は1カ月ごとに行う決算業務です。必要な処理は年次決算と同様で、月次決算書や月次業績報告資料を作成します。クラウド型会計システムでは、任意の条件での集計を自動化し、月次や年次の決算資料も作成できます。これらの業務は、税理士などにアウトソーシングすることも可能です。
経理における日常的な定型業務は、自動化や外注が効果的な業務です。しかし、だからといって、誰にでもできる簡単な作業というわけではありません。
経理業務には、専門知識だけではなく、緻密な判断や正確な処理、法令遵守などが求められます。また、企業の機密情報を扱うため、ミスや不正が経営危機に直結するおそれもあるでしょう。正確性が求められる重要な業務だからこそ、属人化によるリスクを回避し、専門的な環境で運用することが必要なのです。
営業や開発は企業の利益に直結するため、「コア業務」にあたります。一方、経理業務は「非コア業務」に位置づけられるでしょう。しかし、帳簿や給与、支払いの正確性は企業の信用や継続に大きく関わるため、軽視できるものではありません。
財務データの誤りは、経営判断にも悪影響を及ぼすでしょう。1人経理によって業務の属人化が進むと、不正リスクも高まります。これは、企業にとって大きな問題です。クラウド型会計システムの導入やアウトソーシングの活用によって、属人化を防ぎ、誰が担当しても機能する仕組み作りが重要になります。
経理DXに対して、業務内容が変化することへの抵抗感や、「自分の仕事がなくなるのではないか」という不安を持つ経理担当者もいるでしょう。しかし、経理業務をDXしても、担当者が不要になるわけではありません。工数が大幅に削減しても、人の手が必要な部分は残るのです。
これまでバックオフィス業務を兼任してきた経理担当者は、クラウド型会計システムの導入後にオペレーションを担当すると良いでしょう。自動化が進んでいても、突発的に発生した作業や、緊急性のある業務には対応が必要です。その際、専門的な業務の知識やノウハウをすでに持っている、というメリットが生かせます。
経営者が経理を兼務している中小企業では、他に経理を担当する人材がいないケースが多く見られます。このような場合には、すべての経理業務を外注するという方法が有効です。また、外注先と同じシステムを導入することで、リアルタイムのデータを社内でも確認できます。
外注はコストがかかるものの、経営者が経理を兼務するよりもはるかに価値のある支出になるでしょう。
DXは、導入することがゴールではありません。成果につなげるためには、適切な手段の選定と初期設定が重要です。自社に合ったDX導入は、ノウハウのあるプロに依頼することをおすすめします。業務フローの整理から運用設計、最適なシステム選定などの支援が受けられるでしょう。
また、DX導入サポートでは、システムへのデータ移行や初期設定、従業員研修まで任せられます。
20人規模の製造業では、1人経理体制の企業が少なくありません。しかし、この体制は、単に担当者の業務負荷の問題だけではなく、経営の根幹に関わるリスクを抱えています。
だからこそ、経理DXによって、経営者や経理担当者が本来の業務に注力できる環境を構築することが重要なのです。
弊社では、実績豊富なプロが貴社に最適なシステムを選定し、DXの導入からアフターフォローまでトータルサポートいたします。
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