2025.02.28
年末調整を「大変」から「楽」に変える!会社全体が楽になる年調DXとは
年末調整とは 年末調整は、従業員の給与や賞与にかかる所得税を正しく計算し、源泉徴収額との差額を調整する手続きです。 所得税は、1月1日から12月31日の1年分の所得から所得控除を差し引き、所得税率…
確定申告は、個人の所得に対する税金である所得税を正しく申告・納付するための手続きです。1月1日から12月31日までの1年間の収入から必要経費や控除額を差し引いた課税対象額に税率を乗じて、所属税額を算出します。
「確定申告」と「年末調整」は、どちらも所得税を納税するための手続きという点では同じです。ただし、確定申告は「所得税の確定と納付」という目的で行われるのに対し、年末調整は「先払いした所得税の過不足を精算する」ために行われます。
会社員の場合は、所属企業が毎月の給与を支払う際に所得税を源泉徴収しています。しかしながら、このときの所得税額は年間給与見込額に基づく概算です。年間給与額が確定する12月に、各種所得控除も考慮して再計算を行い、適正税額と源泉徴収額との差額を調整します。これが、「年末調整」です。
所得税は、給与や事業所得だけでなく、不動産や山林を所有することで生じる収入、有価証券取引による利益などにも課税されます。通常、企業に所属する会社員は確定申告不要ですが、下記に該当する場合は確定申告が必要なケースがあります。
必要な確定申告を期限内に行わない場合は、税法に基づき次のペナルティを受けることがあります。
確定申告の遅延に対する利子に相当する「延滞税」です。法定納期限の翌日から完納日までの日数に応じて課されます。完納まで2カ月以上かかると、延滞税率が高くなる点に注意が必要です。
故意や悪意があると判断されるケースでは、延滞税に加えて以下の加算税も課されるおそれがあります。
このような延滞税を課されると、事業主としての信用は失墜し、事業そのものにも悪影響をおよぼすでしょう。
事業所得の申告方法には「白色申告」と「青色申告」があります。大きな違いは、次の2点です。
所得税の基礎控除は、納税者本人の所得金額に応じて最高48万円ですが、青色申告に切り替えると青色申告控除として最高55万円の所得控除が適用されます。さらに、青色申告者が電子帳簿保存法に適した電子申告を行うと、青色申告特別控除として65万円の控除が適用されます。
従業員に、配偶者や15歳以上の家族従業員がいる場合、その給与を必要経費に算入することができます。
売掛金、貸付金などの貸倒れによる損失見込額として、一定割合の金額を必要経費として繰り入れることが可能です。
赤字申告から3年間、黒字との相殺が可能です。起業後間もなく、まだ利益が安定していない時期に利用価値の高い特典です。
収入のうち、所得税の対象となる金額を「課税所得」といい、以下の手順で計算します。
所得税や住民税は、課税所得に一定の税率を乗じて算出します。つまり、経費計上や控除適用を正しく行うことが、総合的な節税につながるというわけです。
個人事業主の場合、計上できる経費の額に上限はありません。事業運営にかかる費用はすべて経費算入が可能です。どのような名目でもかまいませんが、一般的には以下の経費科目が挙げられます。
自宅を事務所として利用している場合、経費計上できるのは事業で利用する部分にかかる費用のみです。そのため、プライベートと事業で使う分を区別する「家事あん分」を行います。あん分方法に明確な規定はありませんが、使用面積や使用日数・時間などを考慮して使用比率を決める方法が一般的です。家事あん分の対象は、家賃や水道光熱費のほかに電話・インターネット料金、地震保険料などが挙げられます。社用車をプライベートでも利用する場合は、自動車にかかる諸費用も家事あん分が必要です。
所得税には、納税者の家族構成や支出内容に応じたさまざまな控除制度が用意されています。減税効果の大きいものが多いため、適用可否をしっかりと確認することが大切です。
基礎控除は、すべての納税者を対象としていますが、納税者本人の所得による制限があります。・基礎控除:最高48万円~0円
納税者本人や家族に該当者がいる場合に適用される控除で、所得や年齢による適用要件が設けられているものもあります。ただし、事業専従者は配偶者控除や扶養控除の対象外です。
・社会保険料控除:納税者本人、扶養家族の社会保険料の全額
・生命保険料控除:最高12万円(2012年以降の契約)/最高10万円(2011年以前の契約)
・地震保険料控除:最高5万円
・雑損控除:災害や盗難などで資産に損害を受けた場合(限度額あり)
・医療費控除:医療費のうち10万円を超えた分(上限200万)
共済による退職金や個人年金を準備している場合は、その掛金が下記の控除対象となります。
・小規模企業共済等掛金控除:小規模企業共済掛金、確定拠出年金掛金の全額
個人として行ったふるさと納税は、寄付金控除の対象です。また、認定団体などへの寄付については、寄付金額の一部に下記の控除が適用されることがあります。
・寄付金控除:国や地方公共団体、特定の法人に対する寄付金の一部
確定申告期間は、毎年2月半ばから3月半ばと決まっており、2025年は2月17日から3月17日の1ヵ月間です。
確定申告を行う際は、まず申告書の提出方法について以下の3種類から選びます。提出方法によって、書類の作成方法が異なるため、あらかじめ決めておくほうが良いでしょう。
税務署、あるいは役所や公共機関などに設けられた出張窓口に書類を持参する方法です。
確定申告の書類は、郵送でも受け付けています。その場合、消印の日付が提出日となるため、申告期限が迫っている場合は注意が必要です。
電子申告はオンライン上の専用フォーマットで進めていくため、紙の書類を書く必要がありません。スマホでもPCでも申告できます。
青色申告に必要な書類は、一般的に下記の通りです。年が明けてから準備すると慌ただしくなるため、こまめに進めておくと良いでしょう。
税務署や公共機関の窓口のほか、国税庁の確定申告特設サイトからダウンロードすることでも入手できます。e-Taxを利用する場合は、指示に従って入力していけば自動的に計算されます。
青色申告決算書に総収入金悪や必要経費の内容を記載し、損益計算書と貸借対照表を添付して提出します。
控除証明書は、9月~11月末ごろに対象機関から発行されます。電子申告をおこなう場合は、デジタル証明書で発行してもらうとデータのまま添付や情報取得ができるため便利です。
途中まで会社勤めをしていた場合など、年間収入に「起業前の勤務先企業からの給与」や「源泉徴収されている受託報酬」などが含まれている場合は、忘れずに源泉徴収票を受け取っておきましょう。
申告書類の作成に用いた下記の帳簿や書類は、申告時に添付する必要はありません。しかし、後日税務署から提出を求められる可能性があるため、適切に保管しておきましょう。
申告書の作成が終わったら、予定していた通りの方法で提出します。どの方法を選択しても、マイナンバーの記載、あるいは写しの添付が必要です。マイナンバーカードの準備と暗証番号の確認をしておきます。
所得税の納付期限は、申告書の提出期限と同日です。申告書を提出した後に、税務署から納付書の送付や納税通知書等による知らせはありません。申告内容に基づき、自分で納付手続きを行います。納付方法は、下記の7種類から選択可能です。
ここまで、確定申告の手順を説明してきました。やはり、面倒だと感じる方も多いのではないでしょうか。個人事業主の会計管理には、クラウド型の会計システムが便利です。
クラウド会計システムには、さまざまな利便性がありますが、主に次の点が確定申告に役立ちます。作業効率の向上も期待できるため、確定申告の手間が大幅に軽減するでしょう。
金融機関の取引データ取得から仕訳、記帳、集計まで、会計システムが自動で行います。日々の入出金にかかる作業を手放してコア業務に専念しながら、適切な資産管理も実行できるというわけです。
また、月次・年次決算に必要な集計や資料作成も自動化されており、システムに出力を指示するだけで完了します。入力ミスや転記漏れ、計算間違いといったヒューマンエラーがない分正確性は向上しており、経営状況も把握しやすくなります。
青色申告を行う際の添付書類は、経理や企業会計の知識がないと扱いは困難です。また、法改正があるたびに独自に勉強して対応しなければなりません。しかし、クラウド型会計システムは自動アップデートにより常に最新の税制に対応しているため、その時々に最適な資料を準備できます。
もちろん、作成した資料はデジタルデータとして提出できるため、印刷や郵送にかかるコスト削減にもつながります。
本コラムで紹介したように、所得税の節税効果を得るためには経費計上と控除制度の活用が肝心です。会計システムでは、取引内容から適切な勘定科目に自動仕訳されるため、計上漏れがありません。あらかじめ、家事あん分の割合を登録しておけば、いちいち計算する必要もないでしょう。
また、会計システムを利用して作成した確定申告資料は、「65万円の青色申告特別控除」の要件を満たすため、通常よりも10万円の節税効果を得られます。
確定申告は、1年間の事業成果に対して正しく納税するために必要な手続きです。個人事業主にとって、事業収支の把握は経営判断に必要であり、適切な経費計上は所得税軽減にも効果的です。
電子帳簿の作成管理は、クラウド会計ツールが便利です。ツール導入により日常的な経理業務を簡素化できるうえ、月次・年次決算資料も自動化できるため、確定申告にかかる負担がなくなります。
弊社のクラウド会計導入サポートでは、税理士によるツール選定や適切な業務フロー構築も可能です。起業後間もないうちに環境整備を行うと、より高い効果が期待できるでしょう。
どうぞお気軽にご連絡ください。
経理体制の
ヒアリング(無料)
貴社の課題解決の
ためのご提案
ご契約
貴社の業務フローの
改善サポートの開始
経理代行業務の
開始