2025.05.21
経理効率化の次の一手!アウトソーシングとクラウド連携で業務改善
クラウド会計を導入しても残る「手作業」の壁 クラウド会計ツールを導入する企業は年々増加しています。しかし、導入後も業務全体の効率化には至らず、手作業が多く残っているケースが少なくありません。 特に…
経理業務のアウトソーシングは、慢性的な人手不足に悩まされる中小企業にとって利用価値の高い選択肢です。しかし、その効果を最大化するためには、適切なタイミングで切り替える必要があります。
そのためには、以下に挙げる4つのアウトソーシング検討サインを見極めることが重要です。
中小企業では、1人の担当者が経理業務のすべてを担う「1人経理」が一般的です。なかには、経理業務だけでなく、給与計算や社会保険、総務事務などお金に関わるバックオフィス業務をまとめて兼務しているケースもあるでしょう。
しかし、1人経理の常態化は経営上のリスクが高く、非常に危険な状態です。経営危機に陥る前に、いち早くアウトソーシングするすべきでしょう。
中小企業の1人経理は、多くの場合人手不足や人件費の節約により常態化しています。従業員の新規採用は解決策として有効ですが、生産年齢人口の減少が長引く現代の日本では簡単なことではありません。また、限られたリソースを生産部門に注力したいという企業事情もあるでしょう。
それでも1人経理を危険視する理由は、以下のような重大なリスクがあるからです。
属人化とは、特定の個人に依存する業務の知識やノウハウが、組織全体に共有されず効率が低下する状態を指す言葉です。1人経理の場合、プロセスが担当者に集中することで属人化が進行し、担当者の多忙や不在によって停滞や遅延を起こすでしょう。経理業務は社内の他部門や取引先とも関わるため、停滞や遅延が生産活動に影響を与える可能性があります。
1人経理による属人化リスクについては、詳しく解説している以下のコラムもあわせてお読みください。
企業を内部から崩壊させる属人化の危険性と対策
1人経理では、担当者以外に経理業務を把握している人がいないため、ダブルチェック体制が構築できません。これにより、ミス防止と正確性確保が困難になり、財務諸表の信頼性低下や経営判断の妥当性への疑念が生じます。数値の誤りは税務申告ミスを招き、税務調査のリスクを高めるでしょう。
1人経理は、内部不正の三大要素「機会・動機・正当化」の揃いやすい環境だといえます。なぜなら、属人化が進んだ業務は監視の目が届きにくく、担当者の行動が不透明になり、不正の「機会」を日常的に生み出すからです。また、業務過多や職場の不満が「動機」を強め、不正行為を「正当化」する余地につながることで、不正リスクが高まります。
経理業務のアウトソーシングを請け負う会社の多くは、税理士や公認会計士など企業会計の専門家が在籍しており、専門スタッフが数人で作業を分担します。このような会計のプロチームに経理業務を委託することで、1人経理リスクを低下させることができます。
1人経理のリスク対策では、以下に挙げるような財務会計のアウトソーシングが効果的です。
日常的に発生する取引の仕訳記帳をアウトソーシングすることで、属人化を防ぎ、業務の標準化を促進します。また、財務データの土台となる帳簿管理をプロチームに任せることで、仕訳ミスや計上漏れが減少し、データの正確性が大きく向上するでしょう。
経理業務のアウトソーシングは、月次・年次の決算業務のみを委託することも可能です。定期的にプロの目が入ることで、精度の高いダブルチェック体制が整いミスや不正の発見が早まります。また、業務過多の原因となる決算業務を社外で行うことで、社内リソースの負担が軽減され労働環境の改善にもつながるでしょう。
財務諸表とは、企業の財務状況や経営成績を示す書類で、貸借対照表や損益計算書が含まれます。外部の専門家による財務諸表作成は、透明性と正確性を向上させ、内部不正を防ぎます。さらに、会計基準に準拠した適切な財務諸表により、税務調査リスクも低減可能です。
業種や業態によっては、季節や時期による業務量の変動が大きい企業もあるでしょう。生産部門や営業部門の繁閑差は、取引件数の増減を通じて経理部門の業務量にも影響をおよぼします。そもそも、経理は決算や税務申告・納税などがあるため繁閑差の生じやすい業務です。加えて、企業独自の繁忙期がある場合は、1人経理では処理しきれない場合が出てくるでしょう。
繁閑差によって経理が回らない場合は、経理アウトソーシングの検討サインです。
リソースが限られる中小企業では、繁忙期における業務増加が経理担当者の業務過多を招きます。働き方改革による残業規制により、他部門の社員が経理を支援する場面も増えるでしょう。その結果、以下のような課題が生じる可能性があります。
経理の日常業務とは、日々の取引記録や管理を行い、企業の財務を安定的に維持することです。繁忙期には、取引件数が急増し、集計や処理の負担が大きくなります。このような状態では、帳簿の不整合や取引遅延が発生しやすくなるでしょう。企業の生産性や社会的信用に、深刻な悪影響をおよぼすかもしれません。
取引件数が増加する繁忙期には、生産部門や営業部門も多忙です。この状況で経理部門の人手不足を他部門社員が補うと、企業全体のリソースが疲弊し、生産性低下のリスクが生じます。また、不慣れな社員による経理業務は専門性を欠き、業務遅延やミスの増加を招くおそれもあります。
繁忙期の人手不足を見越して増員すると、閑散期に余剰人員が発生し、人件費負担が増大します。また、期間限定のアルバイトや派遣社員を活用する方法もありますが、業務説明や成果の確認に手間がかかり効率的とはいえません。雇用と費用対効果のバランスは難しい問題です。
繁忙期に社内リソースが不足する場合、追加業務を外部委託することで社内負担を軽減できます。繁忙期のみのアウトソーシングは、最低限のコストで専門的なサポートを受けられる得策です。
プロによる売掛金管理は、回収率向上やキャッシュフローの安定化に役立ちます。与信管理や未収金リスクへの対応が適切に行えるため、繁忙期の取引増加にも柔軟に対応可能です。これにより、企業の資金繰りと経営の安定性を実現し、取引先との信頼関係構築にも寄与するでしょう。
買掛金管理をプロに委託することで支払処理が効率化し、繁忙期の取引増加にも柔軟に対応可能です。また、ミスや遅延を回避できるため、コスト最適化や信頼関係構築にも貢献します。
繁忙期や突発的な業務量の増加に社内リソースや期間限定スタッフでは対応しきれない場合、アウトソーシングが有効です。業務量に応じた柔軟な対応が可能で、定期利用することで説明の手間も削減できます。
経理は専門知識を要する職種であり、担当者の退職後の代替要員確保は簡単ではありません。特に、中小企業では経理担当者を複数配置する余裕がなく、1人経理の退職によって企業経営が脅かされる可能性もあります。経理担当者が退職する前に、アウトソーシングへの切り替えを検討すると安心です。
経理は、企業を出入りする資金の流れを管理しています。経理業務に空白が生じると、資金を管理する流れが止まり、企業活動に大きなリスクをもたらすでしょう。
1人経理では日常業務に追われ、業務手順をマニュアル化する余裕がありません。そのため、担当者の退職によって、経理業務フローは誰も手がつけられないブラックボックスと化すのです。新しく業務フローを構築するまで、経理業務がストップすることになります。
ブラックボックス化した経理業務では、後任を採用してもすぐには再開できないでしょう。中小企業の経理業務は、税法に則った部分以外は企業ごとの独自スタイルで行われています。直接引き継ぐ機会がない場合は、業務フローを理解できるまで業務停滞が続きます。
空白期間を避けるために、経営者や他部門社員が経理を兼任すると、コア業務に支障が生じ生産性が低下します。また、専門知識不足による財務管理の乱れは、企業経営の健全性を損なうでしょう。結果的に、企業を疲弊させ経営危機につながるおそれがあります。
経理担当者の退職による空白期間を埋めるためには、アウトソーシングが効果的です。企業会計の専門業者に任せることで業務の停滞を防ぎ、引き継ぎの負担を軽減できます。
経理業務の引き継ぎには、時間が必要です。しかし、中小企業では、前任者の在籍中に後任者を採用することは難しいでしょう。そこで、前任者の退職前に経理アウトソーシングの利用を開始すれば、低コストでしっかりとした引き継ぎが行えます。
アウトソーシングは一般的に月極契約のため、後任者の採用状況に合わせて柔軟に対応可能です。これにより、採用を急ぐリスクを避け、時間をかけて適切な人材を選べるでしょう。
アウトソーシングを利用する際は、業務フローの最適化や業務マニュアル作成も依頼できます。企業会計に対する豊富な知見とノウハウを持つ専門家によって標準化された業務フローは、アウトソーシング終了後の内製化や担当者交代にも役立ちます。
近年、経理業務を取り巻く環境は急速に変化しています。デジタル化やシステム化への対応など、新しい設備や専門知識が必要なものも多く、マンパワーに余裕のない中小企業において厳しい状況だといえるでしょう。
法改正やDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応は不可欠ですが、多くの中小企業では日常業務に追われ、十分に対応できていません。しかし、この状況により、経理担当者は過剰な負担を強いられ、業務ミスや処理遅延が発生しやすくなるでしょう。結果的に、法令違反のリスクが高まり、取引先や金融機関との信頼関係への悪影響も懸念されます。
電子帳簿保存法改正やインボイス制度など大きな改正だけでなく、毎年さまざまな法改正が実施されています。そのたびに、経理担当者は、調査・理解・適用を1人で行わなければなりません。法解釈に対する誤解や処理の誤りがあっても、誰も気づかないまま長期間繰り返されることとなるでしょう。
経理業務のDXには、ペーパーレス化やクラウド会計システム導入などが挙げられます。しかし、効果的なDXには、自社の業務フロー見直しと課題の洗い出し、目的に合ったシステムの選定などを行うための知識と労力が必要です。
DX化推進は中小企業にとって負担が大きく、対応したくても実行に移せないケースが少なくありません。アウトソーシング先の最新知識や技術を活用すれば、記帳や集計の自動化などで業務効率が向上します。また、自社にクラウド会計システム導入のサポートを受ければ、アウトソーシング先との連携でさらなる効率化が期待できます。
クラウド会計システム導入には、業務フローの見直し、データ移行、操作方法の学習などが求められます。これらをアウトソーシングすることで、プロによる業務最適化や自社に合ったシステム選定、導入からアフターフォローまで一貫したサポートを受けられます。短期間で効率的にDX化を進め、現場の負担を軽減することが可能です。
クラウド型会計システムの導入は、日常取引のデータ取得から仕訳記帳、集計までを自動化します。これにより、データの正確性向上と透明性が確保されます。また、複数人がリアルタイムで経理データを閲覧できるため、経営判断にも貢献します。1人経理でも対応しやすくなりますが、アウトソーシングと併用することでより効率化が高まるでしょう。
法務・コンプライアンス管理のアウトソーシングにより、企業は法令遵守のプロセスを効率化し、法改正への迅速な対応が可能になります。これは、企業イメージや取引先との信頼関係の向上につながるでしょう。さらに、企業内での業務負担を軽減し、他の重要業務への集中が可能になることで、全体的な生産性向上が期待できます。
経理部門は、企業のお金の流れを正確に記録し、経営状態を判断するデータを提示する重要な役割を担います。しかし、中小企業では人員不足により、属人化リスクや内部不正リスク、経理担当者の業務過多など、さまざまなリスクを抱えています。
経理アウトソーシングを活用すると、専門家による正確な経理処理により、精度の高い適切な財務データを提供できる環境が整います。属人化の解消や業務の標準化、マニュアル化は、経理担当者の負担軽減だけでなく、会社全体の業務効率化も推進します。生産性向上や企業成長にもつながるでしょう。
業務効率化の結果として業績アップが期待できるため、アウトソーシングコストは相殺されるケースがほとんどです。必要に応じて、丸ごと委託から部分的な委託、期間限定の委託まで自由に選べる点も大きなメリットです。
本コラムでは、中小企業における経理アウトソーシングを利用すべきサインについて、解説しました。
このように、中小企業におけるさまざまな課題の多くが、アウトソーシングによって解決します。もちろん、中小企業ごとに業種や業態、規模が異なり、具体的な悩みは異なるでしょう。
貴社に合うアウトソーシングがどのようなものか迷ったら、どうぞ遠慮なくご相談ください。
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