2024.11.21
経営者の経理兼務はコスト削減になるのか?見落としてはならない「社長の価値」
経営者が兼務する経理業務とは 少子化の進行によって、わが国の生産年齢人口(15~64歳)は減少を続けています。それを補っていた高齢者の就業者数も近年では減少に転じていることから、人材不足の問題はより…
社会的な構造の問題による人手不足を、会社の採用活動で補うことは困難です。人手を増やせないのならば、業務を減らす工夫が必要でしょう。 会社運営に必要な業務は、生産・開発や営業部門など会社の利益に直結する「コア業務」と補助や支援を目的とする「ノンコア業務」に大別できます。 ノンコア業務のなかでも、経理や総務などの「バックオフィス業務は、繁閑差が大きく煩雑な作業が多い反面、DX化による自動化や省人化が図りやすいという特徴があります。 DX化を検討する際には、まずバックオフィス業務の見直しからはじめるとよいでしょう。
DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略称で、デジタル技術によって業務効率を図り、組織や人、経営やビジネスモデルに変革をもたらすことを意味します。単なる業務効率化だけでなく、企業の市場価値を高めることを目指す取り組みです。
バックオフィス業務のDX化は、ルーティン業務のデジタル管理を通じて作業効率と精度を上げる方法が一般的です。すぐに取り入れられる方法として、下記のようなものがあります。
書類の電子データ化
決済デジタル化
入出金管理の自動化
Web会議・テレワーク環境の整備
クラウド型システムの導入
では、DX化によってどのような効果があるのか、具体的に解説します。
経理業務は、会社経営に必要不可欠です。しかし、証憑の発行や受理、仕訳、該当帳簿への記入、集計、転記など、作業に多くの工数と時間がかかります。
DX化で入出金データの自動取り込み、自動仕訳・自動集計などができるシステムを導入すると、人が介在する工数の大半を消滅させることが可能です。
経理業務では、目的ごとに複数の会計帳簿を作成します。主要簿である「総勘定元帳」と「仕訳帳」のほか、補助簿として「出納帳・手形記入帳・売上帳・仕入帳・売掛金元帳・買掛金元帳・固定資産台帳」などがあり、帳簿間の転記が必要です。
また、部門ごとに必要な情報だけを個別管理した結果、データが重複管理されていることも珍しくないでしょう。会計システムの導入では、一元管理したデータを帳簿ごと部門ごとで必要な形式に出力できるため、重複保存や帳簿への転記などの二度手間がすっかり消滅するというわけです。
クラウド会計システムでは、データをオンライン上のサーバーに保存します。そのため、インターネットを利用できる環境ならば、社内だけでなく外出先からでも操作可能です。経理担当者を通さなくてもリアルタイムで数値の確認ができるため、営業活動や経営状況把握にタイムロスが生じません。
会計帳簿や証憑は、税法によって7~10年間の長期保管を義務づけられています。これらを紙で管理する場合には、ファイリング作業や保管場所の確保が必要です。また、保管期限を過ぎたものは適切に破棄しなければならず、大変非効率でした。必要書類を電子化すると、サーバー上のデータベースに保管されるため、紙保管により生じる問題はなくなります。
紙で書類を保管した場合、必要な情報を取り出すには手作業で検索、場合によっては捜索する必要がありました。コクヨ株式会社が2022年に実施したアンケート調査によると、書類の捜索に費やす時間は年間で54時間になるそうです。DX化でデジタル管理された書類は、データベース検索機能により即発見可能になります。これにより、今までかかっていた捜索時間がゼロになります。
経理担当者は、社会保険の仕組みや税法といった専門的な知識を求められます。しかし、関連法の改正や新制度の施行は毎年のようにおこなわれ、その都度経理担当者が独自に勉強しなければなりませんでした。
クラウド型会計システムは、法改正などに対応したバージョンアップも自動的におこなわれます。対応漏れの心配がなくなると同時に、経理担当者の「法律の勉強」にかかる負担もなくなります。
「不正のトライアングル」は、アメリカの組織犯罪研究者であるD.R.クレッシーが提唱しW.S.アルブヒト博士が体系化した理論で、多くの企業がリスク管理に活用しています。
不正のトライアングルでは、以下の3要素が揃ったときに、不正行為がおこなわれるとしています。
1:借金やミスの隠蔽など不正をおこなう「動機」
2:業務の属人化や監視機能不全などで不正を実行しやすい「機会(環境)」
3:会社が悪い、誰もがやっているといった不正への「正当化」
DX化では、業務の可視化や情報の共有が容易になります。他者の監視が常態化することで不正の「機会」が消滅します。3大要素が成立しなければ、不正リスクそのものも消滅するでしょう。
DX化では、導入費用や設備投資などの初期コスト、システム使用料などの運用コスト費用が必要です。そのため、コストの負担増が気になり二の足を踏んでいるケースも見受けられます。
しかし、DX化による自動化・省人化、工数削減が実現すると、そこにかかっていた人件費を削減できます。専門知識を備えた経理担当者の採用・教育コストも不要になるでしょう。手の空いた人材をコア業務に投入することで、業績向上や企業成長も期待できます。導入時のメリット・デメリットを比較すると、トータルでは効果的なコストダウンが可能になるなどメリットが上回ります。
中小企業が直面する深刻な人手不足の解消には、バックオフィスのDX化による業務削減が効果的です。本記事で解説したように、DX化では8つのムダが消滅し、限られたリソースを活かす経営への転換が可能です。 人手不足で業務が回らないと感じることがあるのなら、いまがDX化を導入するタイミングだと考えられるでしょう。 DX化は、企業に合った方法でおこなうことが大切です。貴社の企業課題の解決には、どのような方法が効果的か、専門家へ相談することをおすすめします。 弊社では、業務フローの見直し、適切なツールの選定と導入の推進、費用対効果の分析など、あらゆる面でのサポートが可能です。 ぜひ一度、ご相談ください。
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