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コラム

2026.06.11
社長の質問に答えられない!数字で伝える報告のコツ  “経理から経営のパートナーへ”成長するための会話術。

こんにちは。
経理担当者として月次報告や試算表の説明をしていると、経営者から「今月の数字は良いのか悪いのか」「来月のお金は足りるのか」と質問され、返答に困った経験があるのではないでしょうか。

経理の報告では、正確な数字を出すことが大切です。
しかし、経営者が求めている内容は、会計データの説明ではありません。経営者が知りたい内容は、数字から見える会社の状態と、次に何を判断すべきかという点です。

この記事では、経理担当者が経営者の質問に答えられない状況を減らすために、数字で伝える報告のコツを解説します。経理から経営のパートナーへ成長したい経理担当者や、会社の数字を経営判断に活かしたい経営者は、ぜひ最後まで読んでみてください!

数字で伝える報告は「経営判断の材料」にする

数字で伝える報告で大切なことは、試算表の内容を正しく読むことだけではありません。経営者が判断できる形にして伝えることが重要です。

例えば、「今月の売上は1,200万円でした」と報告しても、経営者は良し悪しを判断できません。経営者が知りたい内容は、「目標に対して足りているのか」「前年同月と比べてどうなのか」「利益は残っているのか」「資金繰りに影響はあるのか」です。

私が以前見た中小企業でも、試算表は毎月作成されていました。しかし、経営者は「数字はあるが、何を見ればよいかわからない」と話していました。そこで、売上、粗利、固定費、営業利益、預金残高を1枚にまとめたところ、経営者からの質問が具体的になりました。

数字で伝える報告は、経理の作業報告ではありません。経営者が次の一手を決めるための材料です。

数字で伝える報告では売上より利益を伝える

数字で伝える報告では、売上だけでなく利益を必ず伝えることが大切です。

売上は会社の勢いを表します。しかし、会社にお金を残すためには利益の確認が欠かせません。売上が前月より200万円増えていても、仕入費や外注費が300万円増えていれば、会社に残る利益は減ります。

例えば、月商2,000万円の会社で粗利率が1%下がると、月20万円の粗利が減ります。年間では240万円の利益差になります。経営者にとって、粗利率の小さな変化は大きな経営課題です。

経理担当者は、「売上は増えました」で報告を終えてはいけません。「売上は前月より増えましたが、外注費が増えたため、営業利益は前月より下がりました」と伝えることで、経営者は問題の場所を理解できます。

数字で伝える報告では、売上、粗利、粗利率、営業利益をセットで伝えましょう。

数字で伝える報告では現金残高を必ず伝える

数字で伝える報告では、会社に残っている現金も必ず伝える必要があります。

会社は利益が出ていても、資金繰りが悪くなることがあります。売上が発生していても、入金が翌月であれば、すぐに使えるお金は増えません。借入返済や給与支払が多い月は、利益が出ていても預金残高が減ることがあります。

例えば、「月末の預金残高は800万円です」と伝えるだけでは不十分です。「月末の預金残高は800万円です。翌月10日に給与300万円、15日に仕入支払250万円、25日に借入返済100万円があります」と伝えると、経営者は資金の流れを具体的に把握できます。

利益は会社の成績を示します。現金は会社の継続力を示します。数字で伝える報告では、損益と資金繰りの両方を伝えることが大切です。

数字で伝える報告は比較すると伝わりやすい

数字で伝える報告では、単月の数字だけを見せても経営者は判断できません。数字は比較して初めて意味が見えてきます。

例えば、飲食業で12月の売上が11月より増えた場合、前月比だけを見ると好調に見えます。しかし、前年12月より売上が下がっている場合、忘年会需要を取り切れていない可能性があります。

そのため、経理担当者は「今月の売上は1,500万円です」とだけ伝えないようにしましょう。「今月の売上は1,500万円です。前年同月比では90%、前月比では120%です」と伝えると、経営者は数字の背景を理解しやすくなります。

また、予算比も重要です。月間売上目標が1,800万円で、実績が1,500万円の場合、「目標に対して300万円不足しています」と伝えることで、経営者は営業活動や価格設定を見直すきっかけを得られます。

数字で伝える報告では、前年同月比、前月比、予算比を使い、数字の良し悪しをわかりやすく伝えましょう。

数字で伝える報告は原因と対策まで伝える

数字で伝える報告で経営者から信頼される経理担当者は、数字の読み上げで終わりません。数字が変化した原因と、次に確認すべき対策まで伝えます。

例えば、「売上が下がりました」とだけ報告しても、経営者は次の行動を決められません。「売上が下がった主な原因は、主要取引先A社の発注が前月より150万円減ったことです。来月も同じ状況が続く可能性があるため、営業部に新規案件の受注状況を確認する必要があります」と伝えると、経営者は判断しやすくなります。

原因分析では、金額が大きい項目から確認することが大切です。1万円の消耗品費より、100万円の売上減少や80万円の外注費増加を先に確認するほうが、経営判断に役立ちます。

数字で伝える報告では、数字、原因、対策の順番で話すと、経営者に伝わりやすくなります。

数字で伝える報告に使える会話術

数字で伝える報告では、話し方も大切です。経営者に報告するときは、結論から話しましょう。

例えば、次のように伝えます。

「今月は売上が目標を下回りましたが、粗利率が改善したため、営業利益は予算を上回りました」

最初に全体像を伝えると、その後の説明が理解されやすくなります。試算表の上から順番に説明するより、結論、理由、具体例、次の行動の順番で話すほうが効果的です。

また、専門用語はわかりやすく言い換えましょう。「売掛金が増えています」ではなく、「まだ入金されていない売上が増えています」と伝えます。「固定費が増えています」ではなく、「売上に関係なく毎月出ていく費用が増えています」と伝えます。

相手に合わせて説明できる経理担当者は、経営者から信頼されます。数字で伝える報告では、正確さとわかりやすさの両方が必要です。

数字で伝える報告は1枚資料にまとめる

数字で伝える報告は、資料の作り方でも伝わり方が変わります。経営者向けの月次報告は、できるだけ1枚にまとめると効果的です。

1枚の月次報告には、売上、粗利、粗利率、固定費、営業利益、預金残高、売掛金残高、借入返済予定、前年同月比、予算比、今月の課題、来月の確認事項を入れると使いやすくなります。

数字をたくさん載せすぎると、経営者は読む気をなくしてしまいます。重要な数字を絞り、変化が大きい項目にコメントを付けると、報告の質が上がります。

月次報告は早さも重要です。完璧な数字を遅く出すより、経営判断に使える数字を早めに出すほうが役立つ場合があります。

まとめ

数字で伝える報告は、経営者に数字を見せるだけの作業ではありません。数字で伝える報告は、経営者が会社の状態を把握し、次の打ち手を決めるための大切なコミュニケーションです。

経営者の質問に答えられない原因は、経理知識が足りないことだけではありません。数字を比較していないこと、原因を整理していないこと、経営判断につながる言葉で伝えていないことが大きな原因です。

経理担当者は、売上、利益、現金、予算比、前年同月比を押さえ、数字、原因、対策の順番で報告しましょう。専門用語をわかりやすく言い換え、経営者が判断しやすい1枚資料を作ることで、報告の質は大きく変わります。

弊社では、月次報告の見直し、経理業務の効率化、経営者向けの数字の見える化をサポートしています。
「試算表を作っているが経営に活かせていない」「経理担当者の報告力を高めたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事を担当した税理士
株式会社YMG コンサルティングラボ 酒井 康至
保有資格公認会計士・税理士
専門分野法人税・消費税・国際税務
経歴大学卒業後、上場企業の専門商社(鉄鋼系・食品系)の経理部員として約15年の経験。内海外駐在3年半。
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