2025.12.16
会議費・交際費・福利厚生費の使い分け、迷わず処理できる方法
「この飲食代、会議費で処理していいの?それとも交際費?」 「社員旅行は福利厚生費?でも業者との打ち上げなら交際費?」 経費精算において、勘定科目の使い分けで迷うことは、経理担当者なら一度は経験した…
電子帳簿保存法は、2024年1月に電子取引における電子データ保存義務化が完全施行されています。これにより、メールやクラウドで受け取った請求書・領収書を印刷して保管することができなくなりました。未対応の企業は、青色申告取り消しや加算税などのペナルティを受ける可能性があるため、早急に対策を講じる必要があります。
本コラムでは、最近の改正ポイントと中小企業が押さえるべき対策について、具体的に解説します。
≪目次≫
電子帳簿保存法とは?
【2025年版】最新の変更と注意点
税務調査に備えた電子帳簿の保存対応
クラウド会計で税務調査リスクを低減
まとめ:義務化に向けた準備と対応
電子帳簿保存法とは、1998年に施行された「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」のことです。この法律では、紙での保存が義務付けられている国税関係帳簿書類を電子的に管理するためのルール(要件)を定めています。
電子帳簿保存法の主な目的は、企業のペーパーレス化促進と経理業務の効率化を図ることです。保存対象である国税関係帳簿書類は大きく3つに区分され、それぞれに異なる保存要件が設定されています。
電子帳簿保存法による主な保存区分と該当する書類は、下記の通りです。
2022年の税制改正では、電子取引における取引情報の電子保存が義務化されました。これまで認められていた、電子データを印刷して保管する方法は、原則禁止となります。
2023年12月末までは、企業側の対応に時間がかかる場合を想定し、寛恕処置(猶予期間)が設けられていました。しかし、2024年1月からは義務化が完全施行され、本格的な対応が求められます。未対応の企業では、保存要件を満たす仕組みを早急に整えることが重要です。
電子帳簿保存法は施行以来、技術進歩やデジタル環境の変化に合わせて改正が繰り返されてきました。
2022年の改正では、タイムスタンプ要件の緩和や税務署長による事前承認制度の廃止など、企業負担を軽減する内容が盛り込まれています。近年の改正を考慮した最新のポイントは以下の通りです。
電子取引で受け取った請求書や領収書については、3つの主要な要件を満たした電子保存を行う義務があります。
また、義務化の完全施行が始まる2023年12月31日以前の取引については、寛恕処置を適用した書面を保存し続けることが可能です。
紙で受け取った領収書・請求書などは、スキャナやスマートフォンで読み取って保存します。このとき、前述の「真実性・可視性・検索機能の確保」に加えて、スキャナ保存にかかる要件も満たす必要があります。
まず、スキャナ保存する際は、書類の受領、あるいは企業ごとに採用している業務処理サイクル期間経過後から、おおむね7営業日以内に保存しなければなりません。このとき、タイムスタンプに関わる要件も満たすことが求められます。
また、ディスプレイ上やプリントアウトでデータを提示する際に見やすいよう、書類と同程度に明瞭、かつ整然とした形式で保存し、拡大・縮小に対応して出力できるようにしておくことも要件の1官です。スキャナ保存に関わるシステム概要書・仕様書・操作説明書等を備え付け、担当部署や担当者を明確にしておきましょう。
完全義務化されている電子取引における電子データ保存とは異なり、紙資料のスキャナ保存は任意です。ただし、紙の領収書や請求書を廃棄したい場合には、要件を満たすスキャナ保存が必須となります。依然として紙でのやり取りが多い企業などは、電子保存と紙保存のハイブリッド保存での対応が現実的です。
電子帳簿保存法は、保存方法を定めた法律であり、申告時に税務署へ「提出」する義務はありません。しかし、決算報告後や確定申告後に税務調査が実施される可能性があります。税務調査では、帳簿や書類の確認が行われるでしょう。
国税庁や税務署では、税務調査の実施時期について明らかにしていません。しかし、法人では決算後半年から1年以内に実施されることが多く、個人事業主では確定申告後の春に集中する傾向があります。
税務調査では、帳簿書類の内容とともに保存状態をチェックされます。保存要件を満たせているかという点も、確認の対象です。このとき、調査官からの求めに応じて速やかにデータを提示できない場合は、管理体制の不備を問われる可能性があります。
また、国税関係帳簿書類の保存期間は、原則7年です。ただし、欠損金が生じた事業年度については、法人税法によって10年間の保存が義務づけられています。廃棄のタイミングを誤らないよう注意が必要です。
電子帳簿保存法に対応していない場合、次のペナルティリスクが高まります。
電子帳簿保存法への未対応や対応不備について、やむを得ない事情がある場合は、それを具体的に説明することで「相当の理由がある」と認められることがあります。「相当の理由」とは、対応を進めていたが企業の努力だけでは対応できない客観的な事情を指し、単純な準備不足や知識不足では認められません。
クラウド会計とは、クラウドサーバーで会計データを管理するシステムです。銀行口座やクレジットカードとの連携により、取引情報を自動取得することができ、経理業務の効率向上に寄与します。
主要なクラウド型会計システムは、スキャナ保存要件を自動で満たす機能を備えているものがほとんどです。領収書や請求書をスマートフォンで撮影するだけで、システムが自動的にタイムスタンプを付与し、日付・金額・取引先名等で検索可能な形式で保存されます。
紙ベースで保存する場合は、膨大な書面と管理ファイル、保管するキャビネや設置スペースなどが必要でした。電子データならば、物理的な負担はなくなります。保存期間が終わった際も、「削除」を指示するだけで廃棄が完了し、シュレッダーや専門業者への処分依頼コストも削減可能です。
クラウド会計では、過去の取引データを瞬時に探し出すことが可能です。税務調査や監査への対応時にも、求められた資料を速やかに提示できるため、負担軽減につながります。また、自動バックアップにより、災害時のデータ消失リスクも大幅に低減可能です。
主要なクラウド会計には、暗号化技術やアクセス制限機能などが施されています。すべての操作ログが記録されるため、誰がいつどのデータを閲覧・編集したかが明確になり、内部不正への強力な抑止力となります。
初期費用はかかりますが、ペーパーレス化による印刷費・郵送費・保管費の削減、および業務の自動化による人件費の抑制など、長期的には多岐にわたる経費削減効果が期待できます。
2024年1月1日以降、電子帳簿保存法では電子取引の保存が完全義務化されました。メールやクラウドで受け取った請求書や領収書を紙保存することは認められず、違反すれば厳しいペナルティを受ける可能性があります。
弊社では、貴社の経理業務に最適なシステムを導入するサポートを行っています。電子帳簿保存法への対応に不安がある方、同時に効率化を図りたい方は、ぜひご相談ください。
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