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コラム

2025.12.08
【2025年対応版】電子帳簿保存法の改正ポイントと実務対応ガイド

電子帳簿保存法は、2024年1月に電子取引における電子データ保存義務化が完全施行されています。これにより、メールやクラウドで受け取った請求書・領収書を印刷して保管することができなくなりました。未対応の企業は、青色申告取り消しや加算税などのペナルティを受ける可能性があるため、早急に対策を講じる必要があります。

本コラムでは、最近の改正ポイントと中小企業が押さえるべき対策について、具体的に解説します。
 
≪目次≫
電子帳簿保存法とは?
【2025年版】最新の変更と注意点
税務調査に備えた電子帳簿の保存対応
クラウド会計で税務調査リスクを低減
まとめ:義務化に向けた準備と対応  

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法とは、1998年に施行された「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」のことです。この法律では、紙での保存が義務付けられている国税関係帳簿書類を電子的に管理するためのルール(要件)を定めています。

電子帳簿保存法の基本と保存対象の3区分

電子帳簿保存法の主な目的は、企業のペーパーレス化促進と経理業務の効率化を図ることです。保存対象である国税関係帳簿書類は大きく3つに区分され、それぞれに異なる保存要件が設定されています。

電子帳簿保存法による主な保存区分と該当する書類は、下記の通りです。

  • 【1】電子帳簿等保存
    会計ソフトなどで電子的に作成した仕訳帳や総勘定元帳などの帳簿類、貸借対照表などの国税関係書類が該当します。この区分では、作成時のデータをそのまま保存することが基本です。
  • 【2】スキャナ保存
    紙で受領、あるいは作成した契約書・領収書・請求書などは、スキャナやスマートフォンで読み取り、画像データとして保存します。
  • 【3】電子取引
    電子取引で授受した取引情報を、PDFファイルや画像データのまま電子保存することです。電子取引には、電子メールへの添付、クラウドストレージによる共有、EDI(Electronic Data Interchange/電子データ交換)による取引、インターネットバンキングの取引明細などが含まれます。

電子取引の保存義務と2024年対応期限

2022年の税制改正では、電子取引における取引情報の電子保存が義務化されました。これまで認められていた、電子データを印刷して保管する方法は、原則禁止となります。

2023年12月末までは、企業側の対応に時間がかかる場合を想定し、寛恕処置(猶予期間)が設けられていました。しかし、2024年1月からは義務化が完全施行され、本格的な対応が求められます。未対応の企業では、保存要件を満たす仕組みを早急に整えることが重要です。

【2025年版】最新の変更と注意点

電子帳簿保存法は施行以来、技術進歩やデジタル環境の変化に合わせて改正が繰り返されてきました。

2022年の改正では、タイムスタンプ要件の緩和や税務署長による事前承認制度の廃止など、企業負担を軽減する内容が盛り込まれています。近年の改正を考慮した最新のポイントは以下の通りです。

メール・PDFで受け取った請求書の保存ルール

電子取引で受け取った請求書や領収書については、3つの主要な要件を満たした電子保存を行う義務があります。

  1. 真実性の確保:データの改ざんを防止するため、タイムスタンプの付与または訂正削除履歴が残るシステムでの保存が求められます。
  2. 可視性の確保:速やかに提示できるよう、ディスプレイやプリンタの備え付けが必須です。
  3. 検索機能の確保:取引年月日や取引金額、取引名称等で検索できる状態を維持しなければなりません。

また、義務化の完全施行が始まる2023年12月31日以前の取引については、寛恕処置を適用した書面を保存し続けることが可能です。

紙の領収書・請求書を電子保存する方法

紙で受け取った領収書・請求書などは、スキャナやスマートフォンで読み取って保存します。このとき、前述の「真実性・可視性・検索機能の確保」に加えて、スキャナ保存にかかる要件も満たす必要があります。

スキャナ保存要件と実務ポイント

まず、スキャナ保存する際は、書類の受領、あるいは企業ごとに採用している業務処理サイクル期間経過後から、おおむね7営業日以内に保存しなければなりません。このとき、タイムスタンプに関わる要件も満たすことが求められます。

また、ディスプレイ上やプリントアウトでデータを提示する際に見やすいよう、書類と同程度に明瞭、かつ整然とした形式で保存し、拡大・縮小に対応して出力できるようにしておくことも要件の1官です。スキャナ保存に関わるシステム概要書・仕様書・操作説明書等を備え付け、担当部署や担当者を明確にしておきましょう。

紙と電子が混在する場合のハイブリッド保存対応

完全義務化されている電子取引における電子データ保存とは異なり、紙資料のスキャナ保存は任意です。ただし、紙の領収書や請求書を廃棄したい場合には、要件を満たすスキャナ保存が必須となります。依然として紙でのやり取りが多い企業などは、電子保存と紙保存のハイブリッド保存での対応が現実的です。

税務調査に備えた電子帳簿の保存対応

電子帳簿保存法は、保存方法を定めた法律であり、申告時に税務署へ「提出」する義務はありません。しかし、決算報告後や確定申告後に税務調査が実施される可能性があります。税務調査では、帳簿や書類の確認が行われるでしょう。

税務調査の時期とチェックポイント【原則7年保存】

国税庁や税務署では、税務調査の実施時期について明らかにしていません。しかし、法人では決算後半年から1年以内に実施されることが多く、個人事業主では確定申告後の春に集中する傾向があります。

税務調査では、帳簿書類の内容とともに保存状態をチェックされます。保存要件を満たせているかという点も、確認の対象です。このとき、調査官からの求めに応じて速やかにデータを提示できない場合は、管理体制の不備を問われる可能性があります。

また、国税関係帳簿書類の保存期間は、原則7年です。ただし、欠損金が生じた事業年度については、法人税法によって10年間の保存が義務づけられています。廃棄のタイミングを誤らないよう注意が必要です。

電子保存未対応時のペナルティ

電子帳簿保存法に対応していない場合、次のペナルティリスクが高まります。

  • 青色申告の取り消し:最も深刻なペナルティです。電子取引データを適切に保存していない場合、青色申告の要件を満たせていないと判断され、最大65万円の青色申告特別控除の適用を受けられなくなります。
  • 過少申告加算税:保存義務違反により経費として認められなかった取引がある場合、本来納めるべき税額との差額に対して原則10%が課されます。
  • 重加算税:意図的な隠ぺいや偽装があったと判断されれば、35%~40%が課される可能性があります。

「相当の理由」猶予措置の条件

電子帳簿保存法への未対応や対応不備について、やむを得ない事情がある場合は、それを具体的に説明することで「相当の理由がある」と認められることがあります。「相当の理由」とは、対応を進めていたが企業の努力だけでは対応できない客観的な事情を指し、単純な準備不足や知識不足では認められません。

クラウド会計で税務調査リスクを低減

クラウド会計とは、クラウドサーバーで会計データを管理するシステムです。銀行口座やクレジットカードとの連携により、取引情報を自動取得することができ、経理業務の効率向上に寄与します。

スキャナ保存対応ツールで要件を自動クリア

主要なクラウド型会計システムは、スキャナ保存要件を自動で満たす機能を備えているものがほとんどです。領収書や請求書をスマートフォンで撮影するだけで、システムが自動的にタイムスタンプを付与し、日付・金額・取引先名等で検索可能な形式で保存されます。

保管スペース削減と破棄コストの見直し

紙ベースで保存する場合は、膨大な書面と管理ファイル、保管するキャビネや設置スペースなどが必要でした。電子データならば、物理的な負担はなくなります。保存期間が終わった際も、「削除」を指示するだけで廃棄が完了し、シュレッダーや専門業者への処分依頼コストも削減可能です。

検索性向上と紛失リスクの低減

クラウド会計では、過去の取引データを瞬時に探し出すことが可能です。税務調査や監査への対応時にも、求められた資料を速やかに提示できるため、負担軽減につながります。また、自動バックアップにより、災害時のデータ消失リスクも大幅に低減可能です。

セキュリティ強化とデータ改ざん防止

主要なクラウド会計には、暗号化技術やアクセス制限機能などが施されています。すべての操作ログが記録されるため、誰がいつどのデータを閲覧・編集したかが明確になり、内部不正への強力な抑止力となります。

導入コストと将来的な経費削減効果

初期費用はかかりますが、ペーパーレス化による印刷費・郵送費・保管費の削減、および業務の自動化による人件費の抑制など、長期的には多岐にわたる経費削減効果が期待できます。

まとめ:義務化に向けた準備と対応

2024年1月1日以降、電子帳簿保存法では電子取引の保存が完全義務化されました。メールやクラウドで受け取った請求書や領収書を紙保存することは認められず、違反すれば厳しいペナルティを受ける可能性があります。

弊社では、貴社の経理業務に最適なシステムを導入するサポートを行っています。電子帳簿保存法への対応に不安がある方、同時に効率化を図りたい方は、ぜひご相談ください。

初回相談は無料です。お気軽にご連絡ください。

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この記事を担当した税理士
株式会社YMG コンサルティングラボ 部長代理 興梠 貴裕
保有資格弥生インストラクター資格 / 日商簿記3級
専門分野IT
経歴業務系システム業界に身を置いて12年目。様々な業種のお客様のシステム導入に関する多くの相談実績が有り 導入実績も多数。常にお客様目線で対応し、お客様の課題解決に全力で取り組む姿勢に定評有。
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