2025.12.11
テレワークで変わった?在宅勤務手当と税務・保険の取り扱い
テレワークで変わった?在宅勤務手当と税務・保険の取り扱い 中小企業の経営者・経理担当者の皆さま、こんにちは。 「テレワークが当たり前になったけど、在宅勤務手当ってどう処理すればいいの?」 「税金…
中業企業では、経理業務を少人数で担当する「一人経理」が多く見られます。しかし、一人経理には業務属人化や法改正対応の遅れ、担当者不在時の業務停止など多くのリスクが潜む危険な状態です。本コラムでは、1人経理による【企業にとってのリスク】と【担当者にとってのリスク】を整理し、具体的な対策や現実的な選択肢について解説します。
≪目次≫
一人経理とは何か──中小企業に多い経理体制の実態
一人経理が企業にもたらす【経営リスク】
一人経理が経理担当者に与える【働き方リスク】
リスクを減らすための現実的な選択肢
まとめ
「一人経理」とは、経理業務を1人、あるいは極めて少人数で担当する体制を指す言葉です。2024年に日本商工会議所と東京商工会議所が実施した調査によると、「経理事務の従事人数が1人である」と回答した企業は、売上高5,000万円以下の企業で80.1%、1,000万円以下の企業では92.0%を占めていました。このことから、中小企業のほとんどが一人経理で会計管理を行っていることがわかります。
参考:日本商工会議所・東京商工会議所「中小企業におけるインボイス制度、電子帳簿保存法、バックオフィス業務の実態調査 結果」(2.経理事務の従事人数・専任従業員の有無)
https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1204044
経理の役割は、会社を出入りするお金の流れを正確に記録・管理することです。具体的には、売掛金・買掛金を含む売上げ管理、仕訳記帳と伝票・帳簿整理、経費精算といった日常業務に加え、月次・年次決算における財務諸表作成や税務対応などが挙げられます。煩雑な業務が多く、また月末・年末などとの繁閑差が大きいことも特徴です。
一人経理は、他のバックオフィス業務を兼任しているケースが珍しくありません。その場合は、経理業務に加えて、給与計算と支払い業務、休暇申請管理、社会保険対応、年末調整・税務処理なども行います。企業によっては、備品管理や電話・来客対応も含まれるでしょう。このように多様な業務をたった1人で行うため、業務の中断や優先順位の混乱が生じやすくなります。
クラウド型会計システムや勤怠管理ツールが導入されていない企業では、紙ベースやエクセル、インストール型の会計ソフトによる管理が主流です。こうした管理体制では情報を共有しにくく、特定の担当者に業務が集中する「属人化」が進みやすくなります。属人化の放置は、一人経理リスクをより深刻化させるため注意が必要です。
「一人経理」は、人件費削減というメリットがある一方で、企業にとって重大なリスクを内包しています。特に注意すべき【経営リスク】は、以下の5つです。
属人化が進んだ業務では、担当者以外が業務手順や内容を把握していないため、効果的なダブルチェック体制を構築できません。形式だけのチェックでは問題点を見抜けず、ミスが見逃されやすい環境が常態化します。正確性が疑われる財務情報では、適切な経営判断にも悪影響を及ぼすでしょう。
「不正のトライアングル理論」によれば、動機・機会・正当化の3要素が揃うと、内部不正が起こりやすくなるとされています。一人経理のように、有効なチェック体制がない環境は、「不正をしようと思えばできてしまう状況(機会)」を、会社が提供しているようなものです。また、「このような体制を放置している会社に責任がある」という言い訳(正当化)につながりかねません。担当者が抱える不満やストレスが動機に転じれば、内部不正のリスクは一気に高まります。
経理業務には、簿記の知識だけでなく、税法や会社法社会保険制度など幅広い法令への理解が求められます。法改正や新制度の施行があった場合、一人経理は自ら情報を収集し、学び、適切な対応について判断しなければなりません。しかし、日常業務に追われる中では時間的な余裕がなく、対応の遅れが生じるおそれがあります。
2022年1月、電子帳簿保存法の改正が施行され、電子取引のデータ保存が原則義務化されました。事業者の準備期間として設けられた2年間の宥恕(猶予)期間は2023年末で終了し、2024年1月以降はすべての企業に保存義務が課されています。対応が不十分な場合は、青色申告の承認取り消しや重加算税などのペナルティを受ける可能性があるため、定期的な情報確認が不可欠です。
一人経理は、担当者の不在が業務停滞に直結します。特に、属人化が進んでいる場合、他の従業員は業務内容を把握していないため代替対応が困難です。そのため、担当者の急な休暇や体調不良、休職などが発生するたびに、経理業務が止まることになるでしょう。そのような状況が続けば、資金繰りや支払い対応に支障をきたし、経営が立ちゆかなくなる可能性もあります。
一人経理は日常的に情報を共有する機会がないため、体系立てたマニュアル等がなく、業務の引き継ぎも口頭や実演に頼る方法が一般的です。その結果、後任者は個々の作業を覚えても、業務フローの全体像を把握することができません。こうした引き継ぎでは、業務のブラックボックス化リスクが高まり、前任者の退職後に業務が滞る可能性があります。
業務を一任される一人経理は、従業員にとってスキルアップのチャンスです。しかし、業務過多や孤立感、精神的なプレッシャーなど、心身の負担が大きくなりやすいという側面も見逃せません。
ここからは、経理担当者自身が抱える【働き方のリスク】について解説します。
経理業務には、細かな数値を正確に処理する集中力が求められます。しかし、複数の業務を兼任する場合は、突発的な依頼の割り込みが多く、集中力を保つことが困難です。さらに、作業の中断と優先順位の変動が繰り返されることで、大きなストレスを感じ、心身の疲労が蓄積されていく懸念もあります。
一人経理は、たった1人で業務を進めなくてはなりません。不安や疑問を共有する人がいないため、気軽に相談できる相手のいない状況です。特に、法改正や制度の変更、税務対応など判断に悩む場面でも、1人で情報収集・学習・対応を行います。不安やプレッシャーなど、精神的な負担が大きいと感じることもあるでしょう。
一人経理は、休暇取得のハードルが高くなりがちです。なぜなら、担当者の不在が業務を停滞させ、休暇明けの業務量が増加することを、担当者自身が最も理解しているからです。また、引き継ぎが不十分だと企業運営に影響を及ぼすため、退職を言い出せなかったり引き留められたりして、退職・転職のタイミングを逃す可能性もあります。
一人経理は、専門性の高い重要な業務をたった1人で担う責任の重いポジションです。しかしながら、直接的な生産性がないことから、他の従業員に「楽な座り仕事」「誰にでもできる雑用」だと誤解されているケースも珍しくありません。責任の重さに反する低評価や社内の理解不足は孤立感を抱かせ、モチベーション低下や不満の蓄積にもつながるでしょう。
一人経理のリスクを軽減するためには、業務の標準化と分担、外部支援の活用などが有効です。ここでは、企業規模や状況に応じた選択肢を紹介します。
経理業務手順を文書化・マニュアル化することで、情報共有がしやすくなり、属人化の解消を促します。担当者不在時の代替対応や業務の引き継ぎ、ダブルチェックなどもできるようになり、業務停滞・ミスや不正リスクも回避可能です。
担当者以外が業務を把握していない状況では、マニュアル作成も一人経理に頼ることになります。GoogleドキュメントやNotionなどのクラウドツールを使えば、テンプレートを活用しながら効率的にマニュアルを作成することができます。同時作業しやすく、更新履歴も残るため、最新の情報を保ちやすい点もメリットです。
一人経理の業務量が多すぎる場合は、パートタイマーや派遣社員の活用も含め、担当者増員を検討しましょう。役割分担と情報共有を徹底することで、業務効率とリスク回避を両立できます。ただし、人件費の増加は避けられません。
少数精鋭で運営することが多い中小企業では、リソース不足から経理部門の増員が現実的ではない可能性も考えられます。また、深刻な人材不足により人材確保が難しいケースもあるでしょう。そういった場合は、経理業務の一部または全部をアウトソーシングする方法がおすすめです。
「経理業務のプロ」に業務委託することには、いくつものメリットがあります。まず、法改正や制度変更にも適切に対応でき、効果的なダブルチェック体制が整うため、業務の精度と正確性が向上します。また、外部委託した分の工数が削減され、担当者の負担やストレス軽減にも効果的です。さらに、アウトソーシングとクラウドツールを併用することで大幅な業務効率化を実現させ、外部委託コストをかけた以上のトータルコストダウンが見込めます。
経理業務で扱う情報には、企業の財務情報や取引先情報、従業員の個人情報などさまざまな機密が含まれています。そのため、セキュリティに関する外部認証取得、財務状況、評判・口コミ、コミュニケーション能力などを総合的に判断し、信頼できる業者を選ぶことが重要です。また、企業規模や業態、課題やゴールによって必要な対策は異なります。実績やノウハウが豊富で、自社に合った柔軟な対応ができる業者を選びましょう。
一人経理は、企業と担当者双方にとって多くのリスクを抱えているため、早急に対策を講じることが求められます。
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