2025.12.11
テレワークで変わった?在宅勤務手当と税務・保険の取り扱い
テレワークで変わった?在宅勤務手当と税務・保険の取り扱い 中小企業の経営者・経理担当者の皆さま、こんにちは。 「テレワークが当たり前になったけど、在宅勤務手当ってどう処理すればいいの?」 「税金…
中小企業の経理業務では、クラウド会計による一元管理が注目されています。従来の分散管理は、情報の重複や更新漏れが起こりやすく、財務データの正確性が損なわれる可能性があります。慣れた方法としての安心感がある一方で、大きなリスクを抱えているのです。
クラウド会計による経理業務の一元管理は、中小企業の業務改善を加速させる有効な手段となるでしょう。本コラムでは、分散管理のリスクを指摘し、経理業務の一元管理がもたらす効果についてわかりやすく解説します。
≪目次≫
経理を部門ごとに管理する“慣れ”が生むムダ
経理業務の一元管理で業務効率化を実現
クラウド会計で経理の負担とミスを減らす
クラウド会計導入の流れとサポート活用法
まとめ:経理業務の一元管理で経営力を高める
中小企業では、経理業務を部門ごとに分散管理している企業が少なくありません。例えば、分散管理の具体例として、営業部門が経理部門とは別に売上データを管理するケースや、総務部門が交通費や備品購入などの経費を独自フォーマットで管理するケースが挙げられます。
中小企業では、経理部門を少人数で担当する「1人経理」が一般的です。他部門が数字の確認をしたい場合は、1人経理に依頼して、処理の順番が回ってくるのを待たなければなりません。業務に必要な数字を、部門単位で個別管理する方法は、一見便利に思えるでしょう。しかし、実際には情報の重複などのムダが多く、経営の根幹に関わる深刻なリスクが潜んでいるのです。
分散管理が常態化している理由として多いのが、長年の「慣れたやり方」への過度な信頼です。確かに、慣れ親しんだ方法は精神的な安定材料となり得ます。しかし、この安心感があるからこそ非効率性に気づきにくく、改善の機会を逃してしまうのです。その方法を始めた当初は、他の選択肢がなかったというケースが多いでしょう。経営環境が変化する中で、従来のやり方に固執することは、競争力の低下につながります。
部門ごとに数字を管理すると、同じデータを複数の担当者が別々に入力する「二重入力」が発生します。これは、明らかにムダな工数です。また、複数のファイルやシステムにデータが分散していると、更新漏れや入力ミスが発生した場合に「どれが正確なのか」判断がつきにくくなります。それぞれの部門で扱う項目が異なるため、もともと「全く同じデータ」ではないことが多く、更新漏れやミスが起こったことに気づきにくい点も課題ですのです。
分散管理によって、全社的な経理状況をリアルタイムで把握することが難しくなります。各部門から数字を集めて集計する作業に時間がかかり、タイムリーな情報が得られません。加えて、資金繰りの判断や投資の意思決定といった重要な経営判断を行う場面に、必要なデータがそろわないというリスクも高まります。経営者が正確な数字を把握できなければ、適切な判断を下すことは困難です。スピーディな意思決定が求められる現代のビジネス環境において、こうした状況は競争上の不利を招きます。
経理情報を一元管理すれば、企業全体の財務状況が把握できるようになります。ムダの削減やスピーディな意思決定の実現はもちろん、部門をまたいだ情報の共有がスムーズになり、組織全体の生産性向上にもつながるでしょう。一元管理によって得られる具体的な効果と、業務効率化の仕組みは下記の通りです。
部門をまたいで経理業務の流れを整理すると、重複している作業や不要な確認手順が明らかになります。例えば、営業部門で売上データを作成し、担当者から回収した伝票を経理部門に提出、1人経理が再入力するケースでは、作業の重複に加えて情報取得のタイムラグが生じます。
工数上のムダは、すなわち人件費のムダです。社内全体の業務フローを可視化することで、こうした非効率な作業を発見し、改善につなげることができます。どこにボトルネックがあるのか、どの工程が省略できるのかを見極めることが、業務効率化の第一歩といえるでしょう。
クラウド会計システムを導入すると、請求・記帳・振込といった一連の業務がシームレスにつながります。銀行口座やクレジットカードの取引明細が自動的に取得されるため、手作業による入力は不要です。これにより、作業の停滞や情報の抜け漏れ、ヒューマンエラーの発生を防止でき、経理データの正確性が向上します。
各部門で把握しておきたい数字は、クラウドサーバーに保管された経理データから把握可能です。部門ごとに必要な項目での集計や分析まで自動化できるため、個別に入力・管理するより正確性も利便性も格段に高まります。
クラウド会計システムが取得した情報は直ちに会計データへ反映され、リアルタイムで把握可能です。日次や月次の経営状況も即時把握できるため、タイムリーな経営判断が可能となり、事業の成長機会を逃さずに済むでしょう。
クラウド会計を導入すると、一元管理体制に加えて副次的な効果も期待できます。ここからは、クラウド会計が持つ具体的な機能とメリットについて解説します。
中小企業の経理業務では、リソースの不足から記帳作業が後回しになりがちです。しかし、クラウド会計システムでは、取得データの仕訳記帳まで自動で行うため、常に最新のデータを確認できます。レポート機能によって任意の条件で集計した資料も作成でき、月次決算や税務申告の準備もスムーズです。担当者の負担が軽減されることで、より戦略的な業務に注力できるようになります。
クラウド会計システムでは、社内だけでなく顧問税理士や取引先とも、必要な情報を安全に共有できます。最新データをその場で確認し合うことで認識のずれや伝達ミスを防ぎ、プロジェクトが円滑に進むでしょう。また、関係性向上や信頼関係の構築も期待できます。
従来の紙ベースやローカル環境下のパソコン管理では、火災や盗難、機器の故障によるデータ消失リスクがありました。クラウド会計システムは自動バックアップ機能があり、クラウドサーバーにデータを保管します。そのため、個別の機器にトラブルがあっても、データには影響ありません。
クラウドシステムには、通信の暗号化、ログイン管理、データの多重バックアップなど、データ保全の仕組みが備わっています。また、運営会社が高度なセキュリティ対策を施しているため、不正操作やサイバーセキュリティについて、自社管理よりも安全性が高いケースが多いでしょう。
クラウド会計を導入する際は、事前準備から運用定着までを計画的に進めることが重要です。見切り発車の導入では、現場が混乱し、期待した効果が得られない可能性があります。
ここからは、導入前・導入時・導入後の各フェーズにおけるポイントを解説します。
すべての業務を一度に変更しようとすると、現場の負担が大きくなりすぎて失敗のリスクが高まります。まず、現行業務の棚卸を行い、業務の全体像を把握しましょう。自社の課題と必要な機能を洗い出すことで、一元化すべき範囲が明らかになります。
社内全体の業務を図式化して、各プロセスにかかる時間、工数、担当者を書き出します。業務フローを可視化すると、システムによる自動化によって効果を得る範囲と、それによって削減可能な業務を確認しやすくなります。優先順位付けの手順としては、請求書発行や振込処理など、頻度の高い業務から着手すると効率的です。
実際に導入する際は、システムの初期設定やアクセス権限の設定を適切に行うことが重要になります。また、実際の運用を想定したシミュレーションやマニュアルの整備、社員教育も不可欠です。こうした事前準備が不十分だと、運用開始後に修正作業が発生し、現場の混乱を招くでしょう。
勘定科目は自社の実態に合わせて設定し、取引先や商品マスタも整理しておきます。自社の業務に適した設定を行うことで、使い勝手が向上します。金融機関やPOSレジとの連携設定も漏れなく行いましょう。後から変更するのは手間がかかるため、導入時にしっかりと決めておくことが重要です。
運用開始後は、想定外の事象や運用上のズレが必ず生じます。綿密な導入計画を立ててテスト運用を行っていても、実際に使ってみると課題が見えてくるものです。現場担当者の声を積極的に吸い上げ、運用ルールやシステム設定に反映させることで、現場の満足度が上昇します。導入したら終わりではなく、運用しながら改善を重ねていくことが、定着化への近道です。
KPIとして「処理件数」「処理時間」「エラー率」などを設定し、改善の成果を数値化します。数値で把握することで、効果がわかりやすくなり、社内理解も深まるでしょう。
DXを定着させるための具体的な方法については、下記コラムでも解説しています。
https://keiri-outsourcing.com/column/column-10380/
業務改善が「続かない」中小企業へ|DXを習慣化するための3ステップ
クラウド会計システムは、自社のみで導入計画を進めると、想定外のトラブルに対応できずに頓挫してしまうケースがあります。経理データの一元管理に適したシステム選定や初期設定、運用ルールの策定や社員教育といった、専門的な知識が求められる場面ではプロのサポートを受けると安心です。豊富なノウハウを持つ専門業者が併走することで、安定した運用実現への成功率が高まるでしょう。
経理データの分散管理は、リスクの高い方法です。
クラウド型システムを活用して経理業務を一元的に整えることで、組織全体の業務効率化を図れます。
さらに、経理データの正確性も向上し、取引先との信頼関係構築や資金調達などにも好影響を与えるでしょう。
クラウド会計システムの導入は、単なるツールの入れ替えではなく、業務プロセス全体を見直す好機です。
貴社の実態に合わせたツール選定と、計画的な導入ステップを踏むことが成功の鍵となります。
弊社では、中小企業の経理業務を支援する各種サービスを提供しており、クラウド会計の導入から定着までをトータルでサポートします。
初回相談は無料です。経理体制の見直しをお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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