2025.12.11
テレワークで変わった?在宅勤務手当と税務・保険の取り扱い
テレワークで変わった?在宅勤務手当と税務・保険の取り扱い 中小企業の経営者・経理担当者の皆さま、こんにちは。 「テレワークが当たり前になったけど、在宅勤務手当ってどう処理すればいいの?」 「税金…
テレワークは一時的なコロナ対策ではありません。政府が推進する「働き方改革」では、企業と従業員双方にメリットがある制度として、重視されています。しかしながら、テレワークを取り入れた柔軟な働き方を整備するためには、環境整備が欠かせません。本コラムでは、テレワークの種類や効果、反対派の懸念と対策、ハイブリッド運用のポイントなど、実践的な視点からわかりやすく解説します。
≪目次≫
テレワーク志向が高まる理由と中小企業の採用対策
テレワーク制度は政府が推進する働き方改革の柱
テレワーク導入時の懸念と厚労省ガイドラインによる対策
テレワーク導入効果が高い業務と業務別の対応方法
まとめ:テレワーク導入で経理業務も柔軟に対応可能な体制へ
近年、働き方に対する労働者の意識は大きく変化し、時短勤務やフレックスタイム制、テレワークといった柔軟な働き方が注目を集めています。特に20代の若手人材は、高校・大学時代にコロナ禍によるリモート授業を経験した世代です。ICT教育を受け、デジタルツールを活用した効率化に慣れ親しんでいるため、テレワークに対する抵抗感が少ないという特徴があります。
求人情報サイトでは、「リモート」「フルリモート」といったキーワードの検索件数が増加し続けています。企業の出社回帰が進む一方で、求職者側のリモートワークに対するニーズが依然として強いことがわかります。
中小企業では、大企業のように新卒生を雇用して一から教育するリソースが不足しがちです。そのため、即戦力となる中途採用を重視するケースが多いでしょう。しかし、テレワーク制度を導入していない企業は、そもそも求職者の検索条件に該当せず、応募候補にすら入らない可能性があります。テレワーク導入は、優秀な人材と出会うための採用戦略としても有効です。
公益財団法人・日本生産性本部の調査では、テレワークを実施した労働者に意向を確認したところ「今後もテレワークを行いたいか」との問いに「そう思う」と答えた人は39.8%でした。「どちらかと言えばそう思う」と答えた人を合わせると、実に78.7%がテレワークを希望しています。また、そもそもテレワーク制度のない企業では実施希望者が少なく、テレワーク制度がある企業に希望者が多いこと明らかになりました。
このことから、柔軟な働き方を経験した社員は、その権利の継続を望んでいることがわかります。そのため、一度テレワークを実施していた企業が取りやめる場合、社員の不満が高まりやすく、離職リスクが高まる可能性もあるでしょう。制度の見直しは慎重に行う必要があります。
テレワークは、厚労省が制度化を進める「柔軟な働き方」の1つです。コロナ禍に急速に普及したため、感染症対策だと誤解している人も多いのですが、実際にはコロナ以前から政府による取り組みが始まっています。働き方改革における「柔軟な働き方」の選択肢として、今後も政府の推進は続きます。
テレワークには、主に在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイル勤務の3つの形態があります。
在宅勤務とは、自宅で就業する働き方です。育児や介護との両立がしやすく、労働者自身の体調変化にも対応できます。さらに、通勤時間がなくなるため、ライフワークバランスの向上にも効果的です。
サテライトオフィス勤務は、所属するオフィスの代わりにシェアオフィスやコワーキングスペースなどに「出社」します。作業環境の整った場所で就労できるため、自宅に作業環境がない社員や公私の区別を明確にしたい社員に最適です。
モバイル勤務とは、移動中や出先などで業務を行う働き方で、移動の多い営業職員や現場担当者などに向いています。こうしたそれぞれの特性を理解し、職種や業務内容、社員の希望に合わせて実施することが大切です。
雇用型テレワークとは、企業に雇用されている人がテレワークを実施することをいいます。対して、自営型テレワークとは、フリーランスや個人事業主が在宅で業務を請け負う働き方です。自営型テレワークが増加し続ける一方で、雇用型テレワークは減少しています。これは、コロナ禍に導入したテレワークをやめて、出社回帰を進める企業が増えたためだと考えられます。
テレワークの導入は、労働者と使用者(企業)双方に多くのメリットをもたらします。
出産・育児、家族の介護、自身の病気やケガなど、さまざまな理由で通勤を伴う働き方が難しい人材がいます。そうした人材の中には、働く意欲もスキルも持ちながら、通勤がネックとなって働けずにいる人も少なくありません。テレワークを導入すれば、貴重な戦力を失わずに済むでしょう。柔軟な働き方に対応することで、多様な人材が活躍できる環境が整います。
テレワークによって通勤ストレスがなくなると、従業員には時間的・心理的な余裕が生まれます。働きやすい環境が整うことで、会社に対する満足度が向上し、離職率の低下も期待できるでしょう。また、家族の都合などで遠隔地に移住するケースでも、テレワークならば雇用の継続が可能です。長期的に人材を確保できれば、採用・教育にかけたコストを最大限に生かせます。
これまで出社対応していた業務をテレワークで行うためには、クラウドツールの導入や業務プロセスの見直しが必要です。こうしたテレワークのための環境整備が、ペーパーレス化や電子決裁の促進、ファイル管理のデジタル化につながり業務効率化を実現します。また、通勤費の削減やオフィス維持費の見直しなども可能となり、結果的に大幅なコストダウンとなるでしょう。
このようにメリットが多いテレワークですが、労働時間の把握やコミュニケーション不足、評価制度などの懸念点があります。ここからは、テレワーク導入前に経営者や管理職が抱く疑問や不安を4つ取り上げ、厚労省のガイドラインに準じた具体的な解決策を紹介します。
テレワークは管理者が直接視認できないため、労働時間の把握が困難です。自己申告に頼るケースでは、本当に働いているのか不安だという経営者も少なくありません。しかし、デジタルツールの活用やルール設定を工夫することで、実態に即した勤怠管理が実現します。
PCのログイン・ログアウト時刻や、クラウドシステムへのアクセス履歴を自動で記録する「デジタルタイムカード」を導入すれば、自己申告よりも信頼性の高い勤怠管理が可能です。また、紙のタイムカードや手書きの出勤簿に比べて、記録の改ざんや不正打刻のリスクも低く、正確性の向上も期待できます。
テレワークを選択する社員の中には、育児や介護で一時的な離席を必要とする人もいるでしょう。こうしたケースでは、「一時離席/業務再開」などのステータス変更ができる機能を備えたツールを使えば、休憩や中抜けをルール化しやすくなります。また、在宅ワークで「退社のタイミング」がつかみにくい場合は、システム上の稼動時間上限設定やアラート通知を活用するなど、働き過ぎを防ぐ仕組みづくりが有効です。
就業時間だけでなく「何をしたか」も記録することで、勤怠記録の信頼性が高まります。日報の提出やオンラインによる業務報告を行えば、進捗状況を把握しやすくなるでしょう。こうした工夫によって勤務時間と業務内容、成果物が可視化され、管理者も適切なフィードバックが行えます。
クラウド型の勤怠管理システムを導入すると、より柔軟な働き方に対応可能です。例えば、テレワークと出社を組み合わせたハイブリッド運用、時短勤務やフレックスタイム制度など、多様な働き方が混在していても効率的な一元管理が行えます。さらに、休暇申請なども自動で反映し、給与計算にかかる負担を軽減します。
テレワークによって企業の情報を社外に持ち出すことが、不安だという経営者は多いでしょう。書類の紛失・盗難リスクのほか、カフェなどの公共スペースで作業をする場合は画面をのぞき込まれる可能性もあります。こうした情報漏えいリスクには、クラウドツールによるセキュリティ対策が不可欠です。
クラウド型システムでデータを管理すれば、時・場所・端末を選ばずに情報へアクセスできるようになります。社外での作業でも、紙やUSBメモリなど物理的な情報を持ち出す必要がありません。また、データはクラウド上に自動でバックアップされているため、機器の故障や災害などによるデータ消失リスクを軽減できます。
クラウド型システムでは、ID・パスワードによるアクセス制限や操作ログの自動記録によって、「誰が・いつ・何をしたか」を明確に把握できます。また、社員ごとに閲覧・編集可能な情報を制限することも可能です。こうした機能は、不正利用に対する抑止効果が高く、内部からの情報漏えいリスクを防止します。万が一問題が発生した場合も、ログの追跡により早期発見や回復処理が可能です。
クラウドツールは、運営会社が高度なセキュリティ対策を施しているため、自社でサーバー管理をするよりも安全性が高い場合が多いでしょう。さらに、社外ネットワークを利用する際は、VPN(Virtual Private Network・仮想施設通信網)を通じて通信を暗号化することで、多層防御が実現します。公共のWi-Fiを利用する場面でも、VPNの利用で通信の安全性が高まり、第三者に傍受されるリスクが低くなります。
情報管理における人為的なミスを防ぐためには、社員それぞれのリテラシー強化が重要です。クラウドツールの使い方や機密情報の扱い方について、社内研修行いましょう。そのうえで、「NDA(Non-Disclosure Agreement・秘密保持契約)」を結び、社員の意識を高めます。ルールを明文化し、全社員に周知徹底することが大切です。
テレワークを導入すると、対面でのコミュニケーションが減るため、情報共有や意思確認に影響があるのではないかという懸念があります。特に、気軽に質問や相談ができない環境では、チームワークの低下や孤立感によるモチベーション低下なども心配です。そうした場合には、オンラインツールを活用し、コミュニケーション環境を構築すると良いでしょう。
オンライン会議ツールや仮想オフィスなどを導入すると、顔を見て話せる場や気軽に話しかけられる空間を作れます。さらに、画面共有機能を使えば、対面で資料を見せながら話す状況の再現が可能です。こうした工夫により、情報共有の把握が容易になるほか、引き継ぎや社内研修にも応用できます。
クラウド型のタスク管理ツールやドキュメント共有サービスにより、進捗状況や資料をリアルタムで共有できます。進捗が可視化されることで、管理者も適切なタイミングでサポートやアドバイスを行い安くなるでしょう。
朝礼や報告、雑談タイムなどをオンラインで定期開催することで、孤立感を防ぎチームの一体感を維持できます。業務以外の気軽な会話ができる場を設けることで、社員同士の信頼関係構築にも役立ちます。DXを活用すれば「話しかけづらい」「情報が伝わらない」といった不安を減らし、むしろ対面以上に効率的なコミュニケーションが可能になるのです。
見えない状況で部下がちゃんと働くかを不安に思う上司がいる一方で、自分の働きを適切に評価してもらえるかどうか不安に感じる部下もいます。テレワークでは、上司の目が届かない分、評価の公平性が疑われがちです。こうした不安を解消するためには、評価制度の見直しや基準の明確化が重要です。
人事評価制度や賃金制度を文書化し、社内ポータルなどで共有することで、評価の透明性と納得感が高まります。どのような基準で評価されるのかがわかれば、社員も目標を持って業務に取り組めるでしょう。DXツールを活用した進捗確認やフィードバックの仕組みを整えることで、管理職が部下の働きを適切に把握でき、評価に反映しやすくなります。
クラウド型のタスク管理ツールや業務報告システムを使えば、誰が何をどこまで進めたかを記録・共有でき、評価の根拠が明確になります。業務ログや成果が記録されるため、「出社している人のほうが評価されやすい」といった不公平感を防げるでしょう。
フルリモートでの運用が難しい場合は、出社とテレワークを組み合わせたハイブリッド運用がおすすめです。例えば、週2日は出社で残り3日はテレワーク、月末月初の繁忙期は出社でそれ以外はテレワークなど、より柔軟な働き方を設計できます。
ハイブリッド運用なら、これまでに挙げたコミュニケーション不足に関する懸念は、その大半が解消されるでしょう。
テレワーク導入における課題解決のヒントは、下記コラムにも詳しく紹介しています。
https://keiri-outsourcing.com/column/column-6882/
バックオフィスのテレワーク導入に立ちはだかる5つの壁
テレワークは、デジタルで記録・共有できる業務との相性が良く、導入効果もわかりやすいという特徴があります。特に、バックオフィス業務は、クラウドツールの活用により、大幅な業務効率化も期待できます。社内処理が必要な作業とテレワーク可能な作業を切り分けて、ハイブリッド運用を実施する方法も有効です。より柔軟な体制が築けると同時に、高いDX導入効果を実感できるでしょう。
会社を出入りするお金を正確に記録し、企業経営の根幹を支える経理業務はテレワークに適した業務です。取引情報の取得・仕訳記帳・集計、請求書発行と振込処理、月次報告書類作成など、煩雑な定型業務のほとんどはクラウド会計により自動化できます。手作業が減ることでヒューマンエラーがなくなり、経理情報の正確性向上にも貢献します。
データ共有や承認フローの電子化により業務効率化も進み、担当者は「人の判断が必要な業務」に注力可能です。経理業務をテレワーク対応にすることで、育児や介護中の経験豊富な経理人材を継続雇用できる点は、中小企業にとって大きなメリットとなります。
勤怠管理や給与計算、採用対応、社内通知などの総務・人事業務も、クラウドツールとの相性が良い分野です。人材情報を一元管理することで、リソース配分の最適化がしやすく、適材適所の人員配置が行えるでしょう。
雇用情報や契約書類等の管理もペーパーレス化しやすく、処理の保管スペースや印刷コストの削減にもつながります。デジタル管理は検索性が高く必要な情報にすぐアクセスできる点も、効率化向上に寄与します。
テレワークは、単なる感染症対策ではありません。労使双方にメリットがあるとして、厚労省が制度整備を後押しする働き方です。
経理業務においても、クラウド会計や経理代行を活用すれば、柔軟な働き方が実現します。
貴社でも、テレワーク志向に対応した経理体制の見直しを進めてみませんか。
テレワークは、経理業務にも柔軟性と効率性をもたらす働き方です。
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