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コラム

2025.10.14
経理力を高める人材戦略:DXと定着支援の実践法

中小企業の経営者にとって、経理担当者の辞職は頭の痛い問題ではないでしょうか。経理が辞めやすい背景には、業務負荷の大きさや休暇の取りづらさ、相談相手の不在など、中小企業ならではの職場環境があります。

こうした問題の解決には、DXの導入が効果的です。DX施策によって、経理の業務負担の軽減と、経理人材の定着・活躍が両立できます。本コラムでは、経理力を底上げするための人材戦略と環境整備のポイントを、経営者視点から解説します。

≪目次≫
なぜ経理担当者は辞めやすいのか
DXで業務負担を軽減し、定着を促す
アウトソーシングで経理力を底上げする
経理担当者の育成と定着を両立する組織戦略
まとめ

なぜ経理担当者は辞めやすいのか

経理業務は専門性が高いため、担当者育成に時間がかかります。さらに、即戦力となる人材採用や他部署からの配置転換も難しく、結果として対応できる人材が限られることから、少人数体制になる傾向があります。

実際、日本商工会議所・東京商工会議所の調査によると、企業規模が小さいほど経理を1人で担うケースが多く、売上高1,000万円以下の事業者では約8割が「1人経理」の状態です。

このような環境下では、経理担当者の離職が事業継続を脅かす重大なリスクとなります。経理担当者の離職リスクを防ぐには、まず「なぜ辞めてしまうのか」を理解することが重要です。ここでは、経理担当者が離職を決断する主な理由を3つご紹介します。

参考:日本商工会議所・東京商工会議所「中小企業におけるインボイス制度等に関する実態調査」」
https://www.tokyo-cci.or.jp/

業務量が多く、属人化しやすい

経理担当者は、日々の仕訳記帳に加え月次や年次の決算など、常に多くの業務を抱えています。中小企業では、これらを1人で担当することが多く、業務が属人化しやすいという課題があります。

「あの人にしか分からない」状態に陥ると、他の従業員が業務を代行できません。その結果、経理担当者の負担がさらに増していくのです。

代替要員がいないため、休暇が取りづらい

属人化した業務は、担当者の不在が業務の停止に直結します。そのため、経理担当者は有給休暇ばかりか、体調不良時の休暇すら取りにくくなります。常に出勤を求められるプレッシャーから働きづらさを感じたり、心身に不調を来したりするケースもあるでしょう。こうした状態が続くことが、離職を考えるきっかけになるのです。

理解者や相談相手のいない孤立感

経理は専門性が高く、他部署とは業務の性質が大きく異なることから、社内に理解者が少ない傾向にあります。さらに、属人化によって担当者が1人で判断を迫られる場面も多いため、業務上のプレッシャーを抱え込みやすい環境です。相談相手が見つからず、孤立感を深めるおそれもあります。

加えて、「経理は数字を扱っているだけ」という誤った認識から、不当な評価を受けることも珍しくありません。こうした理解不足と孤立感が重なることで、担当者の不満は蓄積し離職リスクを高めます。

DXで業務負担を軽減し、定着を促す

経理担当者の離職リスクを低減させるためには、業務負担の軽減が不可欠です。しかしながら、リソースに限りのある中小企業では、新たな人材採用や配置転換は難しいでしょう。

そこで、DXを活用すれば、業務効率化と属人化の解消を同時に進めることが可能になります。DXによる経理担当者の業務負担の軽減と、定着促進の具体例には、次の3つがあります。

クラウド会計の導入と運用

クラウド型会計システム(以下、クラウド会計)の導入は、経理担当者の業務負担を軽減する有効な方法です。日常的に発生する仕訳記帳や請求処理といった定型業務を自動化することで、担当者の作業時間を大幅に削減できます。

また、クラウド会計ではオンライン環境があればどこからでもデータにアクセス可能で、経営者や関係者との情報共有が容易になります。財務状況をリアルタイムで共有できることで、経理業務への理解が深まり、担当者の孤立感も緩和されるのです。

業務フローの見える化と標準化

経理業務が属人化している企業では、業務マニュアルが存在しないケースも珍しくありません。誰でも業務を引き継げる体制を構築するためには、業務手順をマニュアル化・文書化することが有効です。業務内容が明文化されることで担当者以外でも対応できるようになり、担当者不在による業務の停滞を防ぎます。その結果、担当者が安心して休暇を取得できるようになります。

業務フローの見える化と標準化は、DXの導入効果を最大化する上で不可欠です。業務の流れが可視化されることで、作業の重複やボトルネックが明らかになり、システム化・自動化すべきポイントが明確になります。また、担当者が急に不在になった場合でも、業務がブラックボックス化する事態を防ぎます。

社内連携と情報共有の仕組みづくり

経理の孤立を防ぐためには、クラウドツールを活用した情報共有体制の整備が有効です。財務データや業務の進捗状況をオンラインで経営層や関係部署とリアルタイムに共有することで、経理担当者が1人で業務を抱え込む状況を改善できます。

こうした仕組みづくりによって情報の透明性が高まり、社内連携もスムーズに進むようになります。また、経理業務の重要性が社内で正しく理解されやすくなり、1人経理担当者の心理的負担軽減にもつながるでしょう。

アウトソーシングで経理力を底上げする

経理力の底上げには、DXの推進だけではなく、アウトソーシングの活用も有効です。特に、DX導入に時間や予算を割く余裕がない場合は、外部の専門家に業務の一部を委託することで、即効性のある改善が期待できます。

アウトソーシングによって社内の経理担当者の業務負担が軽減され、付加価値の高い仕事に集中できる環境が整います。結果として、業務品質の向上や人材の定着にも貢献するでしょう。

アウトソーシングを活用するためのポイントは、下記の通りです。

アウトソーシングの対象業務とメリット

アウトソーシングに適した業務には、次のようなものがあります。

  1. (1)仕訳記帳
  2. (2)請求書発行
  3. (3)給与計算
  4. (4)年末調整

このような煩雑な定型業務や高度な専門知識を要する税務処理を外部化することで、担当者の負担が軽減でき、残業時間の削減にもつながります。

また、毎年行われる税制・法改正にも専門家が迅速かつ正確に対応するため、ミスによる税務調査や追徴課税といった、ペナルティリスクの軽減にも効果的です。特に、税法の専門知識が必要な業務では、プロによるチェックを通じて正確性が向上し、企業全体の信頼性にも寄与します。

社内担当者との役割分担の最適化

業務の一部をアウトソーシングする際は、社内担当者と外部業者の役割分担を明確にすることが重要です。日常的に発生する仕訳入力や掛取引管理といった定型業務は、外部に委託することで担当者の業務負担を大幅に軽減できます。

社内の経理担当者では業務設計や経営分析、経営判断の支援など付加価値の高い業務に注力できるようになります。こうした役割分担の最適化によって、経理部門全体の質を向上させることが可能です。

連携体制と情報管理のポイント

アウトソーシングでは外部業者が企業の機密情報を扱うため、一定のリスクが生じます。そのため、契約内容の明確化や業務指示のルール化はもちろん、守秘義務契約の締結やアクセス権限の設定も不可欠です。

信頼できる業者を選び、セキュリティ対策やデータ共有の仕組みを整備することで、安全性が確保でき安心して業務を委託できます。適切な連携体制を構築することが、経理業務の安定運営と担当者の負担軽減を両立させる鍵となります。

経理担当者の育成と定着を両立する組織戦略

経理担当者の離職を防ぐためには、ここまでに紹介した業務負担を軽減する環境整備だけでなく、「育成と評価」の仕組みづくりも欠かせません。経理を担う人材を育成し、定着を促すための戦略として、以下のような取り組みが有効です。

スキルアップ支援と役割拡張の設計

経理業務には、簿記や法務などの専門知識に加え、クラウド会計をはじめとするITツールの操作への対応も求められます。そのため、企業は経理担当者に対して、ITスキルや法務知識などを学ぶ機会を提供し、業務改善や新制度に対応できるように支援することが有効です。

担当者が自身の成長を実感しながら自社への貢献意識を高められる環境があると、モチベーションが高まり、転職意欲が抑制されます。

評価制度とキャリアパスの見直し

経理は企業の売上に直結しないため、正当な評価が得られにくい業務です。そのため、経理担当者が「会社に必要とされている」と実感できる体制を構築することが重要です。業務の改善に向けた提案や社内連携への貢献などを評価対象に含めるなど、評価制度の見直しを行うことで公正な評価を実現できます。

また、キャリアパスを明示することで、担当者が自社での将来像を描きやすくなるため、長期的な定着につながります。

キャリアパスの具体例

経理のキャリアパスは、段階的に役割を拡張すると効果的です。担当者に将来性を感じてもらうことで、定着率が高められます。キャリアパスの具体例は、次の通りです。

  • (1)初級段階:仕訳入力や請求処理など定型業務を担当
  • (2)中級段階:月次決算や業務フローの改善提案を行い、部署間の調整役として活躍
  • (3)上級段階:経営会議で財務分析を行い、資金計画や投資判断をサポート

1人経理の場合の工夫

中小企業の経理は、少人数体制でポジションに空きがないことが多く、昇進の機会が限られています。特に1人経理の場合には、キャリアパスを「社内での役職昇進」として設計することは難しいでしょう。

そこで、担当者が成長実感を持ちながら働けるような工夫が必要になります。「縦の昇進」ではなく、次のような「横の広がり」でキャリア形成を支援することが効果的です。

  • 専門性の深化:税務やクラウド会計などの新しいスキル習得を支援
  • ・役割の拡張:経理だけではなく、総務や法務などの周辺業務を担える体制を整備
  • ・経営参画の強化:財務データを活用して、経営者と共に意思決定に関与

経理を「経営支援部門」として位置づける

経理担当者の定着を促すためには、経理を単なる数字処理の事務部門ではなく、経営判断を支える戦略部門として位置づけることが重要です。経営者が意思決定の場に経理担当者を巻き込むことで、担当者にやりがいが生まれます。こうした取り組みが、経理担当者が辞めない組織づくりになのです。

経理部門を含む新入社員を戦力として生かすための人材戦略については、下記コラムでも解説しています。
https://keiri-outsourcing.com/column/column-10382/
新入社員が辞めない・育つ会社とは?中小企業が今すぐ取り組むべき人材戦略

まとめ

経理担当者の離職を防ぎ、経理力を高めるためには、業務環境の改善と役割の再定義が欠かせません。DX促進やアウトソーシングを活用することで業務負担を減らし、適切な評価とキャリアパスを示すことで、担当者が安心して働き続けられる体制を実現できます。

弊社では、貴社の経理課題に合わせたクラウドツールやアウトソーシングのプランをご提案し、導入まで一貫してサポートしております。

無料の初回面談や、オンライン相談も承っておりますので、経理体制の見直しをお考えの方はぜひお気軽にお問い合わせください。

神奈川 横浜・町田経理アウトソーシングオフィスは、経理・税務・経営に関するお客様のあらゆる課題を解決する総合会計事務所です。創業50年以上の歴史を持ち、約100名の専門家がお客様の事業を力強くサポートします。

私たちの4つの強み
①大規模かつ専門家によるチーム対応

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この記事を担当した税理士
株式会社YMG コンサルティングラボ 部長代理 興梠 貴裕
保有資格弥生インストラクター資格 / 日商簿記3級
専門分野IT
経歴業務系システム業界に身を置いて12年目。様々な業種のお客様のシステム導入に関する多くの相談実績が有り 導入実績も多数。常にお客様目線で対応し、お客様の課題解決に全力で取り組む姿勢に定評有。
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