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コラム

2025.10.03
1人経理の限界と経営計画の落とし穴

中小企業が持続的な企業成長を目指すためには、経営計画の策定が重要です。しかし、中小企業では、経営計画が頓挫するケースが少なくありません。その背景にあるのが、経理業務の属人化です。特に、中小企業に多い「1人経理」では、財務情報の精度や継続性が担保されず、資金繰りや投資判断に支障をきたすおそれがあります。

本コラムでは、1人経理体制が経営計画に与える影響について解説し、経理DXによる改善策と留意すべきポイントをご紹介します。

≪目次≫
経営計画とは何か
経営計画が「絵に描いた餅」になる理由
計画の実効性を高める経理体制のポイント
まとめ:経理体制が計画の実効性を左右する

経営計画とは何か

経営計画とは、企業の理念や目標に基づいて、取り組むべき具体的な戦略を整理した「経営の設計図」のことです。多くの中小企業では、人・モノ・金・情報といった経営資源が不足しています。経営計画は、限られたリソースの活用方法を明示し、社内外の意思統一や資金調達を実現するのに有効なツールです。

中小企業庁が発表した2025年版中小企業白書でも、経営計画を運用している小規模事業者は、業績が向上していることが分かっています。

参考:2025年版 中小企業白書・小規模企業白書の概要
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/PDF/2025gaiyou.pdf
P.39 【重要な取組3-②】図2 経営計画の運用状況と業績との関連性

経営計画に必要な財務・人材・投資項目

経営計画を策定するには、まず自社の現状を把握することが不可欠です。その上で目標や戦略を設定し、具体的な取り組みを行います。

経営計画を構成する要素は、主に次の4つです。

  1. 数値目標(売上・利益・資金繰り)
  2. 人材戦略・組織体制
  3. 設備投資・IT導入
  4. マーケティング・販売戦略

経営計画が改善を促す3つの理由

経営計画は、自社の将来予測を示すためだけに策定されるものではありません。目標掲げ、達成するための取り組みを継続することは、実務課題の改善にもつながります。

それではなぜ、経営計画が実務改善を促すのでしょうか。主な理由には、次の3つがあります。

理由1:意思決定のスピードと精度が向上する

2025年版中小企業白書によると、経営計画を策定し「効果が得られた」と回答した小規模事業者は全体の約76%です。そのうち半数以上が、「経営状況の把握」に効果があったと答えています。

自社の現状を把握すると、目指すべきゴールが明確になります。それによって、経営層は計画と現状との隔たりを察知しやすくなり、改善に向けた具体的な道筋も見えてくるでしょう。判断基準が定まることで、迅速かつ的確な経営判断を行えるようになるのです。

理由2:社内外の信頼性が高まる

経営計画を策定し、企業の方向性を明示することで、社内外にさまざまなメリットがもたらされます。特に社内では、従業員が自社の将来像を共有し、日々の業務が企業の成長にどう貢献しているのかを実感しやすくなるでしょう。その結果、モチベーションアップや離職率の低下にもつながるのです。

また、実現可能性の高い計画を提示することで、金融機関や取引先からの信頼を得やすくなります。

理由3:PDCAサイクルが機能する

PDCAサイクルとは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)のステップを繰り返すことで、継続的な業務改善を目指すフレームワークです。経営計画によってPDCAサイクルが機能し、継続的な業務改善が可能になります。

たとえ計画が想定通りに進まない場合でも、現実的な指標が明確化されているため軌道修正しやすく、経営資源を効果的に活用できる点が大きな利点です。

経営計画が「絵に描いた餅」になる理由

このように、経営計画は企業の成長戦略や資金調達、人材採用などの意思決定を支える重要なツールです。そのため、実効性のある経営計画を策定するには、正確な財務データが欠かせません。

不正確なデータを用いると、目標設定や投資判断が実態とは懸け離れてしまいます。そのため、計画は実行段階で破綻してしまうでしょう。また、資金不足の把握が遅れ、追加融資が必要になるリスクも高まります。

このように、不正確な財務データでは経営計画が実現性を欠き、「絵に描いた餅」と化してしまいます。その原因となり得るのが、「1人経理」に依存する体制です。

1人経理が抱える“見えないリスク”

1人またはごく少数の担当者が経理業務を担当する「1人経理」は、中小企業では多く見られる状況です。1人経理は、業務の遂行を特定の担当者に依存する傾向があり、担当者以外には業務内容が把握できず属人化しやすい状態を生み出します。属人化された経理は、大きなリスクを伴います。ここでは、典型的な例を3つご紹介します。

経営層への情報共有不足による意思決定の遅れ

1人経理体制の企業では、担当者の業務負担が大きいため、月次決算や資金繰り表の作成が後回しになりがちです。その結果、経営層が正確な経営状況を把握できないまま、計画を進めてしまうリスクが生じます。経営判断に必要な情報の不足は、企業の意思決定が遅れることにもつながります。

ミス・不正に気づけないチェック体制の不整備

経理業務が属人化すると、第三者によるチェック機能が働かなくなります。万が一ミスがあっても、見逃される可能性が高いでしょう。さらに、属人化した業務は透明性が低下し、不正が発生しやすい状況を招きます。これらのことから財務情報の正確性が損なわれ、計画の信頼性が低下するリスクが生まれます。

担当者の退職・病気・長期休暇による業務停止

1人経理の企業では、担当者が病気や休暇などで不在になると、業務が停滞します。その影響は、経理業務にとどまらず他部署の業務にまで及ぶでしょう。また、経理担当者が退職すると、業務フローや情報がブラックボックス化し、経営計画の実行が困難になりかねません。

1人経理のリスクについては、下記コラムでも詳しく解説しています。
https://keiri-outsourcing.com/column/column-10207/
1人経理の常態化リスク軽減「バックオフィス業務整理のすすめ」

計画の実効性を高める経理体制のポイント

リソースの限られている中小企業では、1人経理体制の解消は現実的に難しい状況です。しかし、業務の属人化を防ぎ、財務情報を共有・可視化することで、経営計画の精度と実行力は大幅に向上します。

ここでは、現状の経理体制を見直す際のポイントを3つご紹介します。

ポイント1:経理リソースを整える

属人化によって財務情報の精度や共有が妨げられると、経営計画の実行力が弱まります。属人化の解消には、業務を標準化することが重要です。社内リソースが限られている場合は、外部のプロに相談すると良いでしょう。属人化の解消に役立つ標準化の手順をご紹介します。

業務棚卸し

属人化を解消する第一歩は、業務の棚卸しです。棚卸しでは、現行の業務内容や作業手順を全て洗い出し、重複や属人化の要因を可視化します。これによって、改善すべきポイントが明らかになります。

経理業務の標準化と見える化

特定の担当者に依存していると、経理業務の手順や帳票などにばらつきが生じやすくなります。これらを統一し、社内で共有可能な状態に整えることで、経理業務の継続性と透明性が向上します。

業務マニュアルの整備

属人化が進んでいる業務は、担当者だけが手順を分かっていれば良いため、マニュアルが存在しないケースが多いでしょう。業務の流れや判断基準などを文書化し、従業員の誰でも再現できる体制を構築することが安定した運用につながります。

ポイント2:クラウド会計の導入で情報の共有・可視化を促進

クラウド型会計システム(以下、クラウド会計)を導入することで、経理データの正確性が大幅に向上し、情報の迅速な共有が可能になります。クラウド会計は、従来のように特定のパソコンにインストールするのではなく、クラウドサーバー上のシステムを利用する会計ツールです。クラウドサーバーには、インターネットに接続できる環境であれば、どこからでもアクセスできます。

これには、次のようなメリットがあります。

自動化による経理データの正確性向上

クラウド会計では、取引データの取得や仕訳、集計などが自動化されます。経理担当者が手入力する機会が減るため、人的ミスの大幅な削減が可能になり、正確な財務情報を安定的に維持できます。

情報のリアルタイム更新・共有で経営判断迅速化

クラウド会計に入力したデータは、リアルタイムで更新され、関係者で即時に共有できます。インターネット環境があれば、時間や場所を問わずに最新の財務状況を把握できるため、経営判断のスピードと精度が高まります。

情報の一元管理と検索性向上でボトルネック解消

クラウド会計は、紙やExcelを使った情報の分散管理体制からの脱却に有効です。情報が一元管理されているうえ、デジタルデータとして蓄積されるため、検索性が大きく向上します。これにより、担当者以外の従業員も必要な情報を見つけやすく、迅速にアクセスできるようになります。経理担当者の処理を待つ必要がなくなるため、他部門業務の停滞を防ぎ、ボトルネックの解消にも効果的です。

ポイント3:経理DXで経営計画の精度と実行力が向上

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を用いてビジネスモデルを変革し、企業の成長へとつなげる取り組みです。経理DXでは、経理業務全体をデジタル化することで、データの効率的な共有と活用を推進します。その結果、経営計画の実効性が飛躍的に高まります。

経理DXによって実現できる改善内容には、次の通りです。

月次決算の自動化でPDCAを回す

クラウド会計を活用することで、定期的な月次決算の自動化が可能になります。情報はクラウドサーバー上でリアルタイムに更新され、いつでも確認可能です。これにより、PDCAサイクルを継続的に回す体制が整います。

経理業務の標準化で属人化を防ぐ

業務フローをシステム化することで、経理業務を特定の担当者に依存しない体制を構築できます。これによって属人化が解消され、経理業務の継続的かつ安定的な運用が可能です。精度の高い財務データを迅速に共有することで、経営計画の実行力が高まります。

まとめ:経理体制が計画の実効性を左右する

中小企業では、リソースの不足によって「1人経理」になるケースが少なくありません。しかし、1人経理は属人化しやすいため、リスクが高い状況です。

そのような企業でも、経理DXによって健全な経営体制を構築できます。

経営計画の実効性を高めるためには、今こそ経理体制の見直しとDX化を進めるべきではないでしょうか。

弊社では、丁寧なヒアリングによって貴社の経営状況を的確に分析し、最適な経理DXの導入プランをご提案いたします。

初回面談は無料で承っております。経営計画や経理DXに課題を感じている経営者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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この記事を担当した税理士
株式会社YMG コンサルティングラボ 部長代理 興梠 貴裕
保有資格弥生インストラクター資格 / 日商簿記3級
専門分野IT
経歴業務系システム業界に身を置いて12年目。様々な業種のお客様のシステム導入に関する多くの相談実績が有り 導入実績も多数。常にお客様目線で対応し、お客様の課題解決に全力で取り組む姿勢に定評有。
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