2024.11.21
経営者の経理兼務はコスト削減になるのか?見落としてはならない「社長の価値」
経営者が兼務する経理業務とは 少子化の進行によって、わが国の生産年齢人口(15~64歳)は減少を続けています。それを補っていた高齢者の就業者数も近年では減少に転じていることから、人材不足の問題はより…
2022年1月より義務化された「電子帳簿保存法」」。2年間の猶予措置が取られたものの、今後のデータの電子化は避けられません。本記事では、中小企業が電子帳簿保存法に対応するためのポイントを解説します。
「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」は、いわゆる「電子帳簿保存法」といわれ、法人税や所得税、消費税等の税法で、書面で保存することが義務とされている国税関係帳簿書類(帳簿やそれを作成するために必要な請求書、領収書など)を磁気記録データとして保存することを認めることとした法律です。
この「電子帳簿保存法」は、本年2022年1月1日からの改正により、「電子取引にかかる情報の電子保存」が義務化されています。この義務化については、中小企業を含めたすべての電子取引をしている事業者が対応しなくてはなりません。
ただ、この「電子帳簿保存法」改正の具体的な取り扱いが国税庁から公表されたのが2021年7月であったため多くの企業で対応が追いつかず、令和4年度の税制改正大綱において令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に行われた電子取引については、宥恕(ゆうじょ)措置が設けられました。
電子帳簿保尊法の主な保存区分としては、(1)電子帳簿等保存、(2)スキャナ保存、(3)電子取引データ保存の3つに分類されます。
「電子帳簿等保存」とは、会計ソフト等で自分が作成した帳簿や決算関係書類等を、その電子データのまま保存することです。
「スキャナ保存」とは、相手から受け取った請求書や領収書、自分で作成した書類等をスキャニングして、画像データで保存することです。
「電子取引データ保存」とは、請求書や領収書等の内容をデータでやり取りするなど、電子的に授受した取引情報を、電子データで保存することです。
電子取引の保存要件としては、「真実性の確保(保存されたデータが改ざんされていないこと)」と「可視性の確保(保存されたデータを検索・表示できること)」の2点が必要となります。特にこれから法改正に対応する中小企業においては、この2点を踏まえる必要があります。
「可視性の確保」のために、次の保存方法1~3を行い、「真実性の確保」のために次の保存方法4を行います。
電子計算機処理システムの概要書を備え付けることです。
保存場所に、電子計算機(パソコン等)、プログラム、ディスプレイ、プリンタおよびこれらの操作マニュアルを備え付け、画面・書面に整然とした形式および明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくことです。
次の(1)~(3)の検索機能を確保することです。
(1)取引年月日その他日付、取引金額、取引先について検索できること
(2)日付または金額の範囲指定により検索できること
(3)2つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること
ただし、税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、検索要件の(2)・(3)が不要となります。また、基準期間の売上高が1,000万円以下である小規模な事業者で、同様にダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、検索要件のすべてが不要とされます。
具体的には、次のいずれかの措置を行う必要があります。
・タイムスタンプが押された後、取引情報の授受を行う。
・取引情報の授受後、速やかにタイムスタンプを付すとともに、保存を行う者または監督者に関する情報を確認できるようにしておく。
・訂正や削除を確認できるシステム、または訂正や削除を行うことができないシステムで取引情報の授受および保存を行う。
・訂正や削除の防止に関する事務処理規定を定め、それに沿った運用を行う。
中小企業においては、今回の電子帳簿保存法改正で義務化される「電子取引」の部分に対応するため、また、今後の世の中全般における電子化・デジタル化対応を見据えて、まずは取り入れるべきものは、次の3点となります。
電子取引の保存要件を確保するため、規定を作り(真実性の確保)、保存するデータのファイル名に規則性をもたせる(可視性の確保)ことが必要となります。請求書データのPDF等のファイル名に規則性をもたせ、「日付、取引先、金額」を入力することが必要となります。
今後、あらゆる分野で電子化・デジタル化が進んでいくことは必須ですので、スキャナを使って紙ではなく電子データ化するのもひとつです。 受領した契約書や領収書等、発行した請求書等の控えをスキャンして電子保存します。これにより、検索もしやすくなり、どこからでもデータにアクセスしやすくなります。紙の保管スペースも減らせます。
電子帳簿保存法改正の対応にあたり、中小企業がやるべきことは、これをきっかけに、電子帳簿保存法に対応した財務システムや文書管理システムなどのシステムの導入でしょう。 同法改正に対応した市販の会計ソフトやクラウドサービスの導入は効率的な対応方法です。銀行やクレジットカードとのデータと連携しながら記帳・保存するシステムもあり、これらシステムの導入により、経理業務の効率化ができます。また、中小企業によっては、月次決算ができていなかった企業もあると思いますが、会計ソフト導入により、月次決算もできるようになり、経営課題の早期発見にもつながります。
電子帳簿保存義務化に向けて中小企業がやるべきことは、電子帳簿保存法の理解と電子帳簿保存法に対応したシステムの導入です。 令和6年1月1日からは、すべての企業において、電子取引にかかる情報の電子保存」をしなくてはなりませんので、今のうちからしっかりと準備を始めておいた方がよいでしょう。
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