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コラム

2026.06.11
バックオフィス1人担当は最大の経営リスク|法改正・人材不足時代のDX×アウトソーシング最適解

中小企業では、バックオフィス全体を少人数で支える体制が一般的です。経理担当者は会計だけでなく、給与計算や労務、さらに庶務・総務まで兼務することも多く、日常業務だけで手一杯になってしまうケースが少なくありません。しかし、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応で負担が増え、これまで回っていた業務が滞りやすくなっています。本コラムでは、この体制が抱えるリスクと改善策を解説します。

<目次>

バックオフィスを兼務する1人経理体制は、今もっとも危険な経営リスク

生産部門や営業部門が生み出した成果を正確に処理し、企業活動を支えるのがバックオフィス業務です。中小企業ではこの重要な役割を、経理担当者を含む数名で担うことが多く、1人経理が労務や総務まで兼務する企業も少なくありません。

近年は、インボイス制度や電子帳簿保存法(以下、電帳法)への対応が重なり、バックオフィスの作業量と複雑さは着実に増しています。さらに、働き方改革により、増加分を残業で吸収することも難しくなり、これまで問題なく回っていた体制が急に滞るケースが目立つようになりました。

ブラックボックス化が招く”法改正未対応”の危険

中小企業のバックオフィスは、人材補充や配置転換が頻繁におこなわれる環境とはいえません。限られた人数で多くの業務を分担して進めるため、入れ替わりが少なく、業務が固定化しやすい構造があります。その結果、業務内容や手順が共有されず、担当者の頭の中だけにある状況が生まれます。

特に経理は専門的な処理が多く、担当外からは「何をどのように進めているのか」が把握できず、ブラックボックス化が進みがちです。この状態では、「担当者が大丈夫と言うなら問題ない」と判断してしまうリスクが高まります。

さらに、ミスや不正を見落としやすく、インボイス制度や電帳法といった法改正への対応に不備があってもすぐには気づけないおそれがあります。

インボイス・電帳法で増えた“見えない作業”とは

インボイス制度や電帳法への対応では、請求書の形式確認や取引先への照会、請求書・領収書のスキャンや整理など、従来にはなかった細かな作業が追加されています。こうした”見えない作業”の増加こそが、負担を重くする要因です。

バックオフィスが止まると、現場も経営も止まる──中小企業の“連鎖リスク”

業務手順や処理判断が特定の担当者に依存している業務は、属人化リスクが高まります。「担当者がいれば大丈夫」という状況は、裏を返せば「担当者がいなければ回らない」ということです。

バックオフィスは直接的な利益は生み出しませんが、企業活動の基盤を支える重要な機能です。ここが止まれば、備品補充や契約書管理が滞り、見積・受注処理や出荷指示が遅れます。さらに、必要な部材の発注や在庫更新が追いつかず、生産計画にも影響が及ぶでしょう。給与計算や社会保険手続き、経費精算が遅れれば、従業員の不満やモチベーション低下、離職にもつながりかねません。

このようにバックオフィスの一部が止まるだけでも、現場の作業や取引先対応、従業員管理まで広く影響が連鎖し、企業活動そのものが進まなくないます。

1人経理が休んだ日の“最悪シナリオ”を可視化

1人経理は、会計・給与計算・労務など幅広い業務を兼務しており、日常的な処理がとぎれることがありません。たった1日不在になるだけでも、入金確認や支払予定の更新、原価情報の提供などができなくなり、社内のあらゆる判断が遅れます。月次データが確認できなければ、経営判断も後ろ倒しになるでしょう。急な不在や長期の休みでは引き継ぎもできず、バックオフィス全体が完全に停滞する可能性があります。

製造業では特に“バックオフィスの遅れ”が致命傷になる理由

製造業において、経理の遅れは致命的です。支払処理が滞り、原材料の仕入が止まれば、生産ラインは稼働できません。さらに、支払遅延は取引先の信頼を損ない、今後の取引条件の悪化や受注減を招き、取引停止につながるおそれもあります。バックオフィスの遅れが、現場と取引先双方に深刻な傷を与えるのです。

バックオフィス業務は想像以上に細かい。だから1人では回らない

バックオフィス業務は、企業のお金を管理する経理・財務、従業員のサポートや評価を担う人事・労務、社内環境を整える総務・庶務、そしてシステムや機器を維持する社内ITインフラなど、多様な専門領域が複雑に絡み合っています。一見「誰でもできる簡単な仕事」に見えますが、企業ごとにルールや運用方針が異なり、状況に応じた判断も求められるため、決して単純作業の寄せ集めではありません。

経理・労務・総務・IT…“8つの役割”を1人で担う構造的な無理

バックオフィス業務を分解すると、経理・財務・人事・労務・法務・庶務・総務・ITインフラの8つに大別できます。本来であれば、それぞれの専門性に応じて担当者を配置し、分業すべき領域です。しかし、リソースに限りのある中小企業では、どうしても兼務が発生します。

特に経理担当者には、次のような本来は別部門の業務まで集中しがちです。

(1)企業会計・月次決算・請求書処理・支払管理(経理)
(2)資金繰り管理・銀行折衝・年次決算とりまとめ・税務申告準備(財務・税務)
(3)給与計算・勤怠管理・社会保険手続き(労務)
(4)経費精算・小口現金管理・備品購入手続き(庶務)

こうした業務は、「金銭にかかわるから」という理由で経理に集められることが多いものの、それぞれ異なる専門知識が求められます。さらに、税制改正や新制度施行の情報収集から学習、対応まで担うため、業務量は増える一方です。

“1人経理”の業務量を可視化すると限界が見える

1人経理は、定型業務に加えて突発的な依頼や問い合わせが絶えず、常にマルチタスクを強いられます。記帳の途中で営業から資料作成を頼まれ、来客や電話対応が割り込むなど、常に作業が中断され、そのたびに確認ややり直しが発生します。こうした環境では、ミスや漏れを避けることは困難です。

また、取引支払、月次締めや給与計算などの期限を厳守すべき業務が多く、優先順位の低い処理は後回しになっていきます。中断と先送りが積み重なることで業務負荷は深刻化し、「休めない・引き継げない」状態が常態化していくのです。

バックオフィスが安定すると、現場は“コア業務”に集中できる

バックオフィスは、企業活動を円滑に進めるための土台です。ここが滞ると、資料不足で商談や会議が止まったり、取引先への謝罪対応が発生したり、仮の数字で判断せざるを得なかったりと、現場に余計な負担が生じます。繁忙期にはバックオフィスの手が回らなくなり、他部門へヘルプ招集がかかることになれば、企業全体が疲弊しかねません。

逆に、バックオフィスが安定すると、必要なサポートを必要なタイミングで受けられ、現場がスムーズに流れます。営業は商談に、製造は生産に、管理職はマネジメントに集中でき、生産性向上・納期遵守・顧客満足の改善といった現場の成果も期待できます。

だからこそ、バックオフィスは“積極的にDXすべき領域”である

紙・手作業・属人化の根が深いバックオフィスは、DX(デジタルトランスフォーメーション)による効果が大きく出やすい領域です。デジタル化によってペーパーレス化が進み、印刷・保管コスト削減が期待できます。さらに、自動化によって工数削減と処理スピードの向上、ヒューマンエラーの抑止が実現し、担当者の業務負担が大幅に軽減されます。

結果として、バックオフィスが安定し、営業・生産部門それぞれがコア業務に注力できる環境が整い、企業全体の生産性向上や企業成長にもつながるでしょう。

DX化の優先順位:経理・労務・総務から始めるのが最も効果的

バックオフィス業務の中でも、経理・労務・総務は、社内処理が中心で顧客の目に触れにくく、トライアンドエラーを重ねやすい分野です。さらに、定型・反復作業が多いため、DX化の効果がわかりやすく現れます。仕訳記帳や請求・支払管理、勤怠管理と給与計算、申請・承認フローの自動化・デジタル化は、効率化と精度向上を両立させます。

一方で、臨機応変な判断が求められる業務や、顧客とのコミュニケーションが中心となる業務では、DX化の優先度は高くありません。まずは、影響範囲が大きく、定型処理の多い業務から着手することが、最短で効果を得るためのポイントです。

まず取り組むべきは“紙文化”からの脱却とDXの最初の一歩

DXは、単にデジタルツールを導入することではなく、業務の前提を見直す取り組みをいいます。特に重要なのが、紙文化からの脱却です。紙の伝票や領収書が残っている限り、データの分断や二重入力が発生し、効率化は進みません。まずは、紙を減らし、データを一元管理できる状態をつくることがDXの第一歩となります。

クラウド型会計システム(以下、クラウド会計)の導入は、情報の共有と一元管理に効果的な方法です。入出金明細の取得と仕訳記帳を自動化できることで、入力ミスや転記漏れを防ぎます。さらに、アクセス履歴が残るため、ミスや不正の早期発見にもつながり、迅速な修正対応が可能です。こうした仕組みにより電子帳簿保存法(以下、電帳法)に沿った真正性・見読性を確保した一元管理が実現します。

紙伝票・領収書をどうクラウドに載せるか

電帳法の改正により取引データの電子化は進んでいますが、紙のやり取りが残っている企業も少なくありません。紙の伝票や領収書は、スキャナ保存やスマートフォン撮影でデータ化し、クラウド上に集約します。このとき、受領から保存までのフローを標準化することで、現場負担を軽減しながら品質を保つ仕組みが完成します。取引先に負担をかけず、自社だけでデジタル化を進めることができるのも大きなメリットです。

クラウド導入の“最初の1歩”を具体化

人手や時間、予算に余裕のない中小企業では、小さく始めるDXがおすすめです。まずは仕訳記帳を起点に、1つずつ成功体験を積み上げましょう。先に勘定科目の初期設定やワークフローの整備をおこなうことで、後から請求・支払管理、勤怠・給与計算、申請承認などへ拡張しやすくなります。

リアルタイム経営を可能にするデータ共有

クラウド会計の活用で、売上・入金・支払などの数字をリアルタイムで把握可能です。場所を問わずにアクセスできるため、営業先や銀行でも最新の数字を確認できます。データが一元化されることで、経営判断の精度とスピードも大きく高まるでしょう。また、リモートワークにも対応しやすくなり、人材確保や働き方の柔軟性にも寄与します。

アウトソーシング×DXのハイブリッドが最適解

バックオフィスのDXではクラウドツールの導入が効果的です。しかし、運用設計や初期設定を自社だけでおこないきれるか不安を抱える経営者は少なくありません。アウトソーシングを活用してDX化を図る方法もありますが、「経理データを社外に出すことへの抵抗感」から踏み切れない企業も多いでしょう。

しかし、業務改革を「ツール導入」か「外注」かの二択で考える必要はありません。クラウド会計で自動化しつつ、専門家による継続的な月次チェックを受けることで、効率と精度の両方が高まります。これらを組み合わせることで、不安を解消しながら、より安定した経理体制を構築できます。

プロがクラウドツールを“運用”する価値

クラウドツール導入では、勘定科目や仕訳ルールの初期設定が重要です。ここが曖昧だと、後から大幅な修正が必要になり、かえって負担が増えてしまいます。また、クラウド会計導入を前提に業務フローを見直しておかないと、紙時代の不要な工程が残り、効率化を妨げます。

さらに、導入後の月次チェックこそが、DXの効果を最大化する鍵です。月次段階でプロが仕訳・残高・取引書類の整合性を確認することで、ミスを早期に発見でき、年次決算での大規模修正を回避できます。

経理専門のアウトソーシングにクラウド導入支援と月次チェックを委託すれば、初期設定から運用・品質管理まで一貫して任せることができ、経営者は結果の確認に集中できます。

「自社でやる部分」と「外注すべき部分」の線引き

クラウド会計導入で日々の入力や仕訳作業を自動化し、月次チェックや法令対応といった高度な専門知識が必要な部分は外部委託することで、自社の担当者は最終確認や判断が必要な業務に専念できます。クラウドでデータを共有すれば、経理情報を社外に持ち出す必要は無く、必要な範囲だけを安全に共有可能です。内部統制を保ちながら、専門家の知識とノウハウを活用できる点が大きなメリットです。

“隠れ人件費”を可視化し、外注コストと比較する

1人経理はマルチタスクと属人化により担当外から問題が見えにくく、「ミスが起こりやすく、見落としやすい状態」です。月次処理のミスが年次決算で発覚した場合、すべてのデータを遡って修正しなければならず、膨大な工数が発生します。これらの作業にも当然人件費がかかります。

月次チェックを外注すれば、ミスを早期に発見・修正でき、後からまとめて修正する手間とコストが大幅に減ります。外注には費用がかかりますが、こうした“隠れ人件費”と比較すると、トータルでコストダウンになる企業が多いのが実情です。

1人経理を雇い続けるコスト vs 外注コスト

1人経理にかかるコストは、給与や”隠れ人件費”だけにとどまりません。最大のリスクは、担当者が急に不在になったときに発生します。まず、後任の採用費や教育コストが必要です。さらに、経営者や他部門が一時的に経理業務を肩代わりした場合、本来の業務が停滞し、売上機会の損失が生じます。採用が難航すれば、この損失は長期化します。

加えて、支払・給与・税務申告といった期限のある業務が止まれば、企業活動そのものが危うくなります。引き継ぎ不能な状態で不在になれば、ブラックボックス化した業務フローを手探りで再構築しなければなりません。どの処理が止まっているのかすら、把握できない危機に陥るでしょう。

クラウド会計によって定型業務を自動化し、さらにアウトソーシングを併用しておけば、担当者が急に不在になっても業務が止まらず、リスクを最小限に抑えられます。総合的に考えると、外注は単なるコストではなく、企業にとって重要なリスクヘッジだといえます。

クラウド会計を低コストで導入する方法については、下記コラムで解説しています。
https://keiri-outsourcing.com/column/column-10857/

まとめ:今こそバックオフィスの体制を見直すべき理由

バックオフィスには多様な業務があり、それぞれに専門知識やスキルを必要とします。法改正が相次ぎ、人材不足が深刻化する現在、1人担当体制のままでは、属人化・業務停滞・ミスの増加といったリスクが高まり、企業運営そのものに影響を及ぼしかねません。

こうしたリスクを抑え、業務精度の向上と安定化を求めるのなら、DX化やアウトソーシングによる業務効率化が有効です。

繁閑差を小さくし、属人化を防ぎ、非効率なマルチタスクを解消することで、バックオフィスは本来の役割を果たし、それぞれがコア業務に集中できる環境が整います。

弊社では、貴社の業務フローに合わせた最適な体制構築と運用支援をおこなっています。現場の負担を増やさずに経理体制を見直したい場合は、お気軽にご相談ください。

初回相談無料サービスやオンライン相談もございます。ぜひご活用ください。

神奈川 横浜・町田経理アウトソーシングオフィスは、経理・税務・経営に関するお客様のあらゆる課題を解決する総合会計事務所です。創業50年以上の歴史を持ち、約100名の専門家がお客様の事業を力強くサポートします。

私たちの4つの強み
①大規模かつ専門家によるチーム対応

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この記事を担当した税理士
株式会社YMG コンサルティングラボ 部長代理 興梠 貴裕
保有資格弥生インストラクター資格 / 日商簿記3級
専門分野IT
経歴業務系システム業界に身を置いて12年目。様々な業種のお客様のシステム導入に関する多くの相談実績が有り 導入実績も多数。常にお客様目線で対応し、お客様の課題解決に全力で取り組む姿勢に定評有。
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