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コラム

2022.11.21
【ふるさと納税】企業版ふるさと納税のメリットとポイントとは?

ふるさと納税は個人がおこなうものと思われがちですが「企業版」ふるさと納税もあります。企業版ふるさと納税は、企業が自治体へ寄附する制度ですが、個人とはまったく仕組みが異なります。
近年、この企業版ふるさと納税を活用する企業が急増し、注目されています。企業版ふるさと納税のメリットは何があるのでしょうか? このコラムでは、企業版ふるさと納税の概要とメリット、実施する際のポイントをご紹介します。

企業版ふるさと納税とは

企業版ふるさと納税は、2016年に「地方創生応援税制」として創設されました。

当初5年間の時限措置でしたが、途中改正され、2025年度まで延長されています。概要は以下のとおりです。
・国が認定した、地方公共団体の「地方創生プロジェクト」に対して「企業」が寄附をおこなうと、法人税等の税額控除を受けられます。
・税額控除は、法人住民税が寄付額の4割、法人税は前者が4割に達しない場合にその残額(寄付額の1割を限度)、法人事業税は寄付額の2割です。
・損金算入金額が3割、税額控除が最大6割で、実質的な企業の負担は1割に圧縮することも可能です。

寄附を募集している地方公共団体は「企業版ふるさと納税ポータルサイト」から確認できます。
また、企業版ふるさと納税には人材派遣型もあります。これは、企業版ふるさと納税の仕組みを活用して、専門的知識やノウハウを有する企業の人材を地方公共団体などへ派遣する仕組みです。具体的には、企業が人件費を含む「事業費」の寄附をして、同一年度に寄附活用事業に従事する地方公共団体の職員として任用してもらいます。企業側では、実際に企業の人材が地域貢献できるとともに、人材育成の機会ともなります。

このように企業版ふるさと納税は、法人が支出する「寄附金」です。寄附金は、会社の営業活動とは関係なく支出されたもので、一般の寄附金は税務上全額を損金算入できません。企業版ふるさと納税は、ここに税額控除をプラスして、一般の寄附金よりも企業の負担を軽減し、推進しています。

企業版ふるさと納税のメリット

企業版ふるさとにはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下にまとめました。

(1)社会貢献のため

地方公共団体の「地方創生プロジェクト」は、地方創生に係る事業ですが、環境保全や復興支援など、さまざまな目的のものがあります。社会貢献をおこなう、企業のメリットは主に以下のとおりです。
・SDGs達成に向けた取り組みの推進、ESGへの寄与 環境保全や脱炭素という大きな目標に対して、地方公共団体の取り組みを通じて寄与できます。
・創業地等の地域への恩返し 創業地や、その他経営活動の中で縁のある地域へ寄附をして、地域の活性化に寄与できます。
・被災地への復興支援、コロナ対策活動への支援 頑張っている地域の取り組みに対して、応援や感謝を寄附で表すことができます。
・自社社員のモチベーション増加 寄附をして地方公共団体の事業に貢献しているという事実は、自社を誇らしく感じられ、社員のモチベーションアップにつながります。

(2)企業のイメージアップや認知度向上のため

寄附をおこなうと、地方公共団体のホームページなどに社名をのせてもらえることが多くあります。寄附をしている事実、取組をアピールし、企業のイメージアップや認知度向上につなげられます。

(3)事業展開のため

寄附をきっかけに、地方公共団体と交流する機会が持て、新たなパートナーシップを構築できる可能性があります。これをきっかけに、新事業につながる可能性もあるでしょう。
また、本店所在地の地方公共団体には寄附ができません。しかし、企業は全国に支店や工場があるケースも多くあり、その地に寄附することで、関係する地域の自治体と、円滑な関係を築けます。 直接的な連携だけでなく、人材育成や産業の振興など、地方活性化の取り組みは、回り回って自社の継続的な発展に寄与することが考えられます。

このように、企業版ふるさと納税は、社会貢献と未来の事業展開に役立ち、即効性はなくとも、将来の企業活動にプラスになると期待できるメリットがあります。

企業版ふるさと納税をおこなう際のポイント、注意点

企業版ふるさと納税は、このようにさまざまなメリットがありますが、あくまでも「寄附金」です。通常の経費のように、全額が損金になり、すぐにその対価を得られる性質のものではありません。 実施する際のポイントおよび注意点を、以下にまとめます。

(1)見返り禁止

寄附をおこなうことの代償として、経済的な利益を受けることは禁止されています。経済的利益には、現金や商品券などの換金性の高い商品の他、補助金の交付、入札や許認可の便宜の供与、市場価格よりも低い価格での財産の譲渡など、さまざまな事象があてはまります。 ホームページや広報誌へ社名をのせることや、社会通念上許容される範囲内での記念品などの贈呈は認められています。 なお、個人版のふるさと納税では返戻品をもらえることが多いですが、企業版ふるさと納税ではもらえません。

(2)1回あたり10万円から

企業版ふるさと納税の対象になる寄附金は、1回あたり10万円からです。これより少額では対象外なので、注意が必要です。

(3)本社が所在する地方公共団体への寄附は対象外

本社は、地方税法における主たる事業所または事務所をいいます。本社が立地している地方公共団体への寄附金は、企業版ふるさと納税の対象外です。

(4)適用対象外の地域もある

地方交付税の不交付団体である都道府県など、適用対象外の地方公共団体があります。寄附自体は可能ですが、税額控除の優遇措置を受けられません。税額控除を見込んでいる場合は、事前に確認しておきましょう。

(5)青色申告が必要

税額控除を受けるには、青色申告が必要です。

(6)常に自己負担が1割ではない

損金算入金額は3割、税額控除が最大6割で、実質的な企業の負担は1割に圧縮することも可能ですが、どのような状況でも1割になる訳ではありません。 法人住民税は寄付額の4割で、法人税は前者が4割に達しない場合にその残額のみ(寄付額の1割を限度)です。また、法人住民税は法人税割額の20%が上限であり、法人税はその5%が上限、法人事業税もその20%が上限です。また、そもそも黒字で税額がでていなければ控除ができません。
最大限に節税メリットを受けたい場合は、簡易的に寄付金額をシミュレーションしてくれるサイト(例えば、企業版ふるさとチョイス)がありますので活用してみるのもよいのではないでしょうか。 結果的に中小企業では、ある程度の課税所得(要件によりますが、目安として1千万円)がなければ、最大限の節税メリットを得られる寄付金額が、企業版ふるさと納税の対象となる10万円に至らない状況になっています。

企業版ふるさと納税の活用状況

企業版ふるさと納税は、開始当初は件数も金額も実績は少なく、517件7.5億円からスタートしました。しかし2021年には4,922件225.7億円となり、前年比が金額で2.1倍、件数が前年比2.2倍と大きく伸びてきています。
また、寄附をおこなった企業の数は3,098、受領した地方公共団体の数は956となっています。

※参照:https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/pdf/R03_keinen_zisseki.pdf

2021年の事業の内容は、以下のとおりです。
・地域のしごとづくりに関する事業 120.9億円~例えば、産業や観光の振興、人材の育成、確保等に使われます。
・地方への人の流れの創出に関する事業 16.2億円~例えば、移住、定住の促進などに使われます。
・働き方改革、少子化対策等に関する事業 13.7億円
・まちづくりに関する事業 74.8億円

特に顕著な功績をあげ、模範となる活動をおこなった企業や地方公共団体は「地方創成応援税制(企業版ふるさと納税)に係る大臣表彰」として選ばれています。

まとめ

企業版ふるさと納税はあくまで「寄附」なので、見返りはなく、すぐに対価の得られるものではありません。しかし社会貢献を通じて、将来の企業活動にプラスになるでしょう。
近年「地方創生プロジェクト」の数や種類は多くなり、さまざまな取り組みがなされています。ただし、税額控除は上限があり、さらには税額が発生しないと受けられません。業績が低迷していたり、資金繰りの厳しかったりする中小企業の場合は、ハードルが高い面もあります。しかし、もし条件が合うならば、税制面でも優遇されている今、長期的な視野をもって、企業版ふるさと納税を検討してみるのもよいのではないでしょうか。
現時点では2025年までの時限措置となっています。税務面でご不安な場合は、税理士などの専門家への相談をおすすめします。

 

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